ECサイト運営を成功に導くマイルストーンのようなものがKPIです。KPIを見ながら日々改善を続けることが、売上アップへの近道ともいえます。
しかし、ECサイトの運営者は多岐にわたる業務を担当しているため、データ分析に慣れておらず、KPIを有効に活用できていないケースがあります。
そこで、この記事ではECサイトで定めるべきKPI5つとその活用方法をご紹介します。
1.ECサイトでKPIが重要な理由
そもそも、なぜECサイト運営にKPIが欠かせないのでしょうか?まずは、ECサイトにおけるKPIの基礎知識を確認しておきましょう。
KPIとKGIの関係性
KPIと似ている単語にKGIがあります。KGI(Key Goal Indicator)は重要目標達成指標とも呼ばれるもので、売上や利益率など、その企業やチームにとっての最終ゴールを指す言葉です。
一方、KPI(Key Goal Indicator)は重要業績評価指標と呼ばれ、KGIの達成度を測るために定められた中間目標のことで、購入率(CVR)や来客数(UUやセッション)目標など、KPIを達成すれば自ずとKGIが達成されるという関係性です。
ECサイト運営でKPIが欠かせない4つの理由
ECサイトの運営では、日々改善を重ねる必要がありますが、主観的な判断で進めるとうまくいかなくなった時に理由が分からず、PDCAを回せません。
特にECサイトでは、実店舗より多くのデータが蓄積されるため、どの数値を見ればいいのか、どこから手をつければいいのか改善の方向性が分かりにくいものです。
そんな時でもKPIをいくつか設定していれば、仮説を立てるための道しるべとなり、改善すべき方向性がつかめるでしょう。
KPIは最大3つ
運営にKPIが必要とはいっても、多く設定しすぎてしまうと、効果測定に時間がかかり他業務に手が回らなくなってしまいます。時間が不足すると浅い分析しかできず、次のアクションを熟考できません。KPIは多くても3つ程度にしておくようにしましょう。
さて、ここからはECサイト運営における主要なKPIを5つご紹介します。
2.カート離脱率(カゴ落ち率)~KPI①~
1つめのKPIとして、まずはカート離脱率(カゴ落ち率)について見ていきましょう。
カート離脱率(カゴ落ち率)とは?
ユーザーがカートに商品を入れたものの、購入することなく離脱することをカゴ落ちといい、その割合を「カート離脱率(カゴ落ち率)」といいます。
株式会社イー・エージェンシーが2019年に実施した調査によると、ECサイトのカート離脱率は平均約68%と、7割近くのユーザーが商品をカートに入れたまま購入していないことがわかっています。
カゴ落ちが発生する理由
ユーザーのカゴ落ちには様々な理由が考えられますが、大きな原因としては以下の4つです。
- 送料が高い
- 配送に時間がかかる
- 購入完了までのフローが長い
- ページの読み込みが遅い
自社ECサイトのカゴ落ち率が高ければ、まずはデータからカゴ落ちの理由を分析しましょう。その上で、送料や配送条件を見直す、ECサイトのUI改善を行って購入フローをわかりやすくするといった対策が有効です。
3.顧客獲得単価(CPA)とライフタイムバリュー(LTV) ~KPI②~
2つめのKPI、顧客獲得単価(CPA)とライフタイムバリュー(LTV)についてご紹介します。この2つは掛け合わせて考える必要があるので、一緒に見ていきましょう。
顧客獲得単価(CPA)とは?
顧客獲得単価(CPA)とは、Cost per Actionの略語で、1人の顧客を獲得するためにかかったコストのことです。CPAは、以下の計算式で求めます。
顧客獲得単価(CPA)=広告費用÷コンバージョン件数
例えば、広告費に10万円かけてコンバージョンを50件得られた場合には、
100,000円÷50件=2,000円
となり、1人の顧客を獲得するのに2,000円かかったことがわかります。
コンバージョンは、商品購入、サンプル商品購入、無料登録などECサイトによって異なるため、このCPAだと良い・悪いといった明確な基準はありません。ただ、前期比、先月比といったように自社の過去データと比べてCPAが下がっていれば、以前より効率よく顧客を獲得できたことになります。
ライフタイムバリュー(LTV)とは?
ライフタイムバリュー(LTV)とは、顧客生涯価値と訳されるもので、1人の顧客が一生のうちにどれくらいの利益をもたらすかを表す数字です。LTVは、以下のように計算します。
LTV=平均顧客単価×収益率×購買頻度×継続期間-(新規顧客獲得コスト+既存顧客維持コスト)
収益率などもベースにすると上記の計算式になりますが、単純に「平均購入単価×平均購入回数」として、1人のユーザーがもたらす売上を出して目安にするケースもあります。
CPAとLTVは比べるのが重要
CPAとLTVは、それぞれ単体としてもKPIとして用いられますが、2つを比較して見るとより効果的なKPIになります。
CPAがLTVより高ければ、顧客が一生かけて生み出す利益よりも高い金額で集客していることになってしまいます。集客施策を見直してCPAを下げる、もしくはSNSを活用してファン化を促進し、LTVを高めるといった工夫が必要です。
反対にLTVがCPAよりも高い場合には、健全な集客施策ができているとわかります。より集客を強化して、認知拡大を図るのもよいでしょう。
4.ブランド名やショップ名の月間指名検索数~KPI③~
自社ブランドやECサイトの認知拡大を図りたいのであれば、ブランド名やショップ名などの月間指名検索数をKPIにするとよいでしょう。特に、ECサイトを立ち上げたばかりの時期には適切なKPIになります。
月間指名検索数を調べるときには、Google Search Consoleを利用すると良いでしょう。HTMLにトラッキングコードを入れる必要がありますが、「検索アナリティクス」画面から「掲載順位」にチェックを入れると簡単に確認できます。
他にも、精度は低くなりますが、キーワードプランナーや無料で使えるサービスもいくつかあるので活用するのもおすすめです。
もし検索数が伸びなければ、認知拡大のために行っている施策が適切でない可能性があるため、Web広告やコンテンツマーケティングといった集客施策を見直すことが大切です。
5.平均注文額(AOV) ~KPI④~
平均注文額(AOV)は、Average Order Valueの略で、1人が1回の購入で注文する金額を指します。ECサイトの収益力を測るのに適したKPIですが、AOVは、以下の計算式で求められます。
AOV=総収入÷オーダー総数
月商500万円のECサイトで月500件のオーダーがあれば、AOVは1万円ということがわかります。
この値が下がってきている場合は、AOVによって訪問者をセグメント分けし、AOVの高いグループの流入経路を調べて強化する、どのような施策の後にAOVが向上するかを観察するといった対策が有効です。
6.コンバージョン率(CVR) ~KPI⑤~
コンバージョン率(CVR)は、有名な指標なのでわざわざKPIに設定する必要がないと考える人も少なくありませんが、とても大事な指標です。CVRは以下のようにして算出します。
CVR=コンバージョン数÷訪問者数×100(%)
Adobe Digital Index Consumer Electronics Report 2020によると、ECサイト全体の平均CVRは約3%といわれています。
業種によって平均値は大きく異なりますが、自社のCVRが低いようなら、商品画像を工夫する、レビューを集めるといった施策を行ってユーザーのコンバージョンへの心理的なハードルを下げたり、購入意欲を上げるコンテンツを用意したりすると、改善する可能性があります。
7.まとめ
ECサイトで設定するのにおすすめのKPIを5つ紹介してきました。ECサイトがどのステージにいるのか、また現時点で目標とするゴールは何なのかによって、自社にとって適切なKPIは異なります。
ゴールを明確にし、適切なKPIを設定することで効率的なECサイト運営を進めましょう。
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