ECサイトが急増して競争が激化し、大型のECサイトがますます力をつけている今、商品力のみに頼った集客が難しくなっています。商品には自信があるのに、多くの人に知ってもらえないのは悔しいですよね。
そこで、ECサイトにコンテンツマーケティングを取り入れ、新たな層を取り込みつつ商品の魅力を効果的に伝える企業が増えてきました。
この記事では、ECサイトでのコンテンツマーケティングが重要視される理由や、ECサイトでのコンテンツマーケティングの始め方を紹介します。
1.ECサイトでコンテンツマーケティングが重要視される理由
近年ECサイトでコンテンツマーケティングが重要視されるようになってきましたが、その主な理由を2つ見てみましょう。
ECサイトの乱立
1990年代後半に日本でECサイトが広がり始めてから20年、最近ではECサイトが乱立し、商品が持つ魅力や価値だけで競合と差別化することが難しくなってきています。
D2C(Direct to Consumer)の動きも活発化してきている中、商品力で差別化できなければ、他社と似たり寄ったりのECサイトになってしまい、ユーザーに対して強い印象を残せません。その結果、ユーザーが低価格な他のECサイトや大手ECサイトに移行してしまう可能があります。
※D2C…自社チャネルを通して顧客に直接商品販売を行う仕組み
そこで、近年のユーザーの動きを分析すると、価格だけではなく商品の裏のストーリーや付加価値、ブランドへの愛着などを重視して購入している傾向が見て取れます。
そのため、ユーザーを獲得するには価格競争に走らず、コンテンツを活用して自社や商品に愛着を持ってもらい、ファンになってもらうことが重視されているのです。
Web広告の限界
現在、多くのECサイトはWeb広告を活用して集客しています。Web広告は短期的な集客には非常に効果的で優れていますが、コストがかかるため運用には注意が必要です。
一方、継続的にコンテンツを増やしていくことで、ドメインパワーが強化されて継続的な自然検索からの流入も見込めるうえ、新規ユーザーの流入から、潜在層の顕在化なども行えます。
2.ECサイトによるコンテンツマーケティングの始め方
ECサイトがコンテンツマーケティングを始める場合には、以下の3通りの方法が考えられます。
- オウンドメディアを作る
- ECサイト内でコンテンツ展開を図る(ECサイトのメディア化)
- SNSを活用する
それぞれのメリットやデメリットについて、次章から詳しく見ていきましょう。
3.オウンドメディアを作る
まずは、ECサイトとは別ドメインにオウンドメディアを作るメリットとデメリットを紹介します。
オウンドメディアのメリット
ECサイトの集客では、Web広告を用いてコンバージョンに近い「今すぐ客」を集めることに注力しがちです。しかし、今すぐ客はそもそも数が少なく、他社との奪い合いになってしまいます。
オウンドメディアを立ち上げれば、自然検索からの流入が見込め、今すぐ客だけではなく、潜在顧客も集客できるようになります。集客した潜在顧客をナーチャリングすることで、中長期的に優良顧客に育てることも可能です。
オウンドメディアのデメリット
自然検索などからオウンドメディアに流入してきたユーザーは、商品の購入を目的としていない場合が多く、高い確率でコンバージョンに至らず離脱してしまいます。
そのため、オウンドメディアからどうECサイトに流入させるのか戦略を練る必要があります。
4.ECサイト内でコンテンツ展開を図る
続けて、ECサイト内でコンテンツ展開を図る、ECサイトのメディア化のメリット・デメリットを確認していきましょう。
メディア化のメリット
ECサイト内に商品を並べるだけではなく、良質なコンテンツも同時に掲載することで、SEO的にECサイトを強化できます。
また、コンテンツにより商品説明だけでは伝えきれない商品の魅力や使い方を伝えられるため、ユーザーの商品やブランドに対する理解が深まり、購買意欲を高めることにも有効です。
さらに、コンテンツ自体のファンになってもらえれば再訪率が高くなり、リピーターへとつながる可能性が高まるでしょう。
メディア化のデメリット
ユーザーに再訪・リピート購入してもらうためにはコンテンツを配信し続ける必要がありますが、新規コンテンツを増やすためには豊富な商品数が必要です。
また、商品の新しい使い方や魅力を発掘し、企画ができる人材を見つけなければなりません。
ECサイト内でコンテンツ展開を図る際には、もう1点デメリットというよりは注意点があります。
商品自体やその周辺のテーマでコンテンツ展開を図る場合は問題ありませんが、販売商品とは全く違ったテーマ、例えば、40代女性向けのアパレルのECサイトで、潜在層を集めるために、40代女性向けの食や健康に関するテーマなどを展開したい場合は、ECサイト全体にアパレルの要素が少なくなるため、SEO的にはデメリットになるケースがあります。
その場合は、オウンドメディアとして、別ドメインで展開することをおすすめします。
5.SNSを活用する
最後に、ECサイトでSNSを活用するメリットとデメリットを紹介します。
SNSを活用するメリット
SNSを活用する最大のメリットは、その拡散力にあります。SNSで拡散されれば、今まで自社商品を知らなかったユーザーにリーチできるため、Web広告や自然検索とはまた違った層にアプローチできます。
SNSはFacebookやTwitter、Instagram、LINEなど様々な種類があり、それぞれ特徴が異なるため全てを運用するには手間がかかりますが、幅広い世代や価値観のユーザーに効率よく情報発信できることが魅力です。
SNSを活用するデメリット
SNSはフォロワーが少なければ拡散力も落ち、SNSのメリットを活かせません。まずは多くのユーザーにフォローしてもらう必要があるため、効果が出るまでに時間がかかることは欠点のひとつと言えます。
また、ユーザーはSNSを通して日々多くの情報に触れているため、配信した情報はすぐに埋もれてしまいます。
ユーザーとの接触頻度を上げるためには、投稿頻度を上げる必要がありますが、SNSは種類ごとに特性や利用者層が変わるため、それぞれのカラーにあわせた投稿ができる担当者が必要になるでしょう。
6.ECサイトがコンテンツマーケティングを始める時の注意点
最後に、ECサイトでコンテンツマーケティングを始めるときの注意点を2つ紹介します。
自社ECサイトのセールスポイントは何か整理しておく
1章でも触れましたが、商品力での差別化が難しい今、自社ECサイトの強みを理解して明確に打ち出していかなければ他のECサイトに埋もれていってしまいます。
コンテンツマーケティングを始める前に、競合とは違う自社の強みを今一度確認し、セールスポイントを明確化しておきましょう。
コンテンツの制作方針を決めるためにも、セールスポイントが何かをきちんと整理し、チーム内で運営の方向性を共有しておくことをおすすめします。
中長期スパンで継続する
ECサイトでの集客策としてWeb広告に慣れていると、つい短期的な結果を期待してしまいますが、コンテンツマーケティングは中長期的に取り組む施策です。徐々に成果が出ることを認識し、継続的にコンテンツ配信を続ける必要があります。
自社商品に関するノウハウを惜しみなく使い、長い目で見て結果が出るまで根気強くコンテンツを制作し続けましょう。
7.まとめ
商品力のみで差別化ができなくなった今、ECサイトはコンテンツマーケティングを取り入れ、潜在層を集客しナーチャリングすることで生き残りを図ることが重要です。
ECサイトでコンテンツマーケティングを始めるには、ECサイト内でコンテンツを作成する以外にも、オウンドメディアを立ち上げる、SNSを活用するなどさまざまな方法があります。自社にあった方法を採用し、ECサイトへの集客を図ってみてください。