近年、不動産業界のマーケティングではWebを活用した戦略が当たり前になっており、各企業が顧客のパイを奪い合う熾烈な競争が繰り広げられています。
激戦の不動産業界を生き抜くには各市場ごとの傾向とユーザの志向を掴んだ多角的なマーケティング展開が不可欠です。本記事では不動産マーケティングにおける重要施策や成功事例をご紹介します。
1.不動産マーケティングとは
不動産マーケティングは従来「その地域に住んでいる人向け」のマーケティング(ポスティング・看板)とマスメディアを利用した大規模なマーケティングが一般的でしたが、昨今は顧客獲得にWEBマーケティングを用いるケースが増えています。
データを利活用して正確にターゲティングを行うWebマーケティングはポスティング等と比較すると広範囲に、マスメディアと比較すると安価に活用できます。国民のインターネット利用率が100%に近付きつつある今、Webマーケティングの重要性は非常に高いと言えるでしょう。
不動産業界の種類と市場動向
不動産業界と一口に言ってもさまざまな種類があり、それぞれの市場ごとにターゲットユーザの傾向や必要とされるWeb戦略が大きく異なります。
不動産賃貸
賃貸のやり取りを行う事業。地域密着性の高い中小企業が多いのが特徴で、不動産投資を行っている個人オーナーの事業も含まれます。
賃貸物件の主なターゲットユーザは単身者・独身者。ターゲット設定に拠る部分もありますが、若者向けの施策が効果的なことが多い傾向にあります。
複数の会社が同一の物件を取り扱っているケースもあるため、物件の中身以外のポイントでいかに差別化できるかがマーケティングにおける重要ポイントです。
不動産売買
不動産の売買を媒介する事業。
地域密着型の中小企業が多い点は不動産賃貸業と同じですが、顧客のメインは居住用物件を売買したいファミリー層です。賃貸と比較すると総取引額が高く、検討時間が長くなる傾向にあるため、顧客との信頼関係の構築がさらに重要となります。
不動産投資・運用
投資対象として不動産を取り扱う事業。BtoC向けではありますが顧客のリテラシーが高く専門性の高い情報発信が求められ、BtoB向けに近い施策(資料請求、セミナーなど)が効果的になる傾向です。
売買と同様高額な取引となるため、顧客の検討時間が長いのも特徴です。「ワンルーム投資」と「一棟買い投資」に大きく分けられ、前者は兼業サラリーマン、後者は専業オーナーが多いため、それぞれ異なったアプローチが必要になることもあります。
不動産開発・分譲
土地を取得して住宅・オフィス棟の建築・分譲を行います。商業施設、物流施設、ホテルなどの都市機能を提供しているのも不動産開発業です。
大きく分けて住宅・マンションを売って売却益を得るビジネスモデルと施設を建ててテナントから賃貸料を得るビジネスモデルがあります。細かな業態はさまざまであり賃貸・売買・投資を並行して扱うケースもあるため、マーケティングの最適解は事業内容とターゲット層によって大きく異なります。
法人が顧客の場合はBtoBを想定したマーケティングが有効です。また、土地開発段階では候補地の決定~ニーズの把握など、土地に根差したマーケティングと分析が必要になるでしょう。
2.不動産マーケティングの概況
不動産業界は現在、さまざまな課題を抱えながら次世代に突入しようとしています。
国土交通省「不動産ビジョン2030」では、不動産業のあるべき理想的な将来像の実現に向け、デジタル化、AI、IoT等新技術の有効活用が重要な役割を担うことが示されています。今後はよりWebを利用した戦略展開が必要になってくることは間違いないでしょう。
顧客数の減少
国内の人口減少に伴って居住向けの不動産需要が低下している傾向にあり、将来的にタフな状況に置かれる企業が増加していくことが予測されます。
不動産が借り手、買い手市場となったことにより、顧客目線では安価で状態のよい物件を見つけやすくなりました。居住用物件を探す顧客は以前よりも自分に合った家探しを追求する傾向が強まったと言えるでしょう。
インターネットの普及
賃貸でも投資でも検討の初期段階でいきなり来店する顧客はほとんどおらず、現在はインターネットで情報収集・検討を行ってから購入や契約に踏み切る人が増加しました。
上記のグラフを見ていただくと、この10年程度でスマホを利用した物件調べを行っている人が圧倒的に増えていることが分かります。以前は若者世代のみが使う情報収集手段だったのが、現在では60代以上まで幅広い層の人がスマホを使って物件情報を調べてるようになりました。
地域密着型の企業であっても新聞広告・ポスティング・看板などの戦略に依存するマーケティングには限界があり、施策の転換を迫られている段階だと言えるでしょう。
顧客データの分散
DX化が進む昨今、不動産業界全体でオンラインとオフラインそれぞれで収集したデータの分散が問題視されています。
Webマーケティングが必須になりつつあるとはいえ、地域の情報網を重要視する不動産業界ではポスティングや新聞広告といったオフライン戦略の重要性が高いのも事実です。無計画にWebマーケティングを始めても、店舗やオフラインのマーケティングで得たデータを上手く活用できていなければ十分な成果は見込めません。
オンラインとオフラインのデータを一元管理し、施策の効果を可視化するデータ活用環境を整えることが大切です。
オンラインとオフライン、双方のチャネルから顧客を誘導するOMO戦略を活用するのも一つの手でしょう。例えば不動産開発大手の三井不動産では「三井ショッピングパーク ららぽーと」といった大手商業施設とのコラボなど、ECプラットフォームの活用を推進するOMO戦略を推進しています。
3.不動産マーケティングにおすすめの施策7選
施策 | 特徴 | おすすめ業界 |
---|---|---|
ポータルサイト | 自社サイト・SNSでは出会えない層にリーチできる | 不動産賃貸 不動産売買 |
メルマガ・公式LINE | データを活用して顧客一人一人に合ったメッセージを発信 | 不動産売買 不動産投資 不動産開発 |
SNS | 知名度向上に有効 顧客層を効率的に拡大できる | 不動産賃貸 不動産売買 |
動画 | 複雑な情報を分かりやすく伝えられる | 不動産投資 |
リスティング広告 | 顧客が検索しそうなキーワードからの流入で効率的にコンバージョンを増やす | 全て |
MEO(マップエンジン最適化) | マップを通じて情報収集を行うユーザにリーチできる | 不動産賃貸 不動産売買 不動産開発 |
オウンドメディア(記事コンテンツ) | 自社独自のコンテンツを発信してユーザとの関係を構築する | 全て |
ポータルサイト
不動産の物件情報や不動産会社の紹介を掲載するWebサイトのこと。SUUMO、アットホームなどが大手のポータルサイトとして知られています。特に不動産賃貸・売買の場合はまずポータルサイトを使って物件の情報を集める人も多いため、自社サイトやSNSではリーチできないユーザ層にアプローチできる手段になるでしょう。
エリア・価格・間取り・設備など様々な条件で検索することができ、見込み客のニーズにマッチした物件情報を届けられます。
ポータルサイトを利用するユーザには物件を見つけてもらいやすい点がメリットですが、掲載料がかかる分コストパフォーマンスを考慮する必要があります。独自コンテンツの発信やキャンペーンなど、他社との違いをアピールする戦略を実施する必要があるでしょう。
上述した大手のサイトだけでなく、限られた条件に特化した物件のみを集めたポータルサイトもあります(例:シェアハウスに特化した「ひつじ不動産」)。より自社の特徴に合ったサイトを利用するのがポイントです。
メルマガ・公式LINE
登録ユーザに対して物件等の情報を発信します。登録者全員に新しい情報や商品のお知らせを配信したり、特定のユーザにセグメントして「○○様におすすめの物件情報」などを送信することも可能です。
開封数や顧客の属性などのデータを利用して一人ひとりに合ったメッセージを送れるのがメリットです。
不動産は顧客単価が高く、それゆえ検討にかかる時間も長いのが特徴です。自社サービスに興味を持った顧客に対して効果的にアプローチするにあたり、これらの施策は大きな効果をもたらします。
SNS
Facebook、X、Instagram、TikTokなどを使用して、物件情報やお役立ちコンテンツを発信します。
SNS | 主なユーザ層 | 特徴 |
---|---|---|
X(旧:Twitter) | 10代~40代 | フォロワー経由での二次拡散性が高い 情報拡散のスピードが早い |
10代~50代 女性が多い | 画像・動画がメイン 視覚で訴求したいコンテンツに最適 | |
30代~50代 | 実名登録制でビジネス向き 広告>アカウントでの発信 | |
TikTok | 10代~30代 | ショート動画での拡散 若年層メインだが中高年もニーズあり |
SNSの利用自体は無料なので比較的安価な予算で始められるのがメリットですが、マーケティングとして十分な成果を出すには知名度・フォロワーを増やす施策が必須です。アカウント育成の初期投資には一定のコストをかける必要があり、決して安上がりな施策にはならない可能性が高いでしょう。
SNSの大きなメリットは潜在顧客を増やすことができる点にあります。ポータルサイトやメルマガはある程度興味とニーズが顕在化している層に効果的ですが、SNSは関心を持つ前の潜在層にもアピールできます。そのため比較的検討時間が短くBtoC的な側面が強い賃貸・売買には最適だと言えます。
アカウント開設後フォロワーが伸びない場合、知名度を上げるためにSNS広告を利用してフォロワーを増やすのがマーケティングにおける定石です。SNS広告はSNS上の顧客データを元に正確なターゲティングができるため、顧客層の効率的な拡大に役立ちます。
動画
動画コンテンツは視覚的に分かりやすく整理された情報を発信できるのがメリットです。会社の営業担当などが実際に顔を出して出演することで、信頼感・親近感を演出することもできます。
特に不動産投資・開発といった顧客に専門知識が求められる業界では、文字やイラストのコンテンツ発信のみでは情報が上手く伝わりづらい場合があります。分かりやすさに軍配の上がる動画を参考に比較検討する人も少なくないため、まだ始めていない場合はぜひ取り入れるべきでしょう。
自社サイトに掲載するのも一つの手ですが、よりたくさんの人に見てもらいたい場合はYouTubeなどの動画サイトにアップロードするのがおすすめです。
リスティング広告
リスティング広告とは、検索エンジンに表示される広告を指します。
例えば、「◯◯駅 賃貸」と入力してユーザが検索した場合、◯◯駅周辺の賃貸物件に関するリスティング広告が表示される仕組みです。
リスティング広告の設定は、キャンペーン構造・予算配分・オプション機能などをフル活用し、魅力的かつ競合と差別化する文言設定を行うスキルが求められます。広告に特化した経験とスキルを必要とするマーケティング施策です。
MEO(マップエンジン最適化)
GoogleマップやGoogle検索において、自社のGoogleビジネスプロフィール(店舗情報)を上位表示されるための施策。実在する営業所や支店、窓口がある場合、MEOに取り組むとマップ経由でユーザに見つけてもらいやすくなります。
Googleビジネスプロフィールの情報を充実させたり、定期的に投稿をしたりするなどのMEO対策を行うと上位表示されやすくなるため、ぜひ施策に組み込んでおくべきでしょう。
オウンドメディア(記事コンテンツ)
自社独自の記事コンテンツなどを提供するオウンドメディアを作ります。顧客の求める情報を記事コンテンツとして提供することで潜在顧客を増やし、関係性を深めることができるでしょう。
自社のコーポレートサイトと同じドメインに開設するケースが一般的です。
4.不動産におけるコンテンツマーケティング
SNS、オウンドメディア、動画などコンテンツを使って行うマーケティング全般を「コンテンツマーケティング」と呼びます。
不動産は顧客の検討時間が長いため、さまざまな情報を提供して価値を高めるコンテンツマーケティングと相性が良いと言えるでしょう。大手各社は既にコンテンツマーケティングに力を入れるところも多く、「ただやるだけ」では効果が現れることはありません。
今後コンテンツマーケティングに注力する場合、自社サービスに興味関心のある顧客から知識があまりない顧客まで幅広くカバーするコンテンツを制作し、定期的な情報更新によって信頼感をアピールすることが重要になります。
コンテンツマーケティングを行うことにより、以下のようなメリットが期待できます。
メリット①広告宣伝費用の削減
広告は出稿のたびに予算が必要です。特に従来よく用いられるテレビ広告などの大規模メディアを利用する場合、高額な広告宣伝費用が必要になるでしょう。
一方、コンテンツマーケティングでは相対的に低コストで広告効果を得ることができます。
また、複数回にわたってコンテンツに触れる機会があれば長期的にブランドの認知度を高めながら同時に顧客との関係構築が可能です。
広告と違ってコンテンツマーケティングによる効果が明らかになるまで時間はかかりますが、維持のコストがあまりかからないことから長い目で見ればトータルの広告宣伝コスト抑制につながります。効率的に成果を上げたい場合はWeb広告戦略と組み合わせて利用するのも有効です。
メリット②会社の信頼性が上がる
不動産業界は顧客単価が高いため検討に長い時間をかける傾向にあり、一部の会社で強引な営業を受けた経験のある人は、不動産業界全体にネガティブなイメージを持って接触をためらうケースもあります。
そういった先入観を払拭するためにも、コンテンツマーケティングを通じて質が高く有用な情報を提供することで顧客の信頼度を上げ、自社サービスを検討してもらうことができます。
メリット③顧客層を広げられる
特定の地域やライフスタイルに特化したコンテンツを作成することで、潜在顧客を引き付けることができます。ポスティング等の施策では引きつけられなかった顧客にまで裾野を広げられるのは大きなメリットでしょう。
また、顧客の中には広告を嫌う人も少なくありません。自社サービスを宣伝する広告ではなく有益な情報を提供してくれるコンテンツと認識してもらうことで、広告を嫌うユーザにも効果的にアプローチできます。
メリット③ロイヤリティを育成できる
ユーザ目線でニーズのある情報やコンテンツを継続的に配信することで、何回も自社コンテンツを見にくる人=ファンを増やし、顧客ロイヤルティを育成します。
その場ですぐに購入には至らずとも、不動産を購入したり借りたりするタイミングになって、「いつも見ているあの不動産会社に相談してみよう」と顧客になってくれるきっかけになります。
不動産コンテンツの種類
不動産業界で発信するコンテンツの種類はおおよそ以下の通り。自社と想定するターゲット層に合致したコンテンツを選んで戦略的に展開するのがポイントです。
種類 | コンテンツの例 | 向いている媒体 | こんな企業におすすめ |
---|---|---|---|
物件紹介 | お部屋紹介 間取り図 | ポータルサイト 動画 SNS | BtoC向けのマーケティングがメインの企業 |
成功事例 | 顧客インタビュー | コーポレートサイト 動画 | ユーザの検討時間が長い傾向にある企業 |
地域情報 | 地元のスポット 季節のイベント 学校、周辺施設 | オウンドメディア SNS | 地域密着度の高い企業 |
ライフスタイル | おすすめインテリア 家事のテクニック 教育 | オウンドメディア メルマガ | BtoC向けのマーケティングがメインの企業 |
不動産情報 | 市況 法律解説 専門用語解説 購入・売買のやり方 | オウンドメディア メルマガ 動画 | ユーザの検討時間が長い傾向にある企業 |
趣味 | アート スポーツ その他カルチャー | オウンドメディア 動画 SNS | 訴求したい特定のターゲットがいる企業(主にBtoC) |
特に市場・統計データや利用者の声、税法関連の情報などのコンテンツはSEO的な意味合いにとどまらず、営業ツールの機能を果たすケースもあるため、積極的に拡充していきたいところです。
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5.不動産マーケティングの戦略
不動産マーケティングにおいては以下のような戦略設計が重要です。
戦略①ターゲット設定
まずは焦点となるターゲット層を明確にし、ビジョンを社内で共有するのがマーケティングの成功には不可欠です。
年齢・性別、家族構成、生活エリア・行動エリア、収入、趣味・ライフスタイルなどの情報を「顧客ペルソナ」にまとめるのが重要になります。
戦略②データ活用
対象のニーズや課題を理解するために客観的なデータを活用する。アクセスログなどのオンラインデータはもちろん、店舗で収集したデータを有効に連携してOMO戦略につなげることが重要です。
まだデータの統合管理ができていない場合はできるだけ早くデータを統合することを目標にしましょう。正確なデータが得られるデータマネジメント基盤を構築することにより、オンライン・オフライン間で別々に管理している施策の成果を確認する体制を作ります。
コンバージョン(購入・契約)までの経路が分かれば顧客理解が進み、どの施策が効果的か明確になるでしょう。
(MAの仕組み画像)
また不動産におけるデータ活用で注目を浴びているのがMA(マーケティングオートメーション)です。顧客の属性データを分析してターゲット層を特定し、顧客層に合わせてカスタマイズしたコンテンツを配信することで、より効果的なマーケティングを実現することができます。メルマガ・公式LINE等の追客施策の質を向上させるには不可欠な技術です。
戦略③市場調査
ターゲットとなるエリアや顧客層に対して市場調査を実施します。必要であればインタビュー調査を行うことで精度が高まるでしょう。
例えば不動産賃貸業の場合、以下の項目を調査すると効果的なマーケティング施策を打ち出しやすくなります。
- 居住者の年代
- 世帯の特徴(家族構成、職業、年収、ライフスタイルなど)
- 家賃の相場
- 歴史や観光情報
- 消費者物価指数
顧客の特徴だけでなく競合調査も含めて分析を行うと、自社が展開すべき事業やマーケティング戦略を正確に把握できます。
戦略④適切なKPI設定
KPIを設定すると、計画立案・軌道修正までのフェーズを分かりやすい指標のもと行うことができます。以下、KPIの一例です。
- コンバージョン率(資料請求・問い合わせ)
- 自社サイトやブログのPV数
- ポータルサイトからの流入数
- メルマガの到達率・開封率
- SNSのフォロワー増加率
- 内覧会の参加人数
一定の期間内にKPIを達成できなかった場合、その原因を検証して改善していきましょう。検証→改善のPDCAサイクルを繰り返すことでマーケティング精度の上昇が期待できます。
戦略⑤SEO対策
SEO(検索エンジン最適化)を活用して、検索エンジンからの流入を増やします。例えば、賃貸物件を専門に扱う場合は「東京 賃貸 一戸建て」などのキーワードで対策する施策が挙げられます。
キーワードに合致するページがサイト内に存在しない場合、オウンドメディアを活用してSEO記事を書くなどの施策が有効です。思ったこと、知っていることをただ発信するだけでなく、検索エンジンに評価されやすいコンテンツを発信することでリーチを広げることができるでしょう。
サイト設計を見直したり、タグ設定を調整したりといった内部SEO対策も重要です。サイトの内部構造を変更する場合、サイトリニューアルが必要になることもあるでしょう。
不動産業界は「売買」「賃貸」「投資」など業態によって細かく分けられることは先述した通りです。ここで問題になるのが、どの業界にも共通するようなビッグワードで上位を取るには業態で競合にならないはずの企業と戦わなければならないという点です。
一般的に競合とされる企業の垣根を越えて上位争いをするため、必然的にコストが増大します。コストに見合う成果を得るには、キーワードをで上位を取るためだけの量産型記事ではなくよりも独自性のある記事を生み出す必要があります。流入後に顧客のロイヤリティを向上させるコンテンツを発信することが最も重要です。
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戦略⑥UI設計
ホームページに訪れた顧客がスムーズに問い合わせできるような導線設計を行うことも大切です。目立つ問い合わせボタンの配置や、簡単に問い合わせフォームにアクセスできるデザインに変更することで効果が期待できるでしょう。
スマートフォン表示への最適化(レスポンシブ対応)はもはや必須です。適切なユーザ調査を行ったうえで顧客層に合ったUIを設計できる制作会社を選ぶのが重要になります。
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6.不動産マーケティングのポイント・注意点
不動産におけるマーケティングを成功させるために、以下のようなポイント・注意点を抑えましょう。
最初にマーケティングの目標を設定する
「どんな顧客層にもハマる施策」は存在しません。「潜在顧客を増やしたい」「顕在顧客を購入につなげたい」など、目標によって講じるべき施策が変わってきます。
あらかじめ集客の目標を明確にすることで戦略の方向性が決まり、効果的なマーケティングができるようになります。
ブランディングを意識する
コンプライアンスを守り、認知度と信頼性を高めるブランディングは非常に重要です。
不動産会社は年々増加傾向にあり、限られた顧客を取り合う競争激化の時代に突入しています。加えて不動産業界は「しつこい」「強引」といったマイナスイメージがあり、先入観から来る印象が顧客獲得の足を引っ張っているケースも少なくありません。
顧客第一であることをアピールする清潔感のあるブランディングを意識しましょう。
独自コンテンツを模索する
ネット上には既にありとあらゆる情報が氾濫しており、一般的・セオリー通りの発信では他社との差別化は難しいのが現状です。先述した通り特に不動産業界は意図しない競合が多く、SEO対策の視点で見ても独自性・専門性がないと効果をあげるのは困難です。
自社の独自性を認識し、自社のセールスポイントを引き出すコンテンツを制作することがマーケティングにおける他社との差別化につながるでしょう。
リッチコンテンツを増やす
他社との差別化を進めるうえでは動画や画像、詳しい情報をリッチコンテンツとして提供するのも重要です。
ポータルサイトに掲載する物件写真、顧客へのインタビュー動画、記事に挿入するインフォグラフィックなど、リッチなコンテンツを充実させることで顧客の満足度を上げることができます。
定期的に効果測定を行う
アクセス数、ユーザの行動履歴などを分析し、KPIと照らし合わせて改善案を練ることでマーケティングの精度を上げることができます。
「サイトを作って終わり」「記事を上げて終わり」ではなく、効果測定と改善をセットで行うことが大切です。
複数の媒体を連動させる
コンテンツマーケティングは一つのチャネルのみに注力するのではなく、複数の媒体で連動した施策を講じることで相乗効果を得られます。
例えばSNSで話題になった内容を深掘りするブログ記事を作成する、メールマガジンで特定の動画コンテンツを紹介するなど、チャネルを横断して施策に取り組むことが推奨されます。
公式な情報を掲載するならWebサイト、自社の雰囲気や社風を伝えたいならSNS、などチャネルに応じて発信する情報を使い分けることも大切です。
7.不動産マーケティングの成功事例
ここまでご紹介してきた施策・戦略を上手く活用して成功した不動産マーケティングの事例をいくつかピックアップしました。
SUUMO:SEO対策を強化したポータルサイトで成功
リクルートが運営するSUUMOは、業界の中でも先駆けてSEO対策に取り組んでいるポータルサイトです。
リンク設計を始めサイトの構造からSEO対策を万全に行ったことにより、多くの地域キーワードで検索上位を獲得しています。現在においても同業者が手本にするいわば「リーダーサイト」のような存在として業界を牽引しているサイトです。
ひつじ不動産:シェアハウスに特化したオウンドメディア
ひつじ不動産はシェアハウスに関する情報を提供するオウンドメディア「オシャレオモシロフドウサンメディア ひつじ不動産」を運営しています。
同社はオウンドメディアを主体にして他社が出稿した物件を紹介するポータルサイトと紐づけることにより、「シェアハウスについて調べる→記事から流入→ひつじ不動産の物件を見る→契約」という流れをサイト内で完結できるビジネスモデルを作り上げました。
ひつじ不動産のオウンドメディアの強みは「具体的なライフスタイルの提供」です。シェアハウスのライフスタイルに憧れを持つ(持ちうる)ターゲット層に特化した情報を提供し、ただ借りるだけでなくどんな部屋でどんな生活を送るかまでのイメージを提供しています。
膠着した不動産業界で新たなニーズを発掘した成功事例だと言えるでしょう。
Simple NAIKEN(シンプルナイケン)不動産:Tiktokでオシャレ物件動画を発信
Simple NAIKENは大阪の不動産を中心に賃貸を販売する企業で、「非現実的」なお家をご紹介」というコンセプトのTiktokアカウントで部屋の間取りや設備、周辺環境などを丁寧に解説するスタイルが人気を博しています。
サムネイル画像で物件の魅力を視覚的にアピールするなどTiktokでの発信に特化した工夫が凝らされており、2024年8月現在のフォロワー数は約14万人。
問い合わせ導線はLINE公式アカウントのみと、SNSで完結する若者向けに徹底されたマーケティング戦略を行っています。検討期間が比較的短く、若者層の需要が厚い不動産賃貸業界でニーズを上手く掴んだ成功事例です。
RENOSY:物件検索のSEO対策を強化
株式会社GA technologiesが運営する不動産テック総合サービス「RENOSY」は、不動産投資業界におけるWebマーケティングの先駆者だと言われています。オンラインでのサービス完結を徹底し、20代~30代の若者向けにコンテンツを発信することで認知度を上げてきました。
RENOSYは5つの投資向けサービスを展開しており、2022年には会員数30万人を突破して不動産投資業界では最大となるポータルサイトを運営しています。
RENOSYはサイト内にコンバージョンまでの全ての接点があり、プラットフォームの中で完結するサービスを提供しています。プラットフォーム内でデータを統合・共有でき、かつユーザ視点でも利便性が高いという強みがあります。
また、RENOSYが徹底しているのは物件検索でのSEO対策です。ページ単位の施策ではなく、全体を俯瞰して建物詳細や一覧ページなど、同じフォーマットのページをまとめて改善することで効率的に順位を上げる「データベースSEO」を行い、物件ページの検索順位を上げています。
8.まとめ
不動産業界では、不動産賃貸・不動産売買などそれぞれの市場に合わせて適したマーケティング施策を展開することが重要です。
どの業界においても顧客の多くは時間をかけて購買を検討するため、さまざまなチャネルを通じて情報発信を行い、認知度とロイヤリティを向上させることが大切です。売上を向上するためのWebマーケティング施策にお悩みの企業様は、ぜひECマーケティングにご相談ください。