「件名には気を遣っているのに、開封率が思ったほど上がらない」
「メルマガを開いてもらっても、すぐ離脱されている気がする」
この2つの悩みの間に挟まれているのが、メルマガの「書き出し(冒頭文)」です。
スマートフォンのメールアプリでは、件名の下に本文の冒頭がプリヘッダーとして表示されます。読者はこのプリヘッダーを見て「開く価値があるか」を最終判断します。つまり、書き出しは「件名の次に開封率を決める要素」であり、
かつ「開封後の最初の離脱を防ぐ要素」でもあります。
本記事では、EC・通販事業者のメルマガにおいて書き出しがどう機能しているかを解説したうえで、開封率と本文熟読率の両方を改善する書き出し設計の実践方法をお伝えします。
この記事でわかること
1. プリヘッダー(書き出し)が開封率に与える影響の仕組み
2. EC担当者がよくやってしまう「開封を妨げる書き出し」の3パターン
3. 開封率と熟読率を同時に上げる書き出し設計の4原則
4. hiddenpreheaderの設定方法と件名との組み合わせ例
5. 配信前に確認すべき書き出し設計チェックリスト(9項目)

伊藤 肇
【Webly編集部】執行役員 兼 シニアコンサルタント
2000年からデジタルマーケティング業界で、大手企業のウェブマーケティングを支援。Googleアナリティクスが生まれる前、2002年にサーバーの生ログを集計して「アクセスログ解析」をレポート。2006年にサイバーエージェント、アルベルト(現アクセンチュア併合)を含め業界をリードする各社を招待して「コンバージョンアップサミット」を主催。以降、800プロジェクトのサイトユーザビリティ改善に携わる。
2025年11月5日REAL VALUE(リアルバリュー)にプレゼンターとして出演。堀江貴文氏のYouTube ホリエモンチャンネルにて公開中。
①メルマガの書き出しはプリヘッダーとして機能する|開封前に読まれる仕組み
メールアプリの受信トレイには、以下の情報が表示されます。
・差出人名
・件名
・本文冒頭のテキスト(プリヘッダー)
この3つが「開封判断」の材料となります。
メルマガ担当者の多くが件名には注力する一方で、プリヘッダーに表示される「書き出し」を軽視しているケースが目立ちます。プリヘッダーとして表示される文字数は端末やアプリによって異なりますが、スマートフォンでは30~55文字程度が目安です。この限られたスペースに何を書くかが、実は開封率に大きな影響を与えます。
よくある「もったいない書き出し」の例
例1:「いつもお世話になっております。○○ショップです。」
→定型のあいさつ文は30文字を無駄に使い切り、何の情報も伝わらない
例2:「━━━━━━━━━目次━━━━━━━━━」
→装飾文字やセパレータが冒頭に来ると、プリヘッダーが意味不明になる
例3:「このメールはHTML形式で送られています。」
→配信システムが自動挿入する文言がプリヘッダーに出てしまうケース
これらはいずれも、プリヘッダーという貴重なスペースを「読者にとって無意味な情報」で埋めてしまっている状態です。
②EC通販の書き出しに多い「開封を妨げる」3パターン
以下は、EC・通販系メルマガの書き出しでよく見られる問題パターンです。
- パターン①:毎回同じ定型あいさつ文で始まる
-
「○○ショップメルマガvol.52をお届けします。いつもご購読ありがとうございます。」
このような書き出しは、定期購読者(ファン)には問題ありませんが、エンゲージメントが下がりかけている既存顧客や新規購読者には
「毎回同じ書き出し=毎回同じ内容」という先入観を与えます。書き出しは「今回だけの情報があること」を感じさせる内容が理想です。 - パターン②:メールの内容と無関係な書き出し
-
「梅雨も明け、本格的な夏になってきましたね。皆様いかがお過ごしでしょうか。」
季節の挨拶は丁寧ですが、メールの内容との接続が薄ければ「本題は何か」が伝わらないまま読者の集中力を消費させてしまいます。
季節感を使う場合は、商品との接続が明確な形で使うことが重要です。例:「夏の紫外線ダメージ、対策できていますか。今月のシリーズはケア成分に特化しました。」
- パターン③:メリットではなく事実だけを伝える書き出し
-
「今週末、夏のセールを開催します。」
「セールがある」という事実は伝わりますが、「読者にとって何が嬉しいか」が伝わりません。書き出しには事実と同時にベネフィット(読者が得られる価値)を盛り込む必要があります。
例:「今週末限定。会員様限定で最大40%OFF——先着300名様のみ適用されます。」
以下は書き出しパターンのNG/OKをプリヘッダー表示の視点でまとめた対比表です。
| 分類 | 書き出し例 | プリヘッダーでの見え方(30字) | 主な問題点 |
| 定型あいさつ型(NG) | 「いつもご愛顧いただきありがとうございます」 | 「いつもご愛顧いただきありがとうご…」 | 読む理由・メリットが伝わらない |
| 装飾文字型(NG) | 「■□■□期間限定セール■□■□」 | 「■□■□期間限定セール■□■…」 | 記号がノイズになり情報量が減少する |
| 事実のみ型(要改善) | 「夏の新商品が入荷しました」 | 「夏の新商品が入荷しました」 | 読者が受け取るメリットが不明瞭 |
| メリット訴求型(OK) | 「今日だけ・会員限定20%オフ、対象商品はこちら」 | 「今日だけ・会員限定20%オフ、対象…」 | 特になし |
| 個人化型(OK) | 「〇〇さん、前回購入から30日が経ちました」 | 「〇〇さん、前回購入から30日が経…」 | ステップメール向け |
| 続きを予感させる型(OK) | 「スキンケアで失敗しやすい3つのタイミングとは」 | 「スキンケアで失敗しやすい3つのタ…」 | 情報系メルマガ向け |
③開封率と熟読率を同時に上げる「書き出し設計の4原則」
良い書き出しには2つの役割があります。「プリヘッダーとして開封を促す」役割と、「開封後に最後まで読ませる」役割です。
以下の4原則はその両方を満たすための設計指針です。
原則①:冒頭で「このメールを読む価値」を伝える
書き出しの最初の1~2文で「このメールを開いて読む意味」を読者に伝えます。
良い書き出しの構造:
[読者に関係する課題/状況]+[このメールが提供するベネフィット]
例:「夏の日焼けが気になる方へ。今回は美白ケアの基本と、当店の人気No.1アイテムをご紹介します。」
課題(夏の日焼けが気になる)に共感させたうえで、このメールの価値(美白ケアの情報)を伝えています。
原則②:特定の「一人」に向けて書く
「全員に届けよう」と意識して書いた書き出しは、誰にも刺さりません。
最もよく買ってくれる顧客の一人を思い浮かべ、その人だけに向けて書くつもりで書く—この意識の変化だけで、書き出しの具体性は大きく変わります。
「敏感肌でスキンケア選びに悩んでいる30代の方」という一人を想定して書いた書き出しは、実際に同じ悩みを持つ多くの読者の心に届きます。
原則③:本文への「続き」を予感させる情報で終わらせる
書き出しの最後は「このまま読み進めたい」と思わせる余韻で終わることが理想です。
- 手法①:問いかけ
-
「なぜリピーターが急増しているのか、その理由を今日の記事でお話しします。」
- 手法②:予告
-
「今回は、売上1位商品のスタッフが普段使いしている意外な方法をご紹介します。」
- 手法③:限定感
-
「この情報は、今日のメルマガ読者だけにお伝えします。」
「続きが気になる」という状態を書き出しで作ることで、本文の最後まで読まれる確率が高まります。
原則④:ステップメールの書き出しはシナリオに合わせて設計する
購入後フォローや新規登録者への教育メール(ステップメール)では、書き出しの設計方針が一斉メルマガとは異なります。
ステップメールでは「前回のメールとの文脈のつながり」を意識した書き出しが効果的です。
例(購入後フォロー・3通目):
「先日ご購入いただいた△△、使い始めていただけましたか?今回は、より効果を感じていただくための使い方のコツをお伝えします。」
この書き出しは、読者が「以前の続き」として自然に受け取れる構造になっています。一斉メルマガのように「今回だけの特別な内容」を強調するアプローチとは異なる設計が必要です。
④プリヘッダー(非表示テキスト)の設定方法と件名との組み合わせ例
この設定を行わない場合、メールクライアントは本文の先頭から自動的にテキストを取得するため、「このメールが正しく表示されない場合は…」などの案内文がプリヘッダー領域に表示されてしまうリスクがあります。hiddenpreheaderを設定することで、件名を補完するメッセージをコントロールし、開封率の向上を図ることができます。
多くのメール配信システムでは、「プリヘッダー」または「プレヘッダー」として、本文とは別にプリヘッダー専用のテキストを設定できる機能があります。この機能を使えば、本文の書き出しを変えることなく、受信トレイのプリヘッダー欄に表示される文章だけを最適化できます。
プリヘッダー設定の組み合わせ例
| 件名 | プリヘッダー(設定テキスト) | 効果 |
| 「夏のセール開幕!最大40%OFF」 | 「本日23:59まで。さらに会員限定の追加10%OFFクーポンあり」 | 件名で事実、プリヘッダーで限定感を追加 |
| 「在庫残りわずか——人気3商品」 | 「先着50名様限定です。昨日100名が見た商品 | 緊急性と社会的証明を補完 |
| 「〇〇さんへのおすすめ商品」 | 「前回ご購入の商品と相性の良いアイテムをご用意しました」 | パーソナル感を件名→プリヘッダーで強化 |
件名とプリヘッダーの組み合わせで、受信トレイ上の情報量を最大化できます。お使いのメール配信ツールにこの機能があれば、積極的に活用してください。書き出しの改善と並行して設定することで、開封率改善の効果が高まります。

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⑤書き出し設計チェックリスト(9項目)
メルマガ送信前に書き出しを確認するためのチェックリストです。
【プリヘッダーとしての機能】
□1.冒頭30~50文字にメールの価値・ベネフィットが伝わる内容が入っているか
□2.定型のあいさつ文・会社名・装飾文字が冒頭に来ていないか
□3.配信システムが挿入する自動テキスト(HTML形式の案内など)が誤って表示されていないか
【本文への誘導機能】
□4.書き出しの最後が「続きを読みたい」と思わせる終わり方になっているか
□5.メールの内容と書き出しに一致があるか(読者を裏切らない構成か)
□6.「一人の特定の読者」に語りかける具体性があるか
【セグメント別設計】
□7.ステップメールの書き出しは「前回との文脈のつながり」を意識して書かれているか
□8.新規購読者と既存顧客で書き出しの内容・トーンを変えているか
【ツール活用】
□9.プリヘッダー機能が使えるツールの場合、専用テキストを設定しているか
よくある質問
- プリヘッダー(プレビューテキスト)と件名は何が違うのですか?
-
件名は受信トレイで最初に目に入るタイトル行で、プリヘッダーは件名の右横または下に表示される補足テキストです。件名で注意を引き、プリヘッダーでさらに開封動機を高めるという役割分担があります。両者をセットで設計することが重要です。
- プリヘッダーは何文字にすれば最適ですか?
-
メールクライアントや端末により表示文字数が異なります。スマートフォンではおおむね30~55文字、PCでは40~75文字程度が表示目安です。確実に伝えたいメッセージは冒頭の20~30文字に凝縮する設計が実用的です。
- hiddenpreheaderの設定には技術知識が必要ですか?
-
基本的なHTMLの知識があれば設定可能です。多くのメール配信ツール(Mailchimp、配配メール、blastmail等)はGUI上でプリヘッダー欄が用意されており、HTMLを直接編集しなくても設定できます。まずは利用中のツールの設定画面を確認することを推奨します。
- 書き出しの改善だけで開封率は上がりますか?
-
単体での効果は件名改善と組み合わせることで最大化されます。件名で「何のメールか」を示し、プリヘッダー(書き出し)で「開封する価値」を補強するセット設計が最も効果的です。どちらか片方だけに取り組むよりも、2要素を同時に最適化することを推奨します。
⑥まとめ:件名・プリヘッダー・書き出しの3点セット設計チェック
メルマガの開封率を改善するとき、件名だけを変えても限界があります。
件名・プリヘッダー(書き出し)を一体として設計することで、受信トレイ上で「開く価値がある」と読者に感じさせる情報量を最大化できます。今日からすぐに取り組める改善として、以下を実施してください。
- ①直近5~10通のメルマガのプリヘッダー表示を確認する
-
スマートフォンの受信トレイで実際にどう見えているかを確認し、「定型あいさつ」「装飾文字」「HTML案内」が出ていないかチェックしてください。
- ②次回配信から、書き出しの最初の文を「読者のベネフィット」から始める
-
あいさつ文を省いて「読者にとっての価値」から書き始めるだけで、開封率への影響を体感できるはずです。
- ③プリヘッダー専用テキストを設定する
-
お使いのメール配信ツールに設定機能があれば、件名の補完情報として「本日23時まで」「会員限定」「先着〇名」など即時性・限定性を追加してください。
件名・プリヘッダー・本文の一貫した改善に取り組むことで、メルマガ全体のパフォーマンスは着実に向上します。

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