【調査】AI活用者の8割超が危機感。日常業務だけでは人材価値が下がる~効率化の先にある、少数精鋭化と個に求められる上流スキル重視の時代~

ECマーケティング株式会社は、日常業務でAIを活用している企業の担当者183名を対象に、業務効率状況や職場の採用意識などアンケート調査を行いました。本記事で全調査結果をご覧いただけます。

目次

調査の背景と目的

AI活用がWeb担当者の実務に浸透し、用途は文章作成にとどまらず、調査設計、制作、分析、業務再設計まで活用範囲を広げています。こうした中で、企業は「人を増やすか」「今いる人の生産性を上げるか」という判断を迫られており、個人側にもAIを使いこなす力がこれまで以上に求められつつあります。

本調査は、Web担当者のAI活用実態を把握するとともに、AI活用が業務時間の圧縮感、人員採用の必要性、企業の採用方針、人材に求められる能力認識にどのような影響を与えているかを明らかにすることを目的としています。あわせて、AI時代において企業が今後どこに注力すべきか、また個人がどのような危機感やキャリア意識を持っているか可視化すること目的としています。

調査概要

調査回答者:国内20代~60代の有職者業務(日常業務でAI活用している人)
有効回答数:183名
調査期間:2026/4/28~2026/5/2
調査機関:ECマーケティング株式会社 調査方法:インターネット調査

本調査の回答者属性補足

年齢では30代が33.9%で最も多く、次いで40代が29.0%、50代が20.2%、20代が14.2%でした。60代以上は2.7%で、実務の中心層である30代〜50代が大半を占めています。
勤務先業種では、製造業が24.6%で最多、次いで情報通信・ITが19.7%、金融・保険が10.9%、建設業が9.8%、小売・ECが9.3%でした。特定業界に偏りすぎず、比較的幅広い業種のWeb関連担当者が含まれている構成です。
従業員規模は、51〜200名が16.6%、10,001名以上が15.5%、201〜500名と1,001〜3,000名がともに14.4%、50名以下と501〜1,000名がともに13.3%で、企業規模も小規模から大企業まで分散しています。全体として、特定の規模や業界だけの話ではなく、広く企業実務におけるAI活用意識を捉えた調査といえます。

AI活用実態

日常業務におけるAIの利用頻度や、活用用途などを確認しました。回答者の6割超がほぼ毎日AIを活用していました。また、AI活用により業務処理時間の圧縮度40%以上と回答した人は約50%となり、利用頻度と効率化の恩恵には相関性が見られます。

設問1:業務において、AIツールの利用頻度を教えてください。(単一回答)

AI利用はかなり日常化しており、「ほぼ毎日活用している」が44.2%で最多、「毎日複数回活用している」も18.1%でした。毎日利用層だけで6割超に達していることから、AIは一部の先進層だけの試行段階ではなく、実務インフラとして定着し始めている様子がうかがえます。

設問2:AIを活用している業務をお選びください。(複数回答)

活用業務では「アンケート調査設計」42.1%、「サイト制作・リニューアル」36.6%、「動画制作」32.8%が上位でした。議事録作成など定型的な文章業務だけでなく、調査設計やイベント・サイト運営にも広がっており、AI活用が“補助作業”から“企画・運営周辺”へ拡張していることが見て取れます。

また、割合は高くないものの採用合の否判定や人事評価などAIに人間の評価を委ねている点は興味深いポイントです。実際に、私情を挟まず客観視できる点は人よりAIが適している領域といえます。

設問3:下記AIエージェントごとに活用用途を選んでください。(単一回答)

ChatGPTは「文章作成・要約」35.0%が突出し、Geminiは「SEO/AEO/LLMO施策立案」21.3%や「アイデア出し・企画立案」20.8%が高めでした。NotebookLMは「SEO/AEO/LLMO施策立案」17.5%と「データ整理・分析」16.9%、Canvaは「画像・動画・クリエイティブ制作」10.9%が比較的高く、ツールごとに用途が分化し始めている点が特徴です。

設問4:AI活用によって、あなたの業務処理時間はどの程度圧縮されたと感じますか。(単一回答)

「40%程度」と「30%程度」がともに37.2%で最多となり、合計74.4%が3〜4割の業務圧縮を実感しています。「50%以上」も12.6%あり、AIは単なる効率化の印象論ではなく、かなり具体的な時短効果として認識されていると考えられます。

AI推進と採用意欲

AIが人の代わりに業務をこなしてくれるようになると、これまで採用予定だったポジションがAIに代替される場面が推測されます。
回答者の業務領域や職場におけるAI導入前後の採用意欲、採用基準へのAIスキル考慮などを聞いてみました。

設問5:あなたの担当領域で、AI活用が進めば新たに採用しなくても回せる業務が増えると思いますか。(単一回答)

「強くそう思う」18.6%、「ややそう思う」60.7%で、約8割が採用不要で回せる業務の増加を見込んでいます。AI活用が業務量の圧縮だけでなく、人員計画そのものに影響を与えうると認識されている点が重要です。

参考クロス分析:年齢+採用せず回せる業務は増えるか

「強くそう思う」層は30代・40代が中心で、特に30代比率が相対的に高めです。一方、「どちらともいえない」では40代・50代の比率がやや高く、年代が上がるほどAIによる採用代替への見方が慎重になる傾向も読み取れます。

設問6:あなたの職場では、AI活用を前提に業務配分や役割分担を見直す動きがありますか。(単一回答)

「すでに進んでいる」20.2%、「やや進み始めている」54.6%で、4分の3超が見直しの動きを認識しています。AI導入はツール導入だけで完結せず、役割分担や組織運営の再設計を伴う段階に入りつつあるといえます。

設問7:あなたの職場では、AI導入後に「人を増やすより、今いる人の生産性向上を優先する」という考えが強まっていると感じますか。(単一回答)

「強くそう思う」18.6%、「ややそう思う」65.0%で、83.6%が生産性向上優先の流れを感じています。採用拡大よりも既存人材のAI活用を通じた成果最大化へ軸足が移っている構図が鮮明です。

設問8:職場における「人員を増やす必要性」は、AI活用前と比べてどう変わりましたか。(単一回答)

「大きく下がった」12.6%、「やや下がった」51.4%で、64.0%が採用必要性の低下を感じています。一方で「変わらない」も29.5%あり、AIが効率化を進めても、すべての業務で直ちに採用抑制へつながるわけではないことも示されています。

参考クロス分析:AIでの業務圧縮度と採用必要性変化

時間圧縮が「50%以上」の層では、「大きく下がった」30.4%、「やや下がった」43.5%で、採用必要性低下の認識が最も強く出ています。圧縮率が低いほど「変わらない」比率が高い点からも、採用への影響を左右しているのはAI導入そのものより、実際にどれだけ業務を圧縮できたかであることが分かります。AIの利便性を経験している人ほど、採用の優先度が下がっていると推測されます。

設問9:今後1~2年で、新規採用よりもAI活用強化を優先する企業は増えると思いますか。(単一回答)

「強くそう思う」18.0%、「ややそう思う」64.5%で、82.5%がこの流れの拡大を見込んでいます。現状認識だけでなく、将来予測としても“採用よりAI活用”の方向性が主流になると見られています。

設問10:あなたの職場で採用基準にAIの習熟度やスキルレベルを含める動きがありますか。(単一回答)

「すでに進んでいる」14.8%、「やや進み始めている」49.7%、「検討段階」26.2%で、計9割近くが何らかの動きを認識しています。採用数の議論だけでなく、採用基準そのものがAI前提へシフトしていることがうかがえます。

AI時代に求められる能力・個人や企業の危機意識

AIに代替されない人間の能力は何なのか、普段AI活用するうえでの考えを聞いてみました。また、AI活用が進むことで組織が個人に求める評価水準はどう変わるのかについても回答いただきました。既に日常業務でAI活用している方の回答ゆえ、いずれも説得力を感じます。

設問11:次のうち、AIでは代替しにくく、今後も人間に強く求められる能力はどれだと思いますか。(複数回答)

最多は「戦略立案力」45.4%で、次いで「顧客理解力」37.7%、「言語化する能力」35.0%でした。単純作業よりも、顧客や事業を踏まえて方向性を決める力、意味づけして伝える力に人間の価値が残ると認識されているようです。

参考クロス分析:AI活用頻度+代替しにくいスキル

代替しにくい能力として「課題設定力」「最終意思決定」「倫理・リスク判断」などを挙げた層では、毎日複数回利用の比率が比較的高めです。AI活用が進んだ人ほど、人間に残る役割をより上流の判断や責任領域として捉えている可能性があります。

設問12:AI活用が進むほど、個人に求められる下記水準はどうなると思いますか。(単一回答)

「高くなる」が最多だったのは「業務の処理能力」69.9%、「業務の成果」59.0%、「業務の処理速度」51.3%でした。AI導入で個人の負荷が下がるというより、むしろより高い成果責任や処理能力が求められるという受け止めが強いといえます。

設問13:AI活用が進むことで「一般的な実務だけでは人材価値が下がる」という危機感をどの程度感じますか。(単一回答)

「非常に強く感じる」21.3%、「やや感じる」61.2%で、82.5%が危機感を持っています。AIの浸透が、単なる効率化ツールではなく、人材価値の再評価を迫る存在として受け止められていることが分かります。

参考クロス分析:AI活用頻度(月数回以上)+人材価値低下の危機感

「非常に強く感じる」層では、毎日複数回利用が48.7%と高く、AIヘビーユーザーほど危機感が強い構図です。AIを深く使うほど、便利さだけでなく“代替される業務”と“価値が残る業務”の差を体感していると考えられます。

設問14:転職やキャリア形成の観点で、今後は「AIを使えないこと」自体が不利になると感じますか。(単一回答)

「非常に強く感じる」19.7%、「やや感じる」59.6%で、79.3%が不利になると認識しています。AIを使えるかどうかは、今後の転職市場や社内評価で“加点要素”ではなく“前提条件”に近づいていく可能性があります。

設問15:あなたの職場で、今後注力すべきと思うことをすべてお選びください。(複数回答)

最多は「AIを前提にした業務フロー再設計」55.2%で、次いで「少数精鋭化を見据えた人材育成」43.2%、「全社員のAI活用スキル向上」30.6%でした。単にAIツールを配るのではなく、業務設計と人材育成をセットで見直す必要性が強く認識されています。

設問16:新規採用人材の教育・マネジメントと、AI活用による自身の業務効率・成果向上、あなたが担当するならどちらを希望しますか。(単一回答)

「採用人材の教育・マネジメントをやや希望する」50.3%が最多で、「強く希望する」20.2%を合わせると7割超が採用・育成側を選びました。現時点ではAI活用の重要性を認識しつつも、自身が担う役割としては“人を育てて回す”ことへの志向がなお強いといえます。

設問17:今後、AI活用が進んでいない企業はあらゆるビジネス競争で遅れを取ると感じますか。(単一回答)

「非常に強く感じる」25.1%、「やや感じる」58.5%で、83.6%が遅れを取ると見ています。AI活用は個人業務の効率化にとどまらず、企業競争力そのものに直結する経営課題として認識されていることが明確です。

まとめ

今回の調査では、Web担当者の間でAI活用がすでに日常業務へ深く入り込んでいる実態が確認されました。とくに利用頻度の高さ、3〜4割規模の時間圧縮実感、採用せずに回せる業務が増えるという認識の広がりから、AIは“便利な補助ツール”ではなく、業務設計や人員計画に影響を与える実務基盤として受け止められています。


一方で、AIが広がるほど人間に求められる価値が下がるのではなく、むしろ戦略立案力、顧客理解力、言語化力など、上流の判断や意味づけの力がより重視されるという見方も明確でした。つまり、AI時代の人材価値は「何を手作業でこなせるか」ではなく、「AIを使いながら、何を判断し、どう成果につなげられるか」に移っているといえます。


企業側にとっては、採用の量を増やすよりも、既存人材のAI活用スキル向上と業務フロー再設計をどう進めるかが重要になります。個人側にとっては、AIを使えないこと自体が不利になるという認識が多数派であり、危機感を“焦り”で終わらせず、実務で使いこなす力へ変換できるかが今後の分岐点になるでしょう。

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この記事を書いた人

Webコンサルタント
広告代理店にてメディア運営・SEOディレクション・Web広告運用を経験。
現在はコンテンツSEOとWeb担当者向けメディア『Webly』の編集を担当。

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