ECサイトの構築方法には、ASPカートやECパッケージ、モールへの出店といった方法がありますが、最近人気を集めているのが「ASPカート」です。ECサイトの立ち上げ経験がなくても、比較的簡単に低予算で始められます。
この記事では、ASPカートの概要とECパッケージとの違い、メリット・デメリット、ASPカートを検討するときに見ておきたいポイントについて解説します。
1.ECサイトを構築できるASPカートとは?
ECサイトの構築方法のひとつであるASPカートがどんなものか見てみましょう。
ASPカートとは?
ASPカートとは、ショッピングカートシステムのことで、ECサイト構築に必要なシステムをクラウド上で提供するサービスです。
既に完成されたシステムをレンタルで利用できるため、自社開発より利便性が高く多くの企業で利用されています。比較的安価で導入でき、ECサイトを手軽に始める助けとなるでしょう。
ASPカートとECパッケージの違いは?
ECサイトを構築する際、ASPカートに並んで選択肢として上がるのがECパッケージです。ECパッケージはECサイト立ち上げに必要な機能を一通りセットにしたソフトウェアで、必要な機能を追加して自社独自のカスタマイズができます。
独自の機能を持つECサイトが構築可能な一方で、インストールするサーバーの用意も含めると、ASPカートより初期費用が高額になってしまいます。導入費は数千万になることもあり、ECパッケージにもよりますが、年商数千万円以上はないと初期投資に見合った利益は見込めないでしょう。
最近はASPカートでもある程度のカスタマイズができるものも多く、個人事業主や年商数百万~数千万円規模の事業者であれば、APSカートを利用したECサイトの構築をおすすめします。
代表的なASPカートの種類
ECサイト立ち上げで利用できるASPカートはたくさんありますが、代表的なASPカートには以下のものがあげられます。
Shopify | カナダ発のECプラットフォーム。世界一の導入数を誇る。日本語表示で使用でき、月額29ドルのベーシックプランから299ドルのプレミアムプランまで複数のプランから選べる。Facebook上での販売も可。 |
BASE | 80万以上のECサイトで使用されている無料ASPカート。初期費用、固定費用がかからない代わりに、注文ごとに決済サービスの利用手数料などが発生する。 |
STORES.jp | 最短2分でECサイトを構築できるインスタントECサービス。毎月10,000件以上のECサイトが開設されており、無料で利用できるフリープランと月額1,980円のスタンダートプランの両方が用意されている。 |
futureshop | SaaS型ECサイト構築プラットフォーム。デザインカスタマイズが可能なことと更新性の高さが特徴的。月額22,000円~のスタンダートコースや月額81,000円~のゴールドプランがある。 |
MakeShop | 22,000店で導入実績があるASPカート。売上手数料がかからないため、売上が増えても安定した収益率が見込める。 |
カラーミーショップ | 国内最大級のECサイト作成サービス。月額料金834円~のエコノミープラン、3,000円のレギュラープラン、7,223円のラージプランなど低価格な月額料金や割安な決済手数料が特徴。 |
リピスト | 定期購入の設定ができるASPカートで、リピーターが多い事業者向け。月額14,800円から利用できる。 |
Bカート | 600社以上の企業、30万社以上の事業者が利用するBtoB特化型カート。取引先ごとに価格や決済方法を設定できるなどBtoBでの受発注に必要な機能が標準機能として使用できる。 |
2.ASPカートのメリット
それでは、ASPカートによるECサイト構築のメリットを3つご紹介します。
ITの知識がなくても簡単
独自開発するのではなく既にあるシステムを使用するため、ITリテラシーに自信がなくても比較的簡単に始められます。テンプレートからデザインを選択し、システムに従って商品登録や決済機能の選択を進めればいいので、専門知識がなくても安心して立ち上げられるでしょう。
安価に導入できる
ECパッケージのようなカスタマイズの柔軟性はありませんが、その分独自開発する時間や導入コストを削減できます。販売に応じた手数料や月額料金といったランニングコストがかかるとはいえ、高価なECパッケージの導入を考えると、初期費用が圧倒的に少ないのは魅力的だと言えるでしょう。
システムの保守管理が不要
システムのアップデートやサーバーメンテナンスなどはベンダーが行なうため、自分で保守管理をする必要がありません。セキュリティ対策もお任せできるので、ECサイトの運営業務に集中できます。
3.ASPカートのデメリット
次に、導入を検討しているなら知っておきたい注意点として、ASPカートのデメリットも把握しておきましょう。
カスタマイズの自由度が低い
楽天市場やYahoo!ショッピングへの出品より自由とはいえ、デザインをテンプレートから選ばなければいけないなどカスタマイズに限りがあるケースも少なくありません。機能も限られるため、独自サービスの提供や機能にこだわりたい場合はECパッケージの方が向いているでしょう。
外部連携が制限される
ASPカートごとに連携できるシステムが決まっているため、自社開発の営業支援ツールや物流システムなど独自システムとの連携はできないか、できても開発コストが発生してしまいます。あくまでASPカートが用意している枠組み内での連携が基本になります。
4.ASPカートを選ぶときに見るべきポイント
これまで主なASPカートやメリット・デメリットをご紹介してきましたが、ASPカートの種類は非常に豊富で、自社に最適なASPカートを選ぶのはとても大変です。
数多くあるASPカートの中からぴったりなものを選ぶためにチェックすべき6つのポイントを見てみましょう。
販売する商材
ASPカートによって得意分野や特徴は異なります。サプリや化粧品などリピーターを狙える商材ならリピート通販に特化したリピートカートにする、BtoBがメインなら法人に特化したASPカートにするなど、自社の商材に合わせて選びましょう。
予算
コストはASPカート次第です。初期費用、月額固定費用がない無料ASPカートは、注文に応じた決済手数料や振り込み手数料などが発生することがあります。一方、初期費用や月額費用がかかるASPカートは、手数料が少ないことが多いでしょう。
初期費用とランニングコストにどれくらいの予算を割けるのか、機能性とコストのバランスなどを考え、導入後も無理なく運用を続けられるASPカートを選ぶ必要があります。
商品数
登録できる商品数の制限の有無や上限登録数も比較するポイントです。導入後はプラン変更などで増やせることもありますが、追加料金がかかるケースもあるため、事前に把握しておくようにしましょう。
越境EC対応
海外への販売も見込んでいるなら、多言語や外貨に対応したASPカートがおすすめです。越境ECには、国内向けカートで越境機能のオプションを付けられるものや海外向けに特化した越境EC専用カートなどがあります。
外部連携機能
デメリットで挙げたように、ASPカートでは外部連携が制限されるため、どんなツールと連携可能か事前に確認しておきましょう。特に、決済機能は選択肢が多いほうがユーザーの利便性向上につながります。
スマホ対応
Webサイトをスマホで閲覧する人が増えているため、スマホ対応しているかどうかは確認しておきたいポイントです。パソコンからの閲覧が多いBtoB企業はスマホ対応していなくても影響は少ないですが、アパレルや食品、雑貨など個人がスマホで購入検討する商材を販売する場合は必ず確認しましょう。
5.ASPカートでも売上アップにはノウハウが必要
ECサイトを手軽かつ低コストで構築できるASPカートですが、ECサイトは作って終わりではなく、作ってからがスタートです。集客し売上につなげるためにはどのようなWebサイトにしていけばいいのか、試行錯誤していかなければいけません。
担当者がついたり、セミナーを開催したり、設定から集客までサポートをしてくれるベンダーや、ECサイトの構築から集客まで一貫して支援してくれるWeb系のコンサルティング会社もあるので、そういったサービスを利用してノウハウを蓄積していくのも1つの方法でしょう。
6.まとめ
ECサイトに必須なショッピングカートのシステムを提供するASPカートは、導入コストを抑えつつ必要な機能を設置できるため、新たにECサイト事業を始める場合や中小規模のECサイト運営をする場合に向いている方法です。
選んだASPカートの機能は、ECサイトの使いやすさや集客にも関わってくるため、自社サイト構築のビジョンを定め、ビジネスモデルに合ったECサイトが構築できるASPカートを選ぶようにしましょう。