Webマーケターの中では定番になりつつあるDSP広告。アドテクノロジーの進化により誕生したDSPは、様々なターゲティングにより、広告主にとってメリットの多い広告配信ツールです。
しかし、DSP広告の仕組みは複雑で、どのようにターゲットへ広告配信しているのかよくわからないという方も多いのではないでしょうか。
この記事では、DSP広告の仕組みやメリットとデメリット、料金体系などを詳しく紹介します。
1.DSP広告の仕組み
まずはDSP広告とはどういった広告か、またどのような仕組みなのかを解説します。
DSP広告とは?
DSP広告は、DSP(Demand Side Platform)というシステムを通じて配信されるディスプレイ広告(Webサイトの広告枠に表示される広告)のことです。
広告主は社会的属性や趣味・関心事項などのユーザー属性を指定でき、狙ったターゲットに向けて広告を配信することができます。
DSP広告が誕生した背景
DSP広告の誕生経緯を説明する前に、アドネットワークについて理解しておきましょう。
アドネットワークとは、複数のWebサイトやアプリを束ねて広告を配信するネットワークのことです。従来は媒体ごとに広告を出稿していましたが、アドネットワークの誕生により複数媒体に広告を配信できるようになります。
細かなターゲティングや広告の出し分けも可能になりましたが、広告枠を指定できないというデメリットがあり、掲載してほしくない、あるいはターゲット層が少ないWebサイトにも広告が配信されました。
次第に、広告主からは「面」ではなく「人」に対してアプローチしたいというニーズが高まります。
そこで誕生したのが、ユーザーの属性に会わせて広告が配信できるDSPです。アドネットワークでは「広告枠」に配信していましたが、DSPでは枠を通して「人」にアプローチできるようになりました。
DSP広告の仕組み
DSPは広告主側のプラットフォームですが、媒体側にもSSP(Supply Side Platform)と呼ばれるプラットフォームがあります。
ユーザーが広告枠を提供しているサイトに流入すると、SSPに広告リクエストが送られます。するとSSPは各DSPに広告の入札をリクエストし、DSPは入札額を返します。SSPは帰ってきた入札額の中から最高額を提示した広告をDSPに通知し、DSPがWebサイトに広告を表示する仕組みです。
この一連の流れを実現したのは、RTB(Real Time Bidding)と呼ばれる仕組みです。名前の通り、この一連の流れは、0.1秒もかからずに実行されます。これにより、広告主が希望する「枠の取引単価」と媒体側が持つ「ユーザー属性」「最低出稿単価」を考慮した取引が、リアルタイムで行われているのです。
2.DSP広告のメリット・デメリット
それではDSP広告のメリットとデメリットを紹介します。
DSP広告のメリット
DSP広告のメリットは大きく2つあります。
狙った”ユーザー”に対してアプローチできる
DSPでは、ターゲットとするユーザーにアプローチできることが何よりものメリットです。Cookie情報を活用してユーザーをセグメント分けするので、自社サービスのペルソナに近い人や狙いたいターゲット層に向けて広告を配信できます。
ターゲティングが多岐にわたる
狙ったユーザーにアプローチできるだけでなく、そのターゲティング条件が多岐にわたることも嬉しいポイントのひとつです。昔お問い合わせをした人、トライアルセットを申し込んだことがある人など、細かく設定できます。そのため、費用対効果の良いコンバージョン獲得が期待できます。
DSP広告のデメリット
続けてDSP広告のデメリットを2つ紹介します。
各DSP広告サービスで特徴が変わる
DSP広告サービスはさまざまな会社が提供していて、それぞれ特徴が違います。ターゲティングの得意不得意や広告在庫の数、レコメンド機能の有無なども異なるため、自社の目的に合ったDSPを見極めて選ばなければなりません。
広告主はどのメディアに配信されるかわからない
DSP広告はリアルタイムの取引後に広告が表示されるため、広告主が広告の掲載先を把握することができません。どのメディアに広告配信されたかが分からないと広告運用の参考データを集められず、PDCAを回しにくいこともDSP広告のデメリットです。
また、自動車メーカーの広告が、自動車事故のニュース面に掲載される可能性もあり、ブランドを毀損する可能性があります。ただ、最近では、ブランドセーフティとよばれる機能で回避することもできるようになっています。
3. DSP広告の料金体系
DSP広告の3つの料金体系を解説します。
CPC課金(クリック課金)
CPC課金は「Cost Per Click」、つまりクリックするごとに課金されるシステムです。CPC課金ではクリック数が最大になるように配信されますが、ユーザーがクリックしない限りは広告料が発生しません。
CPM課金(インプレッション課金)
CPM課金は「Cost per Mille」の略で、Milleは1,000を意味します。CPM課金では広告が表示されるとコストが発生し、一般的には1,000回表示されるごとに課金されます。
CPI課金(インストール課金)
CPI課金は「Cost Per Install」の略で、アプリがインストールされた場合に課金されます。CPC課金ではクリックされてもインストールされるかまでは分かりませんが、CPI課金ではインストールした場合にのみ課金されるため、コストは高くなります。
インストールが確定してからの課金になるものの、インストールしたユーザーが実際にそのアプリを使用するかまではわかりません。
4.DSP広告サービスを選ぶときのポイント
それでは最後にDSP広告サービスを選ぶときのポイントを紹介します。
- 配信先メディア
DSPは、基本的に配信された広告枠がわかりません。もし、掲載先メディアをチェックしたい場合は、DSPが接続しているSSPに、どのようなメディアが含まれているかをチェックしておくとよいでしょう。DSPによっては、配信するSSPを選定できるものもあります。 - ターゲティング条件
ユーザーのターゲティング条件は、DSP広告サービスによって異なります。自社の広告の出稿ターゲットをどこまで細かく絞るのかも含めてDSP広告サービスを選ぶようにしましょう。 - ブランドセーフティ機能があるかないか
DSP広告では、どのメディアに広告が掲載されるのかがわからないことがデメリットです。そのため低品質なメディアや自社の広告内容に反するメディアなど、自社のブランドにそぐわないメディアへの出稿を防ぐブランドセーフティ機能があるかどうかは必ずチェックするようにしましょう。
5. まとめ
狙ったターゲットに広告を配信できないというアドネットワークの欠点を補う形で誕生したDSP広告は、広告効果を最大化できるツールとして期待を浴びています。
一方、DSP広告サービスを提供している会社は多くあるため、どこを選ぶかは非常に重要です。今回紹介した内容を参考に、自社のターゲットにあったDSP広告サービスを選ぶようにしてください。