Googleによる3rd Party Cookie規制が発表されてから早数年、いよいよポストCookie時代に突入する日が近づいてきています。
Cookieを利用したリターゲティング広告等をご利用の企業様はCookie規制に備えて対策を検討・実施されているでしょう。WEB広告を取り扱う弊社でも、規制の本格化に向けてポストCookie時代の運用方法を日々模索しています。
当記事ではポストCookieに関する基本情報、実際にポストCookie時代の新ソリューション「共通ID」を利用した弊社広告担当によるWEB広告の効果検証結果をご紹介します。
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1.ポストCookieとは
ポストCookieとは、Webサイトの閲覧履歴を保存する3rd Party Cookieが規制された後の時代を指す単語です。
Cookieによる情報取得が規制される動きという意味で「Cookieレス」と呼ばれることもありますが、おおよその意味は同じです。
そもそもCookieとは
Cookieとは、Webサイトの閲覧情報を記録するためのファイルのことです。Cookieを活用してページの閲覧履歴、ログイン情報などのデータを保存してユーザの利便性を向上させる仕組みとなっています。
Cookieは取得方法によって「1st Party Cookie」「2nd Party Cookie」「3rd Party Cookie」に分けられます。
1st Party Cookie
訪問したサイトが直接発行するCookieで、原則的にそのサイト内でのみ機能します。
1st Party Cookieの活用により、過去のログイン情報やカートに入れた商品情報の保持ができるようになります。ユーザの利便性を考慮して基本的には今後も継続して使用できますが、Safariなど一部のブラウザでは取得制限がかけられています。
2nd Party Cookie
他社サイトで発行された1st Party Cookieを自社が受け取って活用する場合に2nd Party Cookieと呼びます。
1st Party Cookie同様、こちらも積極的な規制対象にはなっていません。
3rd Party Cookie
訪問したサイト以外の第三者が発行するCookieを3rd Party Cookieと呼びます。訪問先以外のサイトでもユーザを特定・追跡できるため、ドメインを横断して出稿するWeb広告やトラッキングなどに活用されています。
現在規制が始まっているのは主にこの3rd Party Cookieです。
2.Cookieレスが進んでいる背景
3rd Party Cookie(以下「Cookie」と呼称)はWebマーケターから見れば非常に利便性の高い機能ですが、ユーザの目線に立つとプライバシー等の面で問題があることから現在規制・廃止の方向に動いています。
なぜ3rd Party Cookieの規制が進んでいるのか?
CookieはWebサイトの閲覧履歴や購入データなどユーザの行動ログを分析・活用することができるため、Webマーケティングを行う企業にとって大きなメリットのある仕組みです。
しかしブラウザの閲覧履歴からユーザの趣味嗜好や行動を勝手に追跡し、広告表示に利用するCookieのシステムはプライバシーの侵害にあたるとの考え方が海外を中心に徐々に広まっていきました。プライバシーの侵害を訴えるクレームが増加したことから現在では規制が強まっており、国や地域によってはCookieの取得を法的に制限する動きも出てきています。
ユーザの個人情報であるCookieを許諾なしに収集するのはコンプライアンス上の問題があります。プライバシー上の懸念がCookie規制の最も大きな要因だと言えるでしょう。
GAFAMの地位濫用への懸念も一因となっている
GAFAM(Google・Amazon・Facebook(Meta)・Apple・Microsoft)と呼ばれる大手プラットフォーマーの存在も規制の背景にあると言われています。
GAFAMは自社サービスのなかで莫大な個人情報を収集し、その情報を活かして市場での存在感をますます増加させています。今やGAFAMのプラットフォームなしに的確なWebマーケティングを行うのはほぼ不可能だと言っても過言ではありません。
巨大プラットフォームによる個人情報の収集とその独占的な利用が優位的地位の濫用にあたるのではないかという懸念がCookie規制の大きな一因となっています。(ただしCookie規制強化の動きが強まった後GAFAMの多くは自社プラットフォームに顧客を囲い込む「ウォールドガーデン」を強固にしており、現状独占的地位が崩れる事態には至っていません)
3.ポストCookieに向けた日本・海外の現状(2024年現在)
Cookie廃止の動きが出てきたのは2010年代後半ごろ。以降、ブラウザ上でのCookie規制や各国の法規制などが度々実施されてきました。
2024年現在、Cookieの取得ができる主要なブラウザはGoogleが提供するChromeのみとなっており、そのChromeでのCookie規制もいよいよ迫ってきていると言われています。現在に至るまでの経緯、日本や海外における現状を概観しましょう。
Appleによる自主規制
Cookieによるプライバシー侵害のクレームが強まり始めた時期、まずCookie規制へ乗り出したのはGAFAMの一つである大企業、Appleでした。
Appleは1st Party Cookieを利用したApp Store内の検索広告をアドテク戦略の根幹に据えている企業です。ユーザのプライバシー保護を目的とする3rd Party Cookieの規制を行っても大きなデメリットがないため、Cookieレスの推進が始まった当初から規制に積極的な姿勢を見せていると考えられます。
Appleが2017年に実装したITP(インテリジェント・トラッキング・プリベンション)は、自社運用のブラウザSafariでのクッキー利用を制限するものです。ITPの実装を皮切りに、AppleはさまざまなCookieレス施策を推し進めてきました。
2024年現在、Safariの設定を確認するとCookieの取得を制限する「サイト越えトラッキングを防ぐ」機能がデフォルトでONになっています。
AppleのCookie規制に続く形でEdge、Firefoxといった主要なブラウザもCookieを規制する機能を実装しています。
ITPはこれまでに複数回アップデートされており、2020年のアップデートで3rd Party Cookieを完全にブロックする設定になっています。また、3rd Party Cookieのみならず1st Party Cookieの取得制限が強化されるなど、Cookieへの規制が強まっています。
各国の法規制が進む
Cookie廃止を法律によって積極的に推し進めているのはEUです。
EUでは2018年に全面施行されたGDPR(EU一般データ保護規則)により、Cookieの取得には原則として明示の同意が必要となりました。EUでは原則的にユーザが自らチェックを入れて同意する「オプトイン(事前同意)」が求められます。
EUの公式サイトには、画面下部に「Accept all cookies(全てのCookieを許可する)」「Accept only essential cookies(最低限のCookieのみ許可する)」を選択するオプトインが表示されています。
GDPRの規制はEU域内に限らず、EU域内を対象とした事業を行った企業すべてが対象になります。
また、規制によって実際に処分を受けた事例もあります。2022年にはユーザの許可を得ずにCookieにまつわるデータ利用を行ったとして、フランスの新聞社が5万ユーロ(約855万円)の制裁金の支払いを命じられました。
さらに、アメリカでも2020年に人口最大の州であるカリフォルニア州でCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)が施行され、大きな話題となりました。
CCPAは年間総収入が2,500万ドルを超える企業を対象とした法律で、ユーザがWebサイトを閲覧し始めた段階でクッキーを利用することを許可しつつも、Cookieの取り扱いをやめてほしい時にいつでも「オプトアウト(利用停止)」できる仕組みにするよう定めるものです。
企業規模関係なく利用前にオプトインを求めるEUと比較するとかなり緩い政策ですが、今後も各国でCookieを規制する動きが広まると考えられます。
国内におけるポストCookieへの流れ
2022年にKPMGが日本で行ったアンケート調査※によれば、「Cookieの仕組みを十分理解できている」と回答したユーザは僅か6%。日本国内ではまだCookieに対する認知度、理解度が低い傾向にあることが分かります。
日本は諸外国と比較するとプライバシー侵害に対する意識もそこまで高くはなく、したがって規制への動きはかなり緩やかになっていると推測されます。
とはいえ2019年に「リクナビ事件」と呼ばれる出来事が起きてから、Cookieをはじめとした個人情報の取得を規制する動きが顕在化してきました。
リクナビ事件はリクルートキャリアがサイトの閲覧履歴をもとに内定辞退率を予測・他社に提供していたことが発覚した事件です。この事件を機にネットを通じて得た個人情報を同意なく他社に販売していたことが強く問題視されるようになりました。
リクナビ事件や諸外国の流れを受け、日本でも2022年に改正個人情報保護法が施行されました。同法によりCookieの提供先で個人情報と紐付ける際にユーザ本人の同意が必要になりましたが、Cookieの取得には実質規制がない点はこれまでと変わりません。そのため、日本では現在でもオプトイン・オプトアウトなしでCookie収集が可能です。
GoogleのCookieレス宣言と度重なる延長
Safariなどをはじめとする主要ブラウザが軒並みCookie規制を強める中、日本でのシェア64%を誇るGoogle Chromeは未だCookie廃止に踏み切れていません。
Googleが最初にCookieレスを宣言したのは2020年のこと。当初は2022年までにCookieを廃止する予定でしたが、代替システムである「プライバシーサンドボックス(Privacy Sandbox)」の構築にあたってGoogle社に有利なシステムを取り入れようとしているとしてCMA(米国公認管理会計士)の調査が入り、Cookie廃止は一時延期となりました。
Googleはその後も複数回Cookie廃止の延期を繰り返しており、本当にCookieが廃止されるのか不透明な状態が続いています。2024年7月現在は延長が発表されたまま続報が出ておらず、今後また計画が発表されたとしても再延長される可能性は否定できません。
ただ2024年4月にはChromeユーザの約1%を対象にトラッキング保護機能のテストを開始するなど、Cookieレスに向けて着実に準備が進められています。そう遠くないうちにCookie廃止が実現するものと考えて対策を行う必要があるでしょう。
プライバシーサンドボックスとは
プライバシーサンドボックスとは、Googleが新たに開発している技術の総称です。
ブラウザに人工知能(AI)を搭載したソフトウェアをブラウザに組み込んで利用者の閲覧履歴を分析し、好みや関心が似たユーザを特定の集団にまとめてターゲティングを行う仕組みです
3rd Party Cookie廃止後の広告配信に役立てられる予定ですが、オーストリアのデータ保護団体「noyb」にEUのGDPRに違反しているとして批判を受けて大きなニュースになるなど、プライバシー面での不安も囁かれています。
またCookie廃止の延期にはプライバシーサンドボックスのサービス内容に不備があると指摘されていることが大きな要因となっています。ポストCookie時代にはWebマーケティングにおける主要な選択肢の一つとなりうる技術であり、今後の動向を注意深く見守る必要があるでしょう。
4.CookieレスがWebマーケティングに及ぼす影響
Cookie廃止は今後のWebマーケティング業界に大きな影響を及ぼすと考えられています。
リターゲティング広告の制限
日本のWeb業界は、ユーザが過去にとった行動や嗜好・属性などのデータに基づいてパーソナライズされた広告の配信に主眼を置いてきました。特にリターゲティング広告(リタゲ広告)はあらゆる広告配信の中でCV・売上をあげやすいことで知られており、WEB広告においては非常に重要度の高い戦略です。
リタゲ広告はユーザの閲覧履歴をもとに配信するシステムであり、これまではCookieがほぼ必須とされてきました。Cookieレスが進めばリタゲ広告をはじめとしたWebマーケティングに大きな影響を及ぼすことは間違いないでしょう。
広告のコンバージョン計測の精度低下
リタゲ広告だけでなく、さまざまなWeb広告でのコンバージョン計測にも影響が出ると見られています。
今まではCookieでユーザをトラッキングすることで広告のコンバージョンを計測していましたが、Cookieは廃止されれば広告媒体側でコンバージョンを計測することができなくなります。
コンバージョン計測精度の低下、すなわち広告における効果検証にも影響が出るでしょう。
特に影響を及ぼすと推測される領域はアトリビューション分析です。アトリビューション分析とはコンバージョンに至った全てのタッチポイントを分析し、それぞれCV(コンバージョン)への貢献度を計測する分析手法です。
例えば、SNS広告で商品を知ったユーザがバナー、記事コンテンツ、リスティング広告を見て購入に至った場合、それぞれのタッチポイントが全てCVに貢献したと見なされます。Webマーケティングにおける各施策の必要性を可視化するための重要な分析手法だと言えるでしょう。
このアトリビューション分析を行うにはラストクリック以外の顧客接点がどのように購入に結び付いたか計測するシステムが必要です。顧客の閲覧履歴から他のタッチポイントと結びつけられる3rd Party Cookieはこれまで大きな役割を果たしてきました。
Cookieレスが進めばアトリビューション分析の精度が低下し、CVに至るまでの正確な効果検証に支障をきたす可能性があります。
5.ポストCookieに向けたマーケティング対策と広告における活用例
特にWeb広告を主な戦略として取り入れている企業にとってはCookie廃止が大きな転機となることは間違いないでしょう。ChromeでのCookie規制が2025年に迫っている現在、Webマーケティング業界ではさまざまなポストCookie対策が進められています。
1st Party Dataの活用
自社サイト・SNS等でユーザの同意を得て収集したデータ=1st Party Data(ファーストパーティデータ)を集客施策に活用する施策を取り入れている企業は数多く存在します。
- 顧客の登録情報をもとにパーソナライズしたメールを送る
- 自社サイトのアクセスを分析してマーケティングに生かす
などの施策は1st Party Dataの活用にあたるでしょう。1st Party DataはCookie規制の影響を受けず自社で完全にコントロールできるため、それを有効に活用することで精度の高いターゲティングや顧客エンゲージメントの実現が期待できます。
ただしその一方、顧客データを持たない/絶対数が少ない新規事業や中小企業、BtoBでは有用なデータを得られない可能性があるため注意が必要です。
広告における活用例:DATA GEAR Connect
「DATA GEAR Connect」はアイレップをはじめとする博報堂DYグループ4社が提供する1st Party Dataの活用を支援するパッケージソリューションです。自社で収集した1st Party Dataをマーケティングデータとして統合・形成し、Googleなどの媒体と連携することで広告効果の正確な計測やWebサイトの解析が可能になります。
既に顧客のデータが十分に集まっている場合、こういった1st Party Data活用のソリューションが効果を発揮します。
コンテクスチュアルターゲティング
コンテクスチュアルターゲティングはWebページ内の文章やキーワード、画像などをAIが自動的に解析し、その文脈(コンテキスト)に沿った広告を配信する手法です。AIのテキストマイニング機能を駆使することにより、ページ内の内容を効率的に抽出して効果的な配信が可能です。
分析元となるデータはAIが配信面となるWebページを解析した結果であり、Cookieのようにサイトを訪問するユーザの行動データを「必要としない」という点で根本的に異なります。ポストCookie時代に差し掛かっている今、重要度がさらに高まっているターゲティング手法です。
現在は文字だけでなく動画の内容を分析して最適な広告を配信するシステムを開発するなど、テクノロジー面でも急速に発展しています。
広告における活用例:GumGum
各国ではコンテクスチュアルターゲティングの技術が発展してきていますが、日本は言語の特殊性、複雑さゆえ諸外国で作られたシステムをそのまま導入するのが難しいという課題があります。日本でコンテクスチュアルターゲティングを使った広告を利用する場合、日本語への対応度が非常に重要です。
GumGumはコンテクスチュアルターゲティングで有力株になっているアメリカのテクノロジー企業。日本進出に伴い、日本語を正確に理解する専門のエンジンを利用してデータ分析を行う技術を導入しています。
共通IDソリューション
ユーザのデバイスやブラウザに対し一意の識別子=共通のIDを割り当ててユーザを識別し、継続的に動向や関心の把握などを行う技術が共通IDソリューションです。ユニバーサルID、代替IDと呼ばれる場合もあります。
ユーザの個人情報と直接結びついたCookieを使わず、精密にターゲティングを行う技術として注目を集めています。
共通IDはアドネットワークやDSPといった第三者機関に広告を出す場合に、第三者機関との取引に利用できるIDソリューションとして利用可能です。リタゲ広告への活用も可能であることから、Cookie廃止後は利用価値が高まっていくでしょう。
共通IDソリューションはIDの割り振り方によって「確定ID」と「推定ID(類推ID)」に大きく分けられます。
確定IDはユーザの同意が得られたメールアドレスなどの特定の情報をもとにIDを生成する方法。確定データをもとにしているため精度が高いのがメリットです。
推定IDはWeb上で得られるユーザの行動やデバイスの種類などの情報から、似たような行動をするユーザに特定のIDを割り振る方法です。複数の情報を組み合わせてIDを生成して特定のユーザを類推するため、明確な識別データがなくとも大量のIDを生成できます。
広告における活用例①:Unified ID 2.0(確定ID)
Unified IDはTrade Teck社が開発し、現在はPrepaid社が運用中の共通IDソリューションです。ユーザのメールアドレスをハッシュ化(特定の計算手法に基づいて、元のデータを不規則な文字列に置換する処理)することにより、プライバシーを保護した状態で利用することができます。
ユーザが一回ログインして承認すれば、Cookieと同じく複数のWebサイトや広告配信業者のデータを横断的に活用してコンバージョンやフリークエンシ―の測定などが可能になります。
また視認性の高い画面でいつでも機能の拒否(オプトアウト)などのプライバシー管理を行えるため、ユーザ目線でも有用性が高いサービスだと言えます。
広告における活用例②:IM-UID(推定ID)
IM-UIDは東京に拠点を置くインティメート・マージャー社が提供する共通IDソリューションです。インティメート・マージャー社が独自に開発した識別子=IM-UIDを利用して、プライバシーを保護した状態でユーザの識別・広告配信が可能になります。
推定IDは確定データをもとにしたID生成を行うことはできないため、確定IDと比較すると情報の精度には劣るとされています。しかしIM-UIDは利用可能な情報の中から自動で最適な情報を選択肢、ロジックを決定します。確度と数量、いずれもカバーできる点が大きなメリットです。
6.【13社で検証】ポストCookie時代の技術・共通IDソリューションの効果
前項でご紹介してきた通り、近年ではCookie廃止に向けて新たなソリューションが多数開発されています。
しかし、Cookie以外のデータ活用システムでこれまで通りリタゲ広告などで安定した成果を挙げられるか不安に感じているWEB担当者の方も多いかと思います。弊社の広告運用担当も、Cookieレスに向けてさまざまな施策を実施しています。
Criteoの認定代理店として運用10年目を迎える弊社の広告担当ニャーケッターが実際13サイトに共通IDソリューションを導入し、リタゲ広告効果の改善検証。結果的に想定以上の効果・手応えを感じました。詳細な検証結果を以下に示しますので、Cookieレスに向けて広告戦略に悩んでいる担当者様の参考になれば幸いです。
【改善効果①】iOS端末へのリタゲ配信が増加
iPhone、MacなどのiOS端末は先述したITPによりCookieの取得がブロックされており、有効なリタゲ広告の配信がほとんど困難になりつつあります。しかし共通IDはCookieを利用しないため、iOS端末に対しても問題なくリタゲ広告を配信することができます。
リタゲ配信に含まれるiOS率
上記は実際に共通IDソリューションを導入したリタゲ広告を配信している企業で集計したiOS率の平均値推移です。
導入前と比較すると10%近くiOSユーザの比率が上昇しています。共通IDソリューションにより、リーチできるユーザ層の裾野が広がっていることが如実に表れています。
導入前 | 1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 増加率 | |
---|---|---|---|---|
A社 | 4.4% | 5.3% | 8.7% | 198% |
B社 | 4.6% | 6.3% | 14.0% | 304% |
C社 | 4.9% | 8.1% | 11.2% | 229% |
D社 | 5.7% | 9.7% | 12.9% | 226% |
E社 | 6.7% | 8.2% | 8.6% | 128% |
F社 | 9.3% | 11.4% | 15.2% | 163% |
G社 | 13.0% | 13.3% | 19.5% | 150% |
H社 | 17.1% | 22.0% | 34.6% | 202% |
I社 | 33.9% | 51.9% | 54.9% | 162% |
J社 | 34.5% | 33.8% | 42.7% | 124% |
K社 | 47.7% | 47.2% | 48.7% | 102% |
L社 | 51.6% | 55.7% | 61.9% | 120% |
M社 | 62.6% | 68.3% | 74.4% | 119% |
導入前のiOS率を問わず、今回共通IDソリューションを導入した全13サイトでiOS率の上昇がみられました。
リタゲ配信に含まれるiOSユーザ数
iOSユーザの実数についても、全13サイトで増加が見られました。
導入前 | 1ヶ月目 | 2ヶ月目 | 増加率 | |
---|---|---|---|---|
A社 | 995 | 1,378 | 2,228 | 224% |
B社 | 2,654 | 3,567 | 7,618 | 287% |
C社 | 2,829 | 4,283 | 6,175 | 218% |
D社 | 385 | 761 | 955 | 248% |
E社 | 541 | 693 | 764 | 141% |
F社 | 476 | 583 | 761 | 160% |
G社 | 641 | 635 | 1,079 | 168% |
H社 | 2,563 | 3,451 | 5,552 | 217% |
I社 | 967 | 1,758 | 3,328 | 344% |
J社 | 4,873 | 5,124 | 7,738 | 159% |
K社 | 1,103 | 1,233 | 1,772 | 161% |
L社 | 1,431 | 1,471 | 1,866 | 130% |
M社 | 2,833 | 3,633 | 4,478 | 158% |
導入するサービスによって効果に差が出ることもありますが、iOSユーザへリーチを広げたい企業にとって共通IDソリューションが一定の効果を表すことが分かります。
【改善効果②】主要指標にも波及
CPCやCVRといった主要指標については季節要因や市況に左右されやすいため参考程度の情報になりますが、一部のサイトで一定の改善効果が見られました。
現状、共通IDソリューションはCookie廃止後に一定の効果を見込める有用な施策であると捉えています。
※導入した共通IDサービスの詳細、広告運用に関する相談はお問い合わせからご気軽にどうぞ。
7.まとめ
Cookieは顧客の情報を的確に把握し、効果的な広告配信を行うために重要なシステムとして長きにわたって利用されてきましたが、一方でプライバシーの問題などにより規制の対象となっています。
ポストCookie時代が間近に迫る昨今、Cookieを利用しない新たな施策を打ち出す必要があるでしょう。実際に廃止される前に、早いうちから自社に合った戦略を模索することがこれからの生き残りには重要だと考えます。
お客様と売上UPという共通のゴールを目指すべく、課題のヒアリングからお力になれることのご提案まで、誠心誠意対応します。
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- サービスについて詳しく知りたい
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※KPMG「改正個人情報保護法施行とCookie同意に関する意識調査(2022)」