地方移住を検討しやすい・支援ポータルサイトはどこ?(東日本編)【サイトユーザビリティランキング2025】

~1位は福井県、2位は岩手県、3位は栃木県、4位は青森県、5位は岐阜県~

ECマーケティング株式会社(所在地:東京都港区、代表取締役社長:中山高志、以下「弊社」)は、これまで15年超の各種民間及び官公庁ウェブサイトのユーザビリティ調査で得た知見に基づき、各都道府県における移住ポータルサイトを対象にユーザビリティ調査を実施し、「2025地方移住支援ポータルサイト ユーザビリティランキング(東日本編)」を作成しました。

この記事の執筆者

伊藤 肇

【Webly編集部】執行役員 兼 シニアコンサルタント

2000年からデジタルマーケティング業界で、大手企業のウェブマーケティングを支援。Googleアナリティクスが生まれる前、2002年にサーバーの生ログを集計して「アクセスログ解析」をレポート。2006年にサイバーエージェント、アルベルト(現アクセンチュア併合)を含め業界をリードする各社を招待して「コンバージョンアップサミット」を主催。以降、800プロジェクトのサイトユーザビリティ改善に携わる。

目次

目的・背景

コロナ禍をきっかけに普及したリモートワークや、副業解禁によるフリーランスの増加を背景に、都市部から地方への移住ニーズが高まる時代へと移行しています。

しかしながら、各自治体が主催している移住支援サイトの多くは、情報が分散していたり、支援制度の説明が複雑で分かりにくいなど、利用者にとって必ずしも使いやすいものばかりとは言えません。移住は人生の大きな決断である場合が多く、だからこそ、誰にとってもわかりやすく、安心して検討ができるユーザビリティが求められています。

私たちECマーケティング株式会社では、移住検討者の利便性と自治体の魅力を高める一環として、東日本21都道府県の移住ポータル公式サイトを対象に「サイトユーザビリティランキング」を実施しました。本調査では、移住を検討するユーザーにとって、いかに情報にたどり着きやすいか、安心して検討を進められるかを中心に、多角的な評価を行いました。
本ランキングの発表を通じて、各都道府県が自社サイトの改善に取り組むきっかけとなり、移住検討者にとってよい選択ができるよう貢献できればと考えています。

評価対象サイト(21サイト)

各都道府県が主催している移住ポータルサイトを抽出。うち今回は東日本の対象21都道府県を対象に実施。
(2025年7月時点)。
※次回予定している西日本編の対象数を考慮し、中部地方の一部を本編に分類しています。

調査方法

弊社コンサルタントチーム複数人の評価者によるヒューリスティック評価法(ユーザビリティのセオリーと経験則による評価法)。サイトごとに以下の評価基準に沿って評価。複数人の採点のバイアスを補正し評価点としました。(2025年7月実施)

評価軸と点数配分

評価軸配点
トップページファーストビューでの第一印象の形成と全体の把握20点
ナビゲーション設計(サイト内の移動とどこに何があるかの把握)20点
訴求コンテンツ(各都道府県の特長訴求・選ばれる理由など)25点
手続きコンテンツ(制度及び手続きなどの説明など)25点
コンタクトポイント(問合せ・相談・資料請求など)10点

合計:100点
対象サイトの加点一覧は以下の通り。

移住ポータル上位5サイト

1位 福井県「ふくい移住ナビ」

https://www.fukui-ijunavi.jp
総合点78.7点/100点 中 
第一印象の形成 17.7点/20点
(平均10.7点)
ナビゲーション設計17.9点/20点
(平均 13.1点)
コンテンツ
(アピール)
 23.2点/25点
(平均20.4点)
コンテンツ
(制度・手続き)
9.9点/25点
(平均11.6点)
コンタクトポイント10.0点/10点
(平均 6.8点)
※靑線が平均点

評価者のコメント

加点要素:「幸福度No.1」のメッセージと共に四季折々の写真や移住者にとっての魅力を端的・効果的に伝えている。テーマ別のメニューも明示的で、仕事・住まい・子育て情報へのアクセスしやすさも考慮されており、全体的に完成度が高い。

減点要素: 制度や支援情報の大半がPDFのガイドブックにまとめられている点。サイト内で閲覧したいユーザーのニーズにマッチしない。

推奨改善事項:補助金や手続きの情報の一部をサマリー情報として、HTMLコンテンツとして公開し、そこからリンク設定して詳細でPDFファイルやガイドブックに遷移できるようにすることを推奨する。

2位 岩手県「イーハトー部に入ろう!」

https://iju.pref.iwate.jp/
総合点78.0点/100点中   
第一印象の形成 15.3点/20点
(平均10.7点)
ナビゲーション設計15.5点/20点
(平均 13.1点)
コンテンツ
(アピール)
17.3点/25点
(平均20.4点)
コンテンツ
(制度・手続き)
23.0点/25点
(平均11.6点)
コンタクトポイント 6.9点/10点
(平均 6.8点)
※靑線が平均点

評価者のコメント

加点要素:先輩移住者の声が、地域やテーマで絞り込め、かつ、件数表示もあるため、似た境遇の事例が見つけやすいなどの点が加点要素となった。

減点要素:ハンバーガーメニューは選択すると閉じてしまう仕様で、直感的な移動を損ねる要素となっている。

推奨改善事項:ハンバーガーメニューの挙動の修正。

3位 栃木県「ベリーマッチとちぎ」

https://www.tochigi-iju.jp/
総合点77.4点/100点中   
第一印象の形成 15.3点/20点
(平均10.7点)
ナビゲーション設計18.4点/20点
(平均 13.1点)
コンテンツ
(アピール)
20.1点/25点
(平均20.4点)
コンテンツ
(制度・手続き)
14.4点/25点
(平均11.6点)
コンタクトポイント  9.2点/10点
(平均 6.8点)
※靑線が平均点

評価者のコメント

加点要素:県のマスコット「とちまるくん」をうまく使っていることによって公式サイトであることをセンスよく表現している。サイト全体の色使いやデザインが統一され、公式感と親しみやすさを両立している。

減点要素:補助金や移住制度の手続きページが別ドメインに遷移するが、その際のUI上のサポートが不十分。

推奨改善事項:制度や手続きの概要やモデルケースを本サイト内にコンテンツ化し、自治体ページへ遷移する前に条件や選択肢を把握できるようにする。

4位 青森県「あおもり暮らし」

https://www.aomori-life.jp/
総合点76.7点/100点中   
第一印象の形成 17.7点/20点
(平均10.7点)
ナビゲーション設計12.6点/20点
(平均 13.1点)
コンテンツ
(アピール)
23.2点/25点
(平均20.4点)
コンテンツ
(制度・手続き)
13.3点/25点
(平均11.6点)
コンタクトポイント10.0点/10点
(平均 6.8点)
※青線が平均点

評価者のコメント

加点要素:マンガやイラストを使ったコンテンツが豊富で、移住生活のイメージが掴みやすい表現となっている。

減点要素:トップページと下層ページでナビゲーションやボタンの配置が異なり、どこにいるのか迷いやすい。

推奨改善事項:ナビゲーションやページレイアウトのルールを整備し、下層ページとトップ頁を行き来しやすくなるようにナビゲーションを整備する。

5位 岐阜県「ふふふぎふ」

https://www.gifu-iju.com/
総合点75.7点/100点中  
第一印象の形成 15.3点/20点
(平均10.7点)
ナビゲーション設計13.8点/20点
(平均 13.1点)
コンテンツ
(アピール)
20.1点/25点
(平均20.4点)
コンテンツ
(制度・手続き)
17.3点/25点
(平均11.6点)
コンタクトポイント9.2点/10点
(平均 6.8点)
※青線が平均点

評価者のコメント

加点要素:働くカテゴリが働き方、業界別に別れていて把握しやすい点、求人情報や支援制度のコンテンツも豊富に掲載されている点が加点要素となった。

減点要素:動画が充実しているがその中でメンテナンスが追いついていない動画がありマイナス要素となった。全体的に完成度が高いゆえに惜しい。

推奨改善事項:コンテンツの更新体制の拡充。

その他要素2点

総合評価点でランキング上位には入らなかったものの、他サイトにはない評価コンテンツを紹介します。

【参考要素1】
埼玉県の移住ポータル「住むなら、埼玉」内
https://sumunara-saitama.pref.saitama.lg.jp
コンテンツ:データで見る埼玉
転入超過数(全国2位)のような表現。
これは転入超過している自治体は、何位であってもアピールする価値がある数字。
ぜひ他の都道府県も参考にしていただくことを推奨します。

【参考要素2】
北海道の移住ポータル「北海道で暮らそう!」内
コンテンツ:生活費シミュレーション
https://www.kuraso-hokkaido.com/ja/
これは、物価が安い地域も含まれる都道府県においては効果的な訴求要素となり、移住検討者にとって役立つコンテンツとなります。
ぜひ他の都道府県も参考にしていただくことを推奨します。

全21サイトを通じた所感

各サイトの評価にあたり、多くのジャンルのサイトユーザビリティ評価の際に共通する、第一印象の形成、全体の把握、ナビゲーション設計などに加えて、特に①魅力訴求コンテンツ、②制度・手続き情報のわかりやすさ、③問合せ・相談のしやすさといった要素が充実しているかを重点的に評価しました。

今回の評価を終えて全体的な所感としては、移住者の声が動画インタビューも含めて豊富であることが多く、これらは基本的な要素としてプラス要素として捉えています。一方で、都道府県独自のアピールポイントという点で、都道府県独自のナンバーワン要素、あるいはナンバーワンでなくても、2位、3位であっても、数字で示すという点については、福井県が「幸福度No.1」を訴求しているように、他の都道府県も参考にして取り入れていただきたいと考えます。これは、どの都道府県に移住するかを検討している人の背中を押す要素となり、マーケティング効率を改善する際に重要な武器となるはずです。

移住ポータルサイトご担当者様に分析レポートを提供します

ご担当のWebサイトに課題がある、UI・UXの悩みがある方はオンライン相談会へ。

相談会に参加された方へ今回の移住ポータルサイトの詳細分析レポートをお送りします
ご希望の方は以下からお問い合わせください。


※分析レポートの提供は、自治体主催の移住ポータルサイト担当者さま限定です。

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この記事を書いた人

伊藤 肇のアバター 伊藤 肇 Webly編集部 シニアコンサルタント

2000年からデジタルマーケティング業界で、大手企業のウェブマーケティングを支援。Googleアナリティクスが生まれる前、2002年にサーバーの生ログを集計して「アクセスログ解析」をレポート。Googleアドワーズが生まれる前からWEB広告を担当、当時のコンバージョン計測は手集計。2006年にECサイトを50サイト運営しながら、サイトユーザビリティ改善の重要性に気づき、ヤコブ・ニールセンのホワイトペーパーを入手して、日本のサイトに実際に導入しCVRが向上することを発見。

2006年にサイバーエージェント、アルベルト(現アクセンチュア併合)を含め業界をリードする各社を招待して「コンバージョンアップサミット」を主催。以降、800プロジェクトのサイトユーザビリティ改善に携わる。

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