ECサイト制作・リニューアルの落とし穴に注意!失敗しないWeb制作会社おすすめ10選

成長が続いているEC業界、経済産業省によると、いまや国内EC事業者数は2万7,500社を超えており、今後も増加が見込まれます。

2024年9月時点で、日本のEC市場規模は、BtoC(消費者向け)が24.8兆円、BtoB(企業間)が465.2兆円まで拡大しています。一般小売市場規模は2024年上半期で約81.4兆円と比較するとEC市場は一般小売市場の約3割まで拡大コロナ以降、ネットで買う習慣は加速し、まさに激戦といえます。

本記事は、これまで500社以上のマーケティング支援および100サイト以上のECサイト制作・リニューアルプロジェクトを経験してきた筆者が現場で起こった失敗やトラブル経験もとに抽出した成功パターンをお伝えする記事です。これからECサイトの立ち上げやリニューアルを任された担当者の方が大きな選択を誤ることのないようノウハウを凝縮し書いています。

他のWebメディアでは触れられていない忖度なしのリアル事情をまとめていますので、ぜひご一読ください。

本記事はこんな方におすすめです。

  • 上司からサイトリニューアルを任されたが、進め方ややるべきことが分からない
  • 何を基準に制作会社を選定すればよいのか分からない
  • プロジェクトを成功させるために欠かせない重要事項を知っておきたい
  • ECサイトのリニューアル/制作を失敗したくない

他のWebメディアでは書かれていないECサイトを成功させる秘訣、ご自身が準備すべきこと、絶対にやってはいけないこと、失敗しない制作会社の選び方など多くのプロジェクト現場から見えたリアル事情をご紹介します。

目次

1.ECサイト制作の意外な落とし穴は◯◯◯

はじめに、多くの担当者が当たり前にやっていることが、実は失敗の元凶になることをお伝えします。それは「要件が曖昧なままカート選定を始めること」です。

断言しますが、カート選びからスタートすると高い確率でそのECサイトは失敗します。

最大の理由はカート機能に焦点を当てると自社のやりたいこと、満たしたい要件が置き去りになるからです。それでは詳しく説明していきます。

大前提として、ECサイトの成功に欠かせないのは自社の目標達成の実現性。売りたい商品に適したマーケティング視点・運用視点・自社の世界観とUI/UXを同時に実現するデザイン視点、これらすべての要件を満たせていることです。

なぜカート選びから始めると失敗するリスクが生まれるのか?それはカートシステム業者の売り文句に左右され本来の目的が満たされなくなるからです。

実際に検索するとカートシステム業者のサイトが検索上位に複数表示されています。これをみて各社のカート機能を見比べている人は要注意です。これは失敗する典型パターンです。

基本的に、カートシステム業者は自社のカートシステムの強みを説明します。

例えば

  • 御業界で導入実績が多数あります
  • 機能が充実しています
  • 柔軟にカスタマイズができます
  • プラグインが多く拡張性が高いです
  • 大手〇〇企業に導入実績があり売上アップのノウハウもあります
  • ●●社の導入実績があります

などです、これは確かに選定の重要な基準になりますが、今御社が抱えている課題やECリニューアル後に実現したいEC事業にフィットしていると言えますか?

こういった、カートベンダーの営業トークの裏で御社がやろうとしている施策や要件の阻害要因を孕んでいても(またはその可能性に気づいても)言及しないでしょう。

当然ながら、カートシステム業者は自社に不都合なことは詳しく説明したがりません。

カートシステム業者の話を聞いているうちに、本来の目的とずれることは非常に多いです。

例えば、極端な例ですが、柔軟なカスタマイズが売りのECカートを評価して導入を進めましたが、カスタマイズ費用が予想以上に嵩み、運用保守費が増大してしまって事業を圧迫してしまうなどはよくある問題です。

ECシステム・カートを問わずシステムの導入はリスクが裏側に隠れていることが多く、

リスクの存在に気づかず選んでしまい、導入後の改修コストが膨らみ、改修を断念せざるえない状況に陥ったECサイトをたくさん見てきました。

簡単に変更がきかないカートシステムをなぜ最初に選んでしまったサイトはその後制限された仕様のなかで、やりたいことができず、当然ながらEC事業の売上も思うように成長できなくなることも多いです。

2.カートを選ぶ前に自身がやるべき準備

続いて、制作会社を探す前に自身が用意しておくべき準備について説明します。
・ECサイトで売りたい商品の特徴や売り方
・商品価格
・狙いたいターゲット層
・想定する集客方法
・競合になりうる企業や商品
・売上目標
・ECサイト機能要件(フロント部分とバック部分)
・デザインの方向性(トーン&マナーなども含む)
・現状の運用の課題
・プロジェクトの体制
・完成後に求める運用サポート範囲

といったマーケティング要素を含めたRFP(提案依頼書)を用意しましょう。
予算やスケジュールは求める内容により変動するため、あくまで目安として提示します。
どのような経緯でECサイトの制作またはリニューアルを実施することになったのか、その背景も添えると、経験豊富な制作会社ならば、想定する懸念点や健闘すべき条件などより良い提案をしてくれるでしょう。

もし、RFPの作り方が分からない場合は、その素案となる情報だけでもまとめておき、制作会社にその旨も伝えましょう。ECサイトリニューアルの経験が豊富な制作会社はRFPの作成からサポートしてくれる会社もあります。

ECサイトのリニューアルには「カート部分」と「その他のECサイト部分」2つの領域があり、カートシステムベンダーとデザイン制作会社の2社が関わることが多く、さまざまなカートシステムを扱った経験があるデザイン制作会社を選ぶほうが、より客観的な選定と、専門的な知見を得ることができます。

3.RFP(提案依頼書)の重要性

プロジェクトを始める前の段階で必要な機能や要求を分かりやすく整理する作業を指します。サイト制作において提案条件をまとめたものを「RFP(提案依頼書)」と呼びます。

絶対に譲れない条件の提示だけでなく、ベストプラクティスを提案して欲しい要望提起も含めます。条件はできるだけ具体的かつ項目を分けて提示することで、発注者(自社)、受注者(制作会社)双方の認識ズレをなくし、具体的な提案内容を引き出すメリットをもたらします。

提案依頼書を用意するメリット

  • 要件を漏れなく正確に伝えられる
  • 条件を揃えることで制作会社の強み・弱みをスムーズに比較できる。
  • 自社の要件を満たした具体的な提案を受けられる。
  • 複数の制作会社から同じ質問に回答する手間を省き打ち合わせがスムーズになる。

RFPには発注者側の専門知識レベルや企業体質が表れやすいです。具体的な情報が乏しい内容が出てくると、制作会社は情報整理や機能要件を固めるまでの時間と労力を懸念し、見積もりやスケジュールにリスクを回避するために、バッファを含めるようになり見積もりが高額になることがあります。また、条件が曖昧だと制作会社が工数やリスクを鑑みて契約条件を厳しくする可能性もあります。

発注後のトラブルを防ぎ、プロジェクトの質を向上させるうえでRFPは重要な役割を果たすのです。

4.ECサイト制作会社を選ぶ重要な視点

ここまでで重要なのはカート選びではなく、自社のECサイトリニューアルに関する目的をいかに制作会社へ伝えることだとお分かりになられたでしょうか。

カートシステム業者はどこも自社に有利なことしか言いません。できないことは聞かれない限り教えてはくれません。

一度導入したら最後、不便を感じても簡単に変更することはできないのがECカートシステムです。カートシステム業者のWebサイトでは便利な機能と実績が強調され、実際に使ってみないと分からない課題を知ることはできません。

そこで頼るべきは、複数のカートシステムを実際に扱った経験が豊富な技術力を持ったweb制作会社です。

つまり、カートシステムを提供していない会社で、複数のカートシステムと連携してECサイトをリニューアルしたことがあるweb制作会社です。

このweb制作会社は構築時の問題や、運用時の問題をカートベンダーより客観的に把握していることが多く、ECカート選定にも非常に有効な情報を持っています。

彼らは各カートシステムの良し悪しを知り尽くしているので、御社の目指すECサイトの要件を多く満たせるECカートがどれなのか、忖度なく中立の立場で選定することができます。

どのカートシステムも一長一短で100%要件を満たすシステムは存在しないでしょう。そのためバランスよく要件を満たすことが重要でなんです。

つまり、絶対に譲れない機能があったとしてもその1機能開発に1,000万円以上かかった場合EC事業の売り上げに影響しない機能であればカスタマイズ費用の投資の回収が不可能になります。その場合、機能実現に執着するのではなく運用方法を変更することや代替機能で代用するなどを検討することが非常に重要です。

こういった、先々を見通した地道な検討により、

運用フェーズになってから高いカスタマイズ費用が発生するリスクを未然に防ぐことができます。

当然ながら、カートシステム業者は他社のカートシステムを選ぶことはなく、自社が提供するカートシステムの一択となってしまうのです。つまり、制作会社の選択肢にカートシステム業者を含めてしまうことは、客観的な検討にならず、自社の要件を満たせないものを選んでしまう失敗の始まりなのです。

制作会社選定のゴールは、自社の要件を満たし、ECサイトを成功させることです。一方で。カートシステム業者のゴールは自社のシステムを選んでもらうことにあり、すでに御社のゴールとズレていることに気づいてください。

以上のことを踏まえてECサイトの制作・リニューアルを成功させるために、マーケティング、UIUX、デザイン実装力、システム対応の4つの視点と中立の立場でカート選定ができる制作会社をご紹介します。

視点①マーケティング

ECサイトを作っただけ、リニューアルしただけで売上は上がりません。

売ろうとしている商品の優位性を認知してもらうための集客や、購入した人に再びサイトを利用してもらうためのCRMなどEC事業を成長させる成功パターンを熟知している制作会社に「サイト構築段階からマーケティングの仕掛けを組み込んでもらう」ことはその先の事業の成長に大きく影響します。

その実力があるのか、提案を受ける際は集客施策プランや、マーケティング全体のロードマップも含めてもらいましょう。

こちらの3社はマーケティング事業も展開しており、実績を保有している制作会社です。

ECマーケティング株式会社

設立年2010年
EC制作実績JINS、JAL、ニッピコラーゲン化粧品、パイオニア、カメオカ、HEADS、ビューティガレージ など →中小~大企業まで幅広く対応
得意なマーケティング領域Webマーケティング全般(UI・UX、SEO、Web広告、CRMなど)
サービスの特徴・強み結果にコミットするECサイト制作

同社では創業時から通販ランキング上位の大手EC企業のWebコンサル・Webマーケティング支援を行っており、その過程で数多くのECサイト制作プロジェクトを実施してきました。

SEOに精通した構造設計をはじめ集客~CRM戦略の立案まで一気通貫で行うのが強みで、結果にこだわる企業におすすめの制作会社と言えるでしょう。

【代表的な制作実績】

東証プライム上場企業であるビューティガレージ社のスマホECサイト制作実績です。

理美容・エステ・サロンなどを対象にした卸売がメインのため、請求書払いに対応しているなど機能面でもBtoBに特化したECサイトになっています。リニューアル後、スマホアプリの展開やターゲットユーザ(理美容師やエステティシャン)が業務のスキマに片手で注文操作するシーンを想定しバーコードスキャン機能も追加で搭載しました。

株式会社ジェイグラブ

設立年2010年
EC制作実績東京都、山田養蜂場、東急百貨店 →公共団体、大手企業がメイン
得意なマーケティング領域海外向けブランド戦略
サービスの特徴・強み越境ECに特化

20年以上、2,900社を超えるサイト制作実績があり、越境ECでは導入実績NO.1を誇っています。(参照:同社HP)

eBayなど海外特有のモールや、越境ECカート「Magento」を活用したECサイトを制作・運用しているため、インバウンド展開を視野に入れている企業におすすめです。

eBay出身の担当者がモールでの運用をサポートするほか、自社EC向けの大手海外カートシステムであるMagentoでサイト構築するノウハウを有する数少ない国内の制作会社の一つであり、インバウンド展開においては大きな強みを持っています。

越境ECへの高い専門性が評価されており、大規模な地方自治体・有名企業で多数の越境EC制作実績を有しています。

【代表的な制作実績】

参照:https://www.ebay.com/str/tokyomall

東京都中小企業振興公社が運営する越境ECモールの制作実績です。ヨーロッパ・アメリカ・アジアなどさまざまな地域においてシェアの高いECモールへ展開するには、越境ECと海外における主要なカートシステムに対する高い知見が必要です。

ジェイグラブ株式会社は特設ページによってeBay、Shopee(ASEAN市場)、Taobao(中国市場)などの大手モールにショップを展開しました。

モールにおける戦略は国内でも同じですが、よりインバウンド需要に特化した越境ECを制作したい場合は自社の求める顧客層に合致した地域でのシェアが高いモール・カートシステムへの知見を有した制作会社を選ぶことが重要になります。国内での会社選び以上に実績を重視しましょう。

株式会社いつも

設立年2007年
EC制作実績吉野家、ハーマンインターナショナル、ライオンハート など →中小~大企業まで幅広く対応
得意なマーケティング領域Web広告、SNS運用、CRM、SEO
サービスの特徴・強み大型モールでの制作運用に特化

2022年には『EC責任者が選ぶ楽天市場支援 No.1』を獲得するなど、大型モールにおけるサイト制作・運用に強みのある制作会社です。

EC戦略の立案からサイト制作、運用時のマーケティング施策までトータルでサポート。独自の300項目診断シートから市場の運用状況を分析し、楽天、Amazon出身のコンサルタントが外部に出ないノウハウも含めて独自の視点からアプローチします。

モール専門という特性上メインはプロモ戦略などのマーケティングですが、モール向けのバナー・サムネイル制作からコーディング、メルマガ作成など制作~更新までの工程を一気通貫で担うことも可能です。

モールに特化した運用戦略アドバイスを受けたい企業や、制作だけでなく運用までコンサルティングしてもらいたい企業に最適の制作会社でしょう。

【代表的な制作実績】

参照:https://itsumo365.co.jp/voice/18857

株式会社いつもでは、過去にピジョン株式会社の楽天市場店におけるページ制作を行った実績があります。

楽天市場、Amazonなどのモールは利用ユーザ数が多いため、知名度の低いメーカーであってもマーケティング戦略をしっかり行えば売上を伸ばすことができます。そのため、株式会社いつもではページ制作だけでなくバナー、メルマガなど運用に係る様々なコンテンツ制作を代行し、モールにおける売上改善を行っています。

ページのデザインはヘッダーメニューを4つに絞り、カート・商品検索はアイコンで表示することにより、スタイリッシュかつ見やすくまとまっています。ページのメイン部分もキャンペーン内容を過剰に宣伝するデザインやバナーではなく、ターゲットを意識して子育て層向けに安心感を与えるデザインが考えられています。

視点②UI/UX

ユーザーエクスペリエンス(UX)とユーザーインターフェイス(UI)の設計力は、顧客満足度やCV(コンバージョン)率に大きく影響します。UI・UXの完成度が低いサイトは穴の空いたバケツで水くみをするのと同じようなものです。UI・UXの悪いECサイトでは投下した広告予算の費用対効果を著しく低下させることになります。

サイトの使いやすさにはトレンドがあり、時代とともに変化します。

また、ターゲット層に合わせた対応も必要なため、さまざまなECサイトのUI・UX改善を長く続けてトレンドの先読みができる制作会社が必要です。

下記2社はUI・UXの分野で長年実績を重ねている制作会社といえるでしょう。

ECマーケティング株式会社

設立年2010年
EC制作実績JINS、JAL、ニッピコラーゲン化粧品、パイオニア、カメオカ、HEADS、ビューティガレージ など →中小~大企業まで幅広く対応
得意なマーケティング領域Webマーケティング全般(UI・UX、SEO、Web広告、CRMなど)
サービスの特徴・強み結果にコミットするECサイト制作

ECマーケティングは制作部門と別に独立したUI・UX部門があり、協同でサイト制作プロジェクトを進めるのが大きな特徴です。

UI・UX分野で20年以上の経歴を持つ専門家がユーザ目線に立ったサイト制作を徹底的にサポートしています。

【代表的な制作実績】

システム変更後にCVRの不調が発生し、UI・UX改善で売上改善したリーバイス公式ECの事例です。

同社のサイトは新規ユーザにはハードルの高いメニュー文言などブランド力が高いゆえに気づきにくいサイトの課題が多く散見されました。ユーザテストを通じて「男女で使い方の傾向に違いがある」といった課題を発見し、それらを反映した画面設計が評価されています。結果として同プロジェクトで改善されたレイアウトが、日本だけでなく他のアジア圏共通にも展開されました。

この事例のようにトラフィックが大きいサイトほど、CVR0.1%のインパクトが大きくなります。例えば1,000人に1人がつまずきそうなユーザビリティ課題を10件解決したら理論上CVR1%のインパクトに値する、という視点で改善を提案するのがECマーケティングの特徴です。

一般にファッション業界やブランド公式ECではレギュレーションが多いためUI・UXの改善が難しく、対応できる制作会社は非常に珍しいといわれています。本事例はそういった条件をクリアし、世界観とUI・UXを兼ね備えたインターフェースの両立を実現させています。

株式会社ペンシル

設立年1995年
EC制作実績株式会社健康家族、リンナイ株式会社、ライオン株式会社 →中堅~大企業
得意なマーケティング領域Webマーケティング全般(UI・UX、SEO、Web広告など)
サービスの特徴・強み伴走型Webコンサルティング

株式会社ペンシルはWebコンサルティングを中心とする会社で、Webサイト改善の一環で制作事業も行っています。EC制作は事業のメインではありませんが、マーケティングへの知見を活かして質の高いECサイトを制作しています。

越境ECに実績(参照:https://www.pencil.co.jp/success/overseas/)

同社の特徴は越境ECサイトの制作支援や伴走型Webコンサルティングの提供です。制作だけでなく、国内外で包括的なWebマーケティング戦略の策定を得意としています。

【代表的な制作実績】

参照:https://www.pencil.co.jp/success/kenkoukazoku3/

健康食品で知られる株式会社健康家族の制作実績です。

健康食品業界はリピート率の高さからECと相性が良く、ユーザフレンドリーなサイト構築が不可欠になります。上記のサイトは検索画面のデザインが平易かつ明瞭で、メインターゲットである中高年層にも使いやすいよう配慮されていることが分かります。

そのほか、キーワードから興味のある商品に遷移しやすいよう売上を改善する工夫が各所になされており、UI・UXに対する知見をしっかりと活用して作られたサイトになっています。

視点③デザイン実装力

デザインはブランドイメージを具現化する重要な要素です。ECサイト制作における真のデザイン力とは、単に洗練されているだけでなく、マーケティングの観点、UI/UXの観点で使いやすさ・わかりやすさを共存させられる能力なのです。

よくありがちなのが「シンプルなデザインだがどこに何があるか分からない」「情報量は充実しているがごちゃごちゃして商品選びに疲れる」といったECサイトです。

過去の制作実績や取引先企業の傾向から、競争の激しい商材のECサイトで実績があるかどうか、またどのような背景、戦略に基づきデザインしたのか語れる制作会社を見極めましょう。

ECマーケティング株式会社

設立年2010年
EC制作実績JINS、JAL、ニッピコラーゲン化粧品、パイオニア、カメオカ、HEADS、ビューティガレージ など →中小~大企業まで幅広く対応
得意なマーケティング領域Webマーケティング全般(UI・UX、SEO、Web広告、CRMなど)
サービスの特徴・強み結果にコミットするECサイト制作

ECマーケティングは制作部門と別に独立したUI・UX部門があり、協同でサイト制作プロジェクトを進めるのが大きな特徴です。

UI・UX分野で15年以上の経歴を持つ専門家がユーザ目線に立ったサイト制作を徹底的にサポートしています。

【代表的な制作実績】

ECマーケティングはJAL(日本航空)のツアー配下ページにおけるサイトリニューアルを行っています。

同社の特徴はユーザ目線を徹底したサイト設計。航空会社や旅行会社のサイトはカテゴリや検索導線が非常に多いため、情報の整理やレイアウト、ラベリング、絞り込み機能や視認性など設計時に考慮すべき要件が非常に多く、難易度が高くなります。

成功の決め手は設計前の事前調査だそう。現場のヒアリングと第三者目線のユ―ザビリティ調査を行ったことで、サイト側と利用ユーザのギャップを把握し、優先度を決めてサイト設計、機能要件に盛り込んでいます。

タブ・ラジオボタン・プルダウンなどの表示形式を使い分け、視覚的に分かりやすく可能な限りシンプルなデザインで表現している点も評価ポイントです。

なお、サイトリニューアルの翌年、JALはツアー事業で過去最高売上を達成しています。世界観とマーケティング・UIを両立させた好例と言えるでしょう。

株式会社クーシー

設立年1999年
EC制作実績高島屋、イビサ、グレナジャパン、MIMC など →大企業メイン
得意なマーケティング領域Webマーケティング全般(UI・UX、SEO、Web広告、CRMなど)
サービスの特徴・強み要望に合わせたワンストップの提案・支援

大企業のWebサイト制作・運用実績が多数あり、サイト制作のみならずWebサービス全般で幅広い業務を行う会社です。フルスクラッチ開発など、顧客要望にあわせてワンストップで施策を提案します。

メインの事業はWebサービスやサービスサイトの企画・デザインとシステム開発で、フルスクラッチによる大規模かつオリジナリティの高いサイト制作に強みがあります。従業員数53名(調査時点)と制作会社としてはかなり大規模であり、企画~開発まで社内で一貫している点が大きなメリットでしょう。

SEO、UI・UXなどのWebマーケティングにも知見を有しており、高い企画力を生かしてブランドの世界観を維持しながらも着実に売上へとつながるECサイト制作を行っています。

【代表的な制作実績】

参照:MIMC公式ECサイト

オーガニックコスメのブランドとして知られるMIMCの公式ECサイトの制作実績です。

株式会社クーシーの特徴はデザイナーをはじめとするクリエイティブ領域に特化したスタッフが多い点にあります。ECサイトのデザイン企画はもちろん、商品イメージを伝えるための撮影・画像作成まで包括的に行います。

サイトの構成はシンプルで、トップページからは特にECにおいて購入頻度が高いであろう限定商品・コレクションへの導線が分かりやすく設置されています。上部メニューバーからはプロダクトラインの解説や商品ページのほか、店舗ページへの遷移もスムーズに行えるようになっています。化粧品業界では未だに店舗購入を選択する顧客も多いため、店舗との連携を意識する場合は滞りなく店舗ページへ移動できるUI設計も重要になります。

株式会社アートピース

設立年2008年
EC制作実績コスメ・デ・ボーテ、Justin Davis、MUSHITO LAB など →中堅~大企業メイン
得意なマーケティング領域店舗連携(OMO)施策
サービスの特徴・強みアパレル・美容への知見が豊富

株式会社アートピースはアパレル・美容系ECサイトに強みがある制作会社で、流行のサイクルが早い業界のECサイトで培った経験を生かすデザイン性の高い制作を得意としています。

「お客様が掲げている理念に寄り添い、思想を具現化するための支援をする」を理念に、サイトのイメージや顧客対応方針の策定、販促戦略、リアル店舗との連携販売など様々な施策を提供しています。

洗練されたデザインとマーケティング戦略両方を重視する、特にアパレル・美容業界の企業におすすめです。

【代表的な制作実績】

参照:Good ON公式ECサイト

デザイン性の高い制作会社として知られる株式会社アートピースとUI・UXに特化したPIVOTが共同で制作したアパレルECサイトの制作実績です。

ブランドイメージを的確に伝え、商品の魅力を広めることを第一に制作されている点が特徴的です。日本語表示でもファーストビューのほとんどは英語で占められており、USAブランドが第一印象で伝わるよう工夫されています。

商品ページはカラー展開が視覚的に分かりやすいデザインになっており、カラー・サイズ・数量の選択も明確で、バリエーション豊富なブランドの特徴

過去の制作実績や取引先企業の傾向から、競争の激しい商材のECサイトで実績があるかどうか、またどのような背景、戦略に基づきデザインしたのか語れる制作会社を見極めましょう。

視点④システム(ディレクション力)

ECサイトでは在庫管理や決済方法、キャンペーン設定など、複雑な機能実装が求められます。商品・市場の特性を理解して機能の要件をまとめるディレクション力とシステム仕様への深い理解が必要不可欠です。

複数のECカートシステムの取扱実績があり、それぞれのメリット・デメリットを説明できる制作会社を選ぶとECサイトの成功率は大きく跳ね上がります。自社の要件を満たせるECカートはどれなのか、中立の視点で選べる数少ない制作会社がこちらです。

ECマーケティング株式会社

ECマーケティングは主要なカートシステムにおける制作実績が豊富で、各ECカートの機能面を的確に把握したサイト構築の提案が可能です。カートシステム・モールだけでなくスクラッチでEC開発ができる技術があるため、幅広い要望に応じたECサイトを制作することができます。

【代表的な制作事例】

宅配弁当大手タイヘイの制作実績。宅配弁当業界は定期配送・メニューのカスタマイズ機能などを必要とするため、それらの要件に合ったカート選定が必要です。

抱えている課題、求める要件、ロンチ後の集客テコ入れ、これらすべてを設計段階から視野にいれてプロジェクトを進行しています。

介護食品のニーズがある高齢者層から栄養のある食事を求める若年層、家事の負担を軽減したい共働き家庭まで、幅広い年齢におけるユーザビリティを意識したサイトとなっています。

カートシステムの制約がありましたが、集客で必要な改修を開発の段階で組み込むことで、無駄な費用を抑えることにも成功しています。ECサイト成功の決め手は、様々なカートシステムでディレクション経験とEC業界の豊富なケーススタディを有するかにほかなりません。

株式会社これから

設立年2012年
EC制作実績Dr.Formula、まるごと高知、立花時計店 など →中小~中堅企業がメイン
得意なマーケティング領域Web広告
サービスの特徴・強み自社ECに特化した制作運用支援

制作・支援実績を多数有する自社EC特化型の制作会社で、自社EC専門の企業としては国内最大の規模です。

特に地方のアンテナショップの公式ECなど中小規模の制作実績が豊富で、EC制作・リニューアルからカスタマイズ、カートシステムの引っ越しなどをトータルでサポートしています。自社ECサイト制作のほか、広告集客自動化ツール「AdSIST」を提供しており、自社ECの広告運用を含む集客支援に強みがあります。

運用面では広告に特化しているため、自社ECの展開に際してオウンドメディアやSNS運用等のコンテンツマーケティング戦略を検討している企業は別会社に依頼する必要があります。

【代表的な制作実績】

参照:クレ・ド・ボーテ公式ECサイト

株式会社これからはブランド化粧品のメーカーとして知られるクレ・ド・ボーテのEC制作を行った実績があります。

ファーストビューはブランドコンセプトが伝わる視覚的にシンプルなコンテンツを全面に配置しており、ブランディングを重視するハイブランドコスメECのセオリーを忠実に再現しています。

大手ハイブランドコスメECの例:JILLSTUART(公式ECサイト参照)

クレ・ド・ボーテはコロナ禍を機にECでの展開をスタートさせた企業であり、対面販売の代替をコンセプトとして制作されたECである点が特徴的です。

カートボタンを押し、画面を進めるとトータルカウンセリングを希望するか質問される(公式ECサイト参照)

そのため、お肌の状態や皮膚トラブルに関する簡単な質問を通じてカウンセリングを行い、おすすめ商品を提案する導線を購入までの各所に入れ、オンラインにおいてもブランドの信頼感を高める工夫をしています。

ASPカートでこのような機能の実装・最適化を行うには、各カートシステムに精通した専門家の知識が必要です。株式会社これからはカートシステムのノウハウを豊富に有しているため、自社ECに特化した制作や広告運用をアウトソースしたい企業にぴったりの制作会社だと言えるでしょう。

7.失敗しない制作会社の選び方

ECサイト制作会社を選ぶ重要な視点をお伝えしてきましたが、この他にも失敗しないために確認すべきポイントがこちらです。

①業界の実績

自社と同じ業界・業種だけでなく、他にどんな業界で実績があるかも確認しましょう。

理由は異業種の取り組みを採用することで差別化を図れるケースもあるからです。

例えば、自社の業種よりもEC市場で先進的な業界の実績を持つ制作会社ならば、プロジェクトのあらゆる場面で先進的な要素を取り入れることもできますし、柔軟な対応もできるでしょう。

②カートシステムの取扱実績

これまで取り扱ったことのあるECカートシステムと、それぞれのメリット・デメリットを聞いてみてください。

多くのカートシステムを取り扱った経験がある制作会社はシステムを熟知しているのでオプション機能の必要性を判断することができます。また、システム改修以外で実現する代替案を検討できるため、ECカートシステム業者の受け売りにならずに済みます。

導入後に想定される懸念事項も客観的な見解を教えてくれます。

③担当者の専門知識・相性

発注後、誰がプロジェクトの担当になるのか確認しましょう。特に窓口となる人はプロジェクト開始後、日に何度も連絡を交わすことになるので、対応スピードや柔軟性、コミュニケーションにおける相性は意外と重要なポイントです。

④運用サポート体制

サイトが完成したあとの広告運用や分析業務、メールマガジンの対応、コンテンツ作成など、どこまで任せられるのか対応可能な領域を確認しましょう。

内製の予定がリソースや経験不足で外部委託が必要になる可能性もあるため、いざとなったらどこまで頼めるのか、料金体系や各業務の実績も併せて確認しておきましょう。

⑤対応力(トラブル対処のケーススタディ)

ECサイト制作・リニューアルはプロジェクト開始後に想定外のことが起こることもおうおうにしてあります。そういった不測の事態が生じたとき、責任を持って建設的な進行ができるかどうかも重要な見極めポイントです。

積極的に話すテーマではありませんので、参考として過去のトラブルケーススタディなどを挙げてもらうのが良いでしょう。

上記5つのポイントを各制作会社にぜひ尋ねてみてください。全てをクリアする制作会社がいたらきっと心強いパートナーになるでしょう。

さて、ここまで制作会社を選びの準備や視点などお伝えしましたが、最終的にはECサイトの成功、事業の成長をあなたと同じ目線・熱量を持って自社の事のように真剣に考えて発言してくれる制作会社と出会えるかどうかで全てが決まるといっても過言ではありません。

本記事を通じて、激動のEC市場で勝ち抜き、成長し続けるECサイトプロジェクトの成功にお役立ていただければ幸いです。

サイトリニューアルにお悩みの担当者様へ

  • RFPの書き方が分からない
  • サイト制作について相談できる人がいない
  • 社内のリソースに限界を感じている など

お困りごとに合わせて課題のヒアリング~提案まで、マーケティングの視点から徹底的に支援します。

【参考文献】

エンパワーショップ株式会社「【2023年最新版】国内のECサイト・ネットショップの総稼働店舗数」

経済産業省「令和5年度電子商取引に関する市場調査」

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この記事を書いた人

Webコンサルタント
広告代理店にてメディア運営・SEOディレクション・Web広告運用を経験。
現在はコンテンツSEOとWeb担当者向けメディア『Webly』の編集を担当。

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