【Web担調査】MA/CRMツール利用者の実態調査レポート2026~導入企業担当159名が明かす成果格差の実態と構造課題、AI代替の展望まで~

ECマーケティング株式会社は、MA/CRMツールを日常業務で使用している企業の担当者159名を対象に、現場の実態や課題意識などアンケート調査を行いました。本記事で全調査結果をご覧いただけます。

目次

1.調査の背景と目的

「MAツール(マーケティングオートメーション)」と「CRMツール(顧客関係管理)」は、デジタルマーケティング領域において明確に区別されるべきツールカテゴリです。しかし現場では、両者の概念が混在したまま導入・運用されているケースが少なくありません。

ECマーケティング株式会社は、MA/CRMツールの導入・活用支援に15年以上の実績を持つ専門コンサルティング会社として、国内のMA/CRMツール利用者を対象に自主調査を実施しました。本調査は、ツールの活用実態と課題構造を定量的に可視化し、業界全体のMA/CRM活用リテラシー向上に寄与することを目的としています。

ツール選定や比較情報はベンダー側から大量に提供されています。しかし「導入後の現場で何が起きているか」「成果が出る企業と出ない企業の違いはどこにあるか」を、実際の利用者の声から定量的に示した調査は多くありません。本レポートは、その空白を埋めることを意図しています。

この記事の執筆者

伊藤 肇

【Webly編集部】執行役員 兼 シニアコンサルタント

2000年からデジタルマーケティング業界で、大手企業のウェブマーケティングを支援。Googleアナリティクスが生まれる前、2002年にサーバーの生ログを集計して「アクセスログ解析」をレポート。2006年にサイバーエージェント、アルベルト(現アクセンチュア併合)を含め業界をリードする各社を招待して「コンバージョンアップサミット」を主催。以降、800プロジェクトのサイトユーザビリティ改善に携わる。
2025年11月5日REAL VALUE(リアルバリュー)にプレゼンターとして出演。堀江貴文氏のYouTube ホリエモンチャンネルにて公開中。

調査概要

調査回答者:国内20代~60代の有職者(業務でMA/CRMツール使用経験あり)
有効回答数:159名
調査期間:2026/3/2~2026/3/10
調査機関:ECマーケティング株式会社
調査方法:インターネット調査

本調査の回答者属性補足

男性70.9%・女性29.1%。年齢層は40〜59歳が中心(40代25.6%、50代30.7%)で、現場実務経験を持つミドル〜シニア層が主体となっています。職業は会社員(事務系)44.2%、会社員(技術系)27.6%が大半を占め、実際のMA/CRM利用担当者層が反映された構成となっています。

2.「MAは新規獲得のため」という常識が現場で崩れていた

MA/CRMツールに関する一般的な説明では、「新規見込み客の獲得・育成(リードジェネレーション・ナーチャリング)」が代表的な用途として語られることが多いです。しかし今回の調査では、その認識と現場実態の間に明確な乖離が確認されました。

設問1:使用経験があるツールを選んでください。(複数回答)

Oracle、Adobe Marketo Engage、Salesforceの利用経験が比較的多く、主要ツールはあるものの、全体としては利用先が分散している実態が見られます。

設問2:MA/CRMツールの主な活用対象は誰ですか?(複数回答)

最多は「既存顧客(購入済み・契約中)」の69.2%で、「新規見込み客(リード)」51.6%を大きく上回りました。この結果は、ツールカテゴリの名称(MA=マーケティングオートメーション)が含意する「新規獲得」というイメージと、実際の使われ方の乖離を端的に示しています。

設問3:MA/CRMツール導入前の主な目的は何でしたか?(単一回答)

導入目的の段階でも「既存顧客の維持・フォロー」が最上位です。
つまり、利用者の多くはそもそも「既存顧客向け」の用途でこれらのツールを導入しており、ベンダー側が訴求する「新規獲得」用途は実態の主流ではないことが明らかになりました。

設問4:ツール導入前に「最も期待していた効果」は何ですか?(単一回答)

最も期待された効果は「既存顧客のLTV向上」で、新規獲得より既存顧客の深耕を重視する企業が多い傾向が見られます。

設問5:MA/CRMツール導入後、実際の用途は何でしたか?(複数回答)

実際の用途の上位は「顧客情報の一元管理」「営業アプローチ管理」というCRM的活用が占めています。一般にMAの代表機能とされるリードジェネレーション(44.0%)・リードナーチャリング(42.1%)は、これらに次ぐ位置となっています。

コンサルタント見解
MA/SFA/CRMという3カテゴリの文脈は主にBtoBマーケティングの整理として語られてきましたが、実際の現場では既存顧客への定期フォローや購入後の育成(F2転換)にMAツールを活用するケースが主流になっています。ツールの名称と実際の用途が乖離しているのは、カテゴリ定義そのものが現場実態に追いついていないからです。ベンダーの訴求軸を前提にツール選定をすると、自社の実際の用途との間にミスマッチが生まれやすくなります。

3.社内呼称も定まらないまま運用 - 概念混在の構造

活用対象だけでなく、ツール自体の「社内での呼び名」にも混乱が生じていることが明らかになりました。同一のツールを使いながら、部門によって異なる呼称で運用されているケースが、実際のコンサルティング現場でも頻繁に確認されています。

設問6:社内ではツールをどのように呼んでいましたか?(単一回答)

「特に決まった呼び方はない」が23.9%と、全選択肢の中で2位(1位は「CRMツール」28.9%)となりました。「MAツール」と呼んでいるのは20.8%に留まっています。また、同じカテゴリのツールを「CRM」「MA」「SFA」とそれぞれ別の部門が別の名称で呼んでいるという現象が起きていることも示唆されます。

コンサルタント見解
同じツールを「CRM」と呼ぶ部門と「MA」と呼ぶ部門が社内で共存しているケースは、コンサルティング現場でも頻繁に遭遇します。呼称が定まっていないということは、ツールの役割定義が組織として合意されていないことを意味します。これが活用施策の設計にズレを生む根本原因のひとつです。ツール導入の前に「このツールを何のために、誰が、どう使うか」を言語化し組織で合意する——という当たり前のステップが、驚くほど省略されています。

4.「使いこなせている」の実態と課題の構造

ツールを導入した企業の実態として、「使いこなせている」という自己評価と、実際に抱えている課題の間には興味深い構造が見えてきます。

設問7:MA/CRMツールを「使いこなせている」と感じますか?一番近いものを1つ選んでください。

「使いこなせている」(非常にそう思う+ある程度)と回答した割合は73.0%にのぼります。一見ポジティブな数字に見えますが、後続設問と組み合わせると別の構造が浮かび上がります。

設問8:「使いこなせている」方へ、そう感じる用途はどれですか?(単一回答)

使いこなせていると感じる用途の1位は「顧客情報の一元管理」21.6%です。これは最も基礎的な機能であり、裏を返せば「高度な機能は使いこなせていない」という状況を示しています。

設問9:MA/CRMツール活用における主な課題はどれですか?(複数回答)

課題は「運用人材・スキル不足」「データ整備不足」が上位で、ツール導入後の体制づくりやデータ基盤整備が活用の壁になっていると考えられます。

設問10:CRM/SFAとの連携状況はどうでしたか?(単一回答)

「十分に連携できている」はわずか20.1%。「一部のみ連携」が59.1%と最多であり、システム統合の不完全さが運用に影響を与えていることが示唆されます。

コンサルタント見解
「使いこなせている」73%という数字は、実態として「一番基礎的な機能は動かせている」という意味に近いと考えるべきです。課題の上位に「人材・スキル不足」「データ整備不十分」「機能多すぎ」が並ぶ構造は、ツールの導入後に本来行うべき「運用設計」「組織体制整備」「データクレンジング」が後回しにされてきた実態を示しています。

5.ツール導入コストの実態—費用帯と活用度・成果の相関

MA/CRMツールの月額費用は、活用度や成果と関係があるのでしょうか。今回の調査では、費用帯別の使いこなし度・成果達成度を分析しました。

設問11:使用ツールの月額費用はどのくらいでしたか?(単一回答)

月額費用は「分からない」が最多で、次いで5万~10万円帯が続きました。現場利用者が費用を正確に把握しないまま運用しているケースも一定数あると考えられます。

クロス分析①ツール月額費用 × 使いこなし度

「非常にそう思う」層では31〜50万円帯が33.3%と最多。「あまりそう思わない」層では5万円未満が17.1%と最多です。高価格帯ツールを使う企業ほど使いこなし度が高い傾向が見られます。

クロス分析②ツール月額費用 × 成果達成度

月額費用帯別に、成果達成度の分布を確認します(各行は当該成果評価グループ内でのツール費用帯の比率)

成果未達(「あまり得られていない」)の29.6%が5万円未満ツールを使用。成果達成(「想定以上」)層では11〜20万円帯が27.6%と最多で、5万円未満はわずか3.4%です。

コンサルタント見解
 「安いツールで試してみる」というアプローチは一見リスクが低く見えますが、データはその逆を示しています。5万円未満の低価格帯ツールは機能が限定的なことが多く、活用の幅が狭まりやすいと考えられます。一方で、31万円以上の高価格帯は機能が豊富なぶん、スキルと運用設計が整った組織でなければ活かしきれません。費用帯の選定は、自社のスキルセットと運用体制とのマッチングで決めるべきです。

6.成果と活用度を決める外部支援の有無

ツール導入時にどのような外部支援を活用したかによって、その後の使いこなし度や成果に差が生じているのでしょうか。今回の調査では、この問いを定量的に検証しました。

設問12:ツール導入時に、外部支援(ツールベンダー・コンサル等)を利用しましたか?(単一回答)

外部支援は「ベンダーとコンサルの両方利用」が最多で、導入時にはツール提供だけでなく、運用設計まで含めた支援を求める企業が多いと見られます。

設問13:コンサル会社の月額費用はどのくらいでしたか?※外部支援利用者のみ (単一回答)

コンサル費用は11万~20万円帯が最多で、次いで21万~30万円帯でした。一定の費用をかけて専門支援を受ける企業が主流といえそうです。

クロス分析③外部支援有無 × 使いこなし度

「非常にそう思う」(n=33)のうち、ベンダー+コンサル両方利用が54.5%と過半数。一方「あまりそう思わない」(n=35)では「どちらも利用していない」が40.0%と最多でした。

クロス分析④外部支援有無 × 成果達成度

成果未達(「あまり得られていない」)の40.7%が「どちらも利用していない」企業。「ほとんど得られていない」の2社はいずれも支援なしまたは分からない。

クロス分析⑤外部支援の月額✕成果達成度

成果未達(「あまり得られていない」)では5万円未満と51万円以上が各22.2%。一方、成果達成(「想定以上」)では21〜30万円帯が31.6%と最多です。適切な費用帯(11〜30万円)のコンサルを活用した企業で成果達成率が高い傾向が見られます。

コンサルタント見解
「ツールベンダーだけに頼る」「コンサルを入れない」という導入パターンは、成果未達と強く相関しています。ベンダーはツールの使い方を教えますが、「自社の運用にどう組み込むか」という設計は教えません。コンサルの役割はまさにその空白を埋めることです。また、コンサル費用が5万円未満でも成果未達率が高い点は注目に値します。適切な専門性を持つコンサルには相応のコストがかかることを前提に投資判断することが重要です。

7.成果格差の分岐点は「営業連携」だった

成果が出ている企業と出ていない企業の違いはどこにあるのか——今回の調査では、その分岐点が「営業部門による活用状況」にあることが定量的に確認されました。

設問14:営業部門はMA/CRMで生成されたリード・データを活用していますか?(単一回答)

営業部門では「一部は活用している」が過半数を占める一方、「積極活用」は3割弱にとどまりました。営業連携にはまだ伸びしろが大きい状況です。

設問15:ツール導入前に期待していた成果は得られましたか?(単一回答)

成果実感は「ある程度得られている」が最多で、一定の成果は見られる一方、想定以上の成果まで到達している企業は一部に限られることが分かります。

クロス分析⑥営業活用✕成果達成度

営業部門が「積極的に活用している」企業では86.2%が「想定以上の成果が得られている」と回答。一方、「ほとんど活用していない」企業では、成果未達が過半数に達します。

設問16: 「成果が出ていない」と感じる最大の理由は何だと思いますか?(単一回答)

最大の理由は「人材・スキルの問題」(41.4%)です。そして「ツールの問題」を挙げた回答者は0%でした。これは今回の調査で最も重要な発見のひとつです。

コンサルタント見解
私自身25年間にわたり数100社のMA/CRM導入支援を経験してきましたが、ツールそのものが原因で成果が出なかったケースはほとんど記憶にありません。問題は常に、戦略設計・シナリオ設計・組織体制の3点に収斂します。ツール選定に時間をかける企業ほど、運用設計がおろそかになる傾向があります。また、営業連携の重要性は今回の数値が雄弁に語っています。「積極的に活用している」企業の86%が想定以上の成果を出しているという数字は、MA/CRMが「マーケティング部門だけの道具」である限り成果に限界があることを示しています。

8.導入前の判断基準と、事後の後悔のギャップ

ツール選定時に重視した基準と、導入後に「確認しておけばよかった」と感じることの間には、構造的なギャップが存在します。

設問17:MA/CRMツール導入前に「確認しておけばよかった」と思うことは?(複数回答)

導入前に確認すべき点は「データ整備の難易度」が最多で、「必要機能の整理」「営業連携の設計」も続きました。選定前の実務設計の重要性が表れています。

設問18:MA/CRMツール選定時、何を重視しましたか?(複数回答)

選定時の重視点1位は「導入事例」(47.8%)です。一方、導入後の後悔1位は「データ整備の難易度」(52.8%)。選定時には「他社がうまくいっているか」を確認するのに、実際に導入してみると「データが整っていなかった」「営業連携の設計ができていなかった」という実務的な問題に直面しています。

コンサルタント見解
「導入事例」を最重視する選定プロセスは、ベンダーが最も得意とするセールストークの土俵です。しかし導入後に困るのは「データが汚い」「営業が使ってくれない」「シナリオが描けない」という、事例では語られない現実です。ツール選定の前に、自社のデータ品質・組織体制・営業との連携設計を棚卸しすることが、成果への最短経路です。
3年以内のAI代替を6割が予測——その先に何が必要か
AIエージェントや生成AI技術の台頭を受け、現在使用しているMA/CRMツールの代替可能性についても調査しました。

設問19:あなたが使用しているMA/CRMツールは、今後AIエージェントや生成AI技術により代替されると思いますか?(単一回答)

「1年以内」(17.6%)と「2〜3年以内」(44.0%)を合計すると、61.6%が3年以内の代替を予測しています。「当面代替されない」と答えたのはわずか12.6%でした。

設問20:MA/CRM活用を推進するうえで、ツール以外にどんな支援が必要と感じますか?(複数回答)

「ツール以外に必要な支援」の1位は「社内教育・研修」(57.9%)です。「データ整備・クレンジング」(46.5%)、「組織連携支援」(44.7%)、「運用設計・シナリオ設計」(43.4%)と続きます。

コンサルタント見解
AI代替への高い予測は、現在のツールへの不満足感とも連動しています。重要なのは「AIがツールを代替した後も、人と組織の課題は変わらない」という点です。今回の調査で必要な支援の上位に挙がった「社内教育」「データ整備」「組織連携」「シナリオ設計」は、どれもツールでは解決できない問題です。AIが進化しても、これらの課題が自動的に解決されるわけではありません。

9.まとめ:現場視点から

今回の調査を通じて、国内のMA/CRM活用における4つの構造的課題が浮かび上がりました。

  • 「ツールの用途」と「ツール名称」のミスマッチ
    ——既存顧客向けにMAを使っているのに「MAは新規獲得のため」という認識が刷り込まれている
  • 「呼称」も「役割定義」も組織で合意されていない
    ——同一ツールが部門によって異なる名前で呼ばれ、活用方針が統一されていない
  • 「ツール選定」に力を入れ、「運用設計」を軽視している
    ——導入前の後悔が「データ整備」「営業連携設計」に集中しているのがその証拠
  • 「営業連携」が成果の最大分岐点
    ——積極活用企業の86%が想定以上の成果を出している事実が、解決策を示している

ツールへの投資よりも先に、「誰が、何のために、どう使うか」を組織で合意すること——これが25年の支援経験から導き出された、シンプルかつ本質的な答えです。ECマーケティング株式会社は、ツール中立の立場からMA/CRMの導入・活用支援を行っています。ツール選定前の現状整理から、導入後の運用設計・組織連携・効果測定まで、一貫して支援します。

この記事の執筆者

伊藤 肇

【Webly編集部】執行役員 兼 シニアコンサルタント

2000年からデジタルマーケティング業界で、大手企業のウェブマーケティングを支援。Googleアナリティクスが生まれる前、2002年にサーバーの生ログを集計して「アクセスログ解析」をレポート。2006年にサイバーエージェント、アルベルト(現アクセンチュア併合)を含め業界をリードする各社を招待して「コンバージョンアップサミット」を主催。以降、800プロジェクトのサイトユーザビリティ改善に携わる。
2025年11月5日REAL VALUE(リアルバリュー)にプレゼンターとして出演。堀江貴文氏のYouTube ホリエモンチャンネルにて公開中。

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この記事を書いた人

伊藤 肇のアバター 伊藤 肇 Webly編集部 シニアコンサルタント

2000年からデジタルマーケティング業界で、大手企業のウェブマーケティングを支援。Googleアナリティクスが生まれる前、2002年にサーバーの生ログを集計して「アクセスログ解析」をレポート。Googleアドワーズが生まれる前からWEB広告を担当、当時のコンバージョン計測は手集計。2006年にECサイトを50サイト運営しながら、サイトユーザビリティ改善の重要性に気づき、ヤコブ・ニールセンのホワイトペーパーを入手して、日本のサイトに実際に導入しCVRが向上することを発見。

2006年にサイバーエージェント、アルベルト(現アクセンチュア併合)を含め業界をリードする各社を招待して「コンバージョンアップサミット」を主催。以降、800プロジェクトのサイトユーザビリティ改善に携わる。

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