コンテンツSEOは良質なコンテンツを継続的に発信し、検索エンジンからの集客拡大を目指すSEO対策のひとつです。
コンテンツSEOの導入を検討しているWeb担当者は、メリットとデメリットを知り、自社に合った施策なのかを見極めることが大切です。
そこで今回は、コンテンツSEOの施策内容やメリット・デメリット、費用や効果が出るまでの期間、内製と外注どちらが良いのかを解説します。
1.コンテンツSEOの施策内容
コンテンツSEOとは、SEO対策の1つの方法です。主に記事コンテンツを発信して検索エンジンからの集客を狙います。
Googleはユーザーにとって利用価値の高い検索エンジンであることを目指しています。そのため、読者のニーズを満たすコンテンツを作ることで、検索結果に上位表示されやすくなり、Webサイトへの流入数を増やすことができます。
読者のニーズを把握するためには、ターゲット設定やキーワード選定、構成作成などの手順を経て記事作成を行うことが一般的です。加えて、SEO的な知見も含めながらライティングをすることで、より成果につながりやすくなります。
2021年7月の調査では、スマホで調べものをする人の93%が検索エンジンから情報収集をしています。検索エンジンで上位表示できれば多くのユーザーの目に触れられるため、SEO対策の重要性は言うまでもありませんが、そのインパクトを具体的な数字で見てみましょう。
2021年の統計によると、Googleの検索結果の1~5位までの平均クリック率は約8%、6~10位までの平均クリック率は約1%となっています。仮に月間検索数2,000件のキーワードで50本の記事を書いた場合、全ての記事が5位以内なら1ヵ月のアクセス数は約8,000件、1年で約96,000件になる計算です。実際には、周辺キーワードでも流入してくる可能性が高いため、さらなるアクセスの伸びも期待できます。
2.コンテンツSEOのメリット
多くの企業が取り組んでいることからもわかるように、コンテンツSEOには様々なメリットがあります。ここでは、コンテンツSEOの6つのメリットについてみてみましょう。
長期間に渡って安定した集客ができる
コンテンツSEOは長期間に渡って安定した集客ができる施策です。
一度公開したコンテンツは自ら削除しない限り半永久的に検索エンジンに残り、自然検索からの流入を獲得し続けます。数年前に公開したコンテンツから未だにアクセスがあるというケースもみられます。
新聞やTV、インターネットなどの広告は発信直後には爆発的な集客効果を生み出しますが、時間が経つにつれて忘れられてしまいます。広告から長期的に集客を行うのは、広告費を確保し続ける必要があるため、あまり現実的ではないかもしれません。
SNS長期間に渡って見込み客を増やし続けられることは、コンテンツSEOの大きなメリットといえるでしょう。
長期的にみた時の費用対効果が高い
コンテンツSEOは長期的にみた時の費用対効果が高い施策です。
新聞広告やTVCMの場合、一度にかなり高額な費用がかかります。新聞広告は全国に出そうとすると約200万円、TVCMは1回15秒間の放送で約100万円です。継続して広告を出し続けたいなら、さらに費用が必要になるでしょう。
一方、コンテンツを内製するなら制作費は実質0、外注したとしても1本あたり約3~15万円で済みます。しかも、一度コンテンツを制作してしまえば追加料金なしで集客し続けます。早く始めれば始めるほど、費用対効果を実感しやすい施策といえるでしょう。
顧客の育成(ナーチャリング)ができる
コンテンツSEOには、顧客の育成(ナーチャリング)ができるといったメリットもあります。ナーチャリングとは、ユーザーの購買意欲を段階的に醸成するマーケティング手法です。
顧客は、サービスへの興味関心度により3種類に分けられます。
- 潜在層…自社商品に関連するテーマに興味はあるが、商品を認知していない
- 準顕在層…自社商品を認知しているが、購入を検討していない(特徴や他社との違いを理解していない)
- 顕在層…自社商品の購入を検討しており、情報収集している
コンテンツSEOでは、「自社商品をPR(潜在層向け)」「他社商品との違いを解説(準顕在層向け)」「商品の体験記(顕在層向け)」といったように、段階別にコンテンツを制作することで顧客との関係性を深めることに役立ちます。
コンテンツが蓄積し資産となる
作ったコンテンツは、Webサイトに蓄積し続け資産となります。
長期間に渡って上位表示されるコンテンツを増やせば、Webサイトの集客力は着実に上がっていきます。さらに、優良なコンテンツが増えれば増えるほど、Webサイトのドメインパワーが上がり、過去の記事も順位が上がりやすくなります。
※ドメインパワー…検索エンジンからの信頼性のことで検索順位を決める項目のひとつ。Webサイトの更新性、実績、被リンクの質・量などが影響する。
しっかりと成果を出すためにも、Googleやユーザーから評価される良質な記事を蓄積することが大切です。
自社のブランディングができる
コンテンツSEO施策では自社のブランディングもできます。Webサイトの情報を充実させるほど、顧客からプロフェッショナルとして認知してもらいやすくなり、安心感や信頼感を醸成できるでしょう。
例えば、あなたが住宅を購入する場合どちらのハウスメーカーに依頼するでしょうか。
- ハウスメーカーA
住宅の紹介ページのみ。
- ハウスメーカーB
住宅の紹介ページに加えて、住宅を購入する際の注意点や住宅の選び方、費用や住宅ローンについて解説しているページがある。
Webサイトの情報だけで判断するならハウスメーカーBを選ぶのではないでしょうか。
検索結果の上位を自社コンテンツで埋めれば、そのKWやテーマの「第一人者」「プロフェッショナル」というイメージがつきやすくなります。適切にブランディングを行うためにも、コンテンツは多様なジャンルを扱うのではなく、テーマを絞って実施するのが一般的です。
SNSでの拡散が期待できる
コンテンツSEOはSNSでの拡散が期待できる施策です。学びになるコンテンツや面白いコンテンツ、話題性のあるコンテンツを作ることで、読者が拡散してくれやすくなります。
SNSで拡散されると単純にWebサイトへの流入が増えるだけでなく、外部のブログやホームページで紹介されることが増え、自然な被リンクを獲得できます。
※被リンク…外部のサイトに自社サイトのリンクが貼られること。自社メディアで書いた記事が同じテーマのメディアから引用という形でリンクされるといったような、自然な文脈のリンクが高く評価されやすい。
SNSでの拡散により自然な被リンクが蓄積していけば、該当コンテンツが上位表示されやすくなるだけでなく、サイト全体のドメインパワーも向上します。
3.コンテンツSEOのデメリット
ここでは、コンテンツSEOのデメリットを5つ紹介します。メリットだけでなくデメリットも知って、実際にコンテンツSEOを実施するか判断しましょう。
効果が出るまでに時間がかかる
コンテンツSEOは効果が出るまでに時間がかかる施策です。通常、コンテンツを投稿してから検索エンジンが評価をするまでに2~3ヵ月はかかります。
Googleは読者のクリック率や滞在時間、直帰率などを加味して順位を決めています。新しく投稿したコンテンツはデータが蓄積されていないため、上位表示されにくいのです。
Googleが評価をしやすいように、Webサイトの構造を整えたり内部リンクを追加したりすることもできますが、数日で結果が出ることはほとんどありません。
※内部リンク…同じWebサイト内のページ同士をつなぐリンクのこと。関連性の高いページ同士をつなげることでGoogleから評価されやすくなる。
コンテンツSEOを導入する際は、広告に比べて即効性はないこと、その分長期的な集客効果を期待できることを社内で共有しておくといいでしょう。
コンテンツを蓄積する必要がある
コンテンツSEOで成果を出すには、コンテンツを蓄積する必要があります。成果が出始める目安は、文字数2000~3000字程度の記事を30~50本以上です。検索数の多いキーワードで上位表示したいなら、さらに本数が必要になるでしょう。
記事を上位表示するためにはWebサイトにある程度ドメインパワーが必要です。特に、初期段階ではコンテンツの数が少なく、Webサイトの評価が低ければ順位は上がりにくくなります。
記事を内製する場合は、まとまった本数を書く工数を確保しておきましょう。外注する場合も、最低30本分の予算確保は必要です。
コンテンツの質が悪いと集客に繋がらない可能性がある
コンテンツの質が悪いと上手く集客に繋がらない可能性があります。
質の悪いコンテンツとは、読者が求めている情報が記載されていない、信頼できる情報ではないコンテンツのことです。コピペ記事やタイトルが誇張されている記事も低品質なコンテンツとみなされます。
低品質なコンテンツは、その記事の検索順位が下がるだけでなく、Webサイト全体の評価を下げる可能性があります。
Webサイトへの流入を獲得するためには、記事を量産すればいいのではなく、読者の欲求を満たす良質なコンテンツを作り続けることが求められます。
コンテンツ作成に労力と費用、工数がかかる
コンテンツの作成に労力や費用、工数がかかるのもデメリットの1つです。
コンテンツを内製する場合は、自分で記事を書かないといけないので、その労力がかかります。ユーザーの検索意図に沿った記事を作るためには、ターゲット設定やキーワード選定、構成作成が不可欠で、SEOを意識したライティングも求められます。
コンテンツを外注する場合は、情報提供や記事の確認を行う程度で済みますが、代わりにコンテンツの制作費がかかります。
ただし、施策に労力や費用がかかるのはコンテンツSEOだけではありません。一度制作すれば長期的に効果を発揮してくれることを考慮すると、実施する価値はあるといえます。
定期的にメンテナンスする必要がある
記事のリライトやリンクの整備などメンテナンスが必要になる場合もあります。
最初は上位表示できていたコンテンツでも、時間が経つにつれて順位が下がってしまうケースはよくみられます。そういった記事を再度上位表示させるためには、タイトルを変更する、古いデータを新しいものに変更する、新しい情報を追加するなどのリライトをする必要があります。
また、記事を作っても全てのコンテンツが上位表示されるわけではありません。中には、1年以上経っても順位が出ない記事もあるでしょう。そういった記事は大幅なリライトやリンクの再整備が必要かもしれません。
4.コンテンツSEOにかかる費用
コンテンツSEOを内製する場合にかかる費用は基本的には人件費のみです。ただし、キーワード選定や効果測定で使用するツールに料金が発生する場合もあります。無料で使えるものもありますが、より正確に調査したいなら有料ツールを使用した方がいいでしょう。
実際にコンテンツSEO施策を行うなら、どのくらいの工数がかかるのかリサーチした上で、人件費を計算しておきましょう。
コンテンツSEOを外注する場合にかかる費用の相場は、以下の通りです。
初期費用の相場 |
月額費用の相場(5本) |
20~50万円 |
15万円~75万円 |
初期費用は20~50万円が相場です。ターゲット設定やキーワード選定など、コンテンツSEOを展開する上での戦略立案に必要な費用です。
コンテンツの1本あたりの料金は3~15万円が一般的です。ライターに執筆だけ依頼する場合は安価、SEO会社にターゲット設定やキーワード選定、執筆、投稿後の分析まで依頼する場合は、比較的高額になるでしょう。
自社でコンテンツSEOを実施するのが不安なら、多少高額でもSEO会社に外注するのがおすすめです。反対に、自社にある程度コンテンツSEOの知識があるなら、キーワード選定や分析は自社でやって、コンテンツの制作だけ外注する方法もあります。
5.コンテンツSEOの効果が出るまでの期間
コンテンツSEOの効果が出るまでにどのくらいの期間が必要なのでしょうか。Googleによると、SEOの効果が表れるまでには「4ヵ月~1年」かかるそうです。
つまり、コンテンツSEOの効果を判断するためには、1年程度は実施し続ける必要があるということになります。特に、「転職」「脱毛」「住宅ローン」など検索数の多いビッグキーワードを狙っている場合は、競合が多いので、順位を上げるのに時間がかかるでしょう。
今後コンテンツSEOを実施する予定があるなら、なるべく早く始めるのがおすすめです。効果が出るまでに時間がかかるのは他社も同じなので、先に始めることで差をつけることができます。競合他社が既に実施している場合は、これ以上差をつけられないようにする必要があるでしょう。
6.コンテンツSEOは内製がいい?外注がいい?
コンテンツSEOは内製するのがいいのでしょうか、外注するのがいいのでしょうか。それぞれのメリットを比較してみました。
コンテンツSEOを内製する場合
コンテンツSEOを内製するメリットは以下の通りです。
【コンテンツSEOを内製するメリット】
- 費用を削減できる
- 専門性の高いコンテンツを作成できる
- 社内にSEOノウハウを蓄積できる
社内でコンテンツSEOを実施できれば外注費を削減することができます。自社のサービスについて知識のある人が直接コンテンツを制作できるので、専門性の高い記事を書くこともできるでしょう。
コンテンツSEOを内製すれば社内にノウハウを蓄積できるので、担当者が退職したとしても継続的に実施できるようになります。ただし、社内にSEOの知識がある人がいないとコンテンツを上位表示するのは難しいかもしれません。
コンテンツSEOの内製は、社内にSEOの知識がある人がいる、コンテンツを制作できるだけの工数を確保できている場合におすすめです。
コンテンツSEOを外注する場合
コンテンツSEOを外注するメリットは以下の通りです。
【コンテンツSEOを外注するメリット】
- プロが戦略的に対策してくれる
- 長期的に安定した運用ができる
- ペナルティなどのリスクを回避できる
コンテンツSEOを外注すれば、プロが戦略的に対策してくれるので、高いSEO効果を実感することができるでしょう。
Googleの検索エンジンは定期的にアップデートをしているため、変化したアルゴリズムへの対応が不可欠です。SEO会社なら変化に対応した施策を行ってくれるので、長期的に安定した運用ができます。
また、コンテンツSEOではGoogleの提示するガイドラインに違反しないことも大切です。コピペした文章や内容の薄い文章は、低品質なコンテンツとみなされてペナルティを受ける可能性があります。プロに任せておけばGoogleからペナルティを課されるリスクも回避できるでしょう。
コンテンツSEOの外注は、社内にSEOの知識がある人がいない、内製の工数を確保できないという場合におすすめです。月2本でもプロに任せることで成果に繋がったという企業もみられます。少しずつでも始めてみることが大切です。
長期間続ける予算がないという場合は、インハウス支援制度のあるSEO会社で半年程度外注して社内にノウハウを貯め、内製に切り替える方法もあります。
7.まとめ
コンテンツSEOとは、SEO対策の1種で、記事コンテンツを発信して検索エンジンからの流入を獲得する施策です。
コンテンツSEOは、長期間に渡って安定した集客を行うことができる、顧客を育成することができる、自社のブランディングができるといったメリットがあります。反対に、効果が出るまでに時間がかかる、コンテンツの質が悪いと集客に繋がらない可能性がある、コンテンツ作成に労力と費用、工数がかかるといったデメリットもあります。
コンテンツSEOを実施する際は、どれくらい費用がかかるのか、どれくらいで効果が出るのかを理解した上で、内製するか外注するかを決めるようにしましょう。