企業とユーザーの接点がデジタルへとシフトし、ECサイトが主要なチャネルになっていることは、改めていうまでもありませんが、そのECサイトにおいて、部分部分のソリューションに特化したベンダーは数多く存在しています。しかし、それらを横断して何をどのようにすべきか方向性を提示し、かつ実務レベルに落とし込んで牽引してくれる、ノウハウを持った実力のあるコンサルティング会社は限られています。
この記事では、実際にECサイトの運営(特に集客及びサイトの制作更新)において、具体的な改善策の提示、PDCAを回す業務をサポートしてくれるコンサルティング会社を、どのように見つけたら良いか、選定したらよいか、また選定の際のチェックリストはなにか、そしてWebly編集部おすすめのコンサルティング会社5選をご紹介します。
1.おすすめのECコンサルティング会社一覧
社名 | ECマーケティング | 株式以外いつも | 株式会社これから | 売れるネット広告社 | ネットショップ総研 |
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コンサル領域 | オールジャンル(コンサルに特化) | モール中心 | 自社ECに特化 | 美容健康、リピート商材などD2C事業者 | コンサル単独よりも運営代行とあわせたソリューション提供 |
費用 | 月間数十万円~ | ||||
強み | ・業界経験が長い ・コンサルに特化 ・専門性が高い | ・モールを含めた全体サポート ・楽天、Amazon出身のコンサルが多い | ・自社ECに特化した通販支援 ・数百名規模の大組織 | ・サブスク型D2C事業におけるノウハウ ・美容関連の事業者とのつながり | ・ECコンサルとしての経験が長い ・マルチチャネル戦略をカバーできる ・コンサルだけでなく運営代行も可能 |
弱み | ・少数精鋭で会社規模が小さい | ・自社ECへの支援は平均的 ・規模の大きさゆえ担当者によって当たり外れあり | ・規模の大きさゆえ担当者によって当たり外れあり | ・自然検索に弱い ・広告に依存しやすい | ・規模が小さい ・運営代行が中心なのでコンサル単独の外注は優先順位が下がる |
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2.ECサイトを育成する際に必要な、業種別のアプローチと共通するアプローチの違いについて知る
ECサイトを育成する際の一つのポイントとして、業種別のアプローチと、業種に関係なく共通するアプローチの2種類があります。
業種別に必要なアプローチは、業種ごとに得意なコンサルタントの方がいらっしゃると思います。しかしノウハウとしてはむしろ同業他社から学ぶ事が多く、WEBマーケティングよりも、事業自体のノウハウであることが多いです。弊社では、業種横断型の基礎的なアプローチについて次の章で解説したいと思います。
3.業種横断的に共通するアプローチその1(WEBマーケティングの最適化とCV獲得の最大化)
一般的に月商1,000万円くらいまでは、見込み客となるユーザーに、自分達のサイトに到達してもらうことがまず重要です。そのためのアプローチは、業種ごとによる強弱の違いはあっても、概ね共通しています。
その共通しているアプローチは、以下の1)~6)になりますが、月商1,000万円までは、ほぼ例外なく、1)2)3)4)を地道に、ひたすらやり抜く、というのがほとんどのケースで勝ち筋となっていますが、なかなかそれができていない企業様が多いです。一流のプロ野球選手が「走り込み・素振りなどの基本動作が結局一番大切です」と言っている感覚に近いかもしれません。なかなかそれが出来ている会社さんは少ないです。
これが、ECのコンサルティングを20年やってきて実感していることです。
1)検索広告
ECサイト立ち上げ時のテストマーケティング手段として有効です。検索広告をしっかりと運用することで、ターゲットとなるユーザーに対してどのような検索ワードを用いれば自分たちの事業や商品を届けられるのかシミュレーションすることができます。
ただし、検索広告は立ち上げ時のテストマーケティング手段としては重要ですが、売上を大きく伸ばす主要な販売チャネルにはなり得ない事が多いです。ここで得た知見を 次の「自然検索」に横展開していくことが大切です。
2)自然検索(SEO)
ターゲット検索ワードを設定して、その検索結果で上位表示されることですが、Googleに対して、自分たちのサイト及び事業の価値を伝えることである、と言い換えることも可能です。
一部の若年層をターゲットした商材(=Google検索よりSNS検索する世代)を除くと、日本のECサイトの集客活動においては最初から最後まで、自然検索がもっとも大きなチャネルとなります。
サイトコンテンツの充実、自社でしかできないことをユーザー目線で表現する、こと。同じ検索結果で表示される他のサイトにないユニークな価値を提供するように商品設計を行うこと、などがこれらの具体的なタスクになります。
3)比較サイト対策(及びアフィリエイト)
自然検索に続いてここ数年、重要度が大幅にあがっているのが、この比較サイト対策(及びアフィリエイト)になります。比較サイトは複数社で比較した際の強みと弱みがまとまっているため、ユーザーにとっては時短で情報収集ができて、検討が捗るお役立ちツールの位置づけとなっています。
特に「****おすすめ」で検索した際に上位表示される比較サイトは、10年前の飲食店における「王様のブランチ」くらいの影響の強さを持っています。「****おすすめ」で検索した際に上位表示されるサイトに対して掲載されるために必要なことをリストアップして、そこにアプローチする地道な作業を一つ一つ実行していく、というのが具体的なタスクになります。
4)SNS運用(及び広告)
ECサイト立ち上げ当初、売上がまだ小さいうちはSNSアカウントのフォロワー数も少ないことが想定されるので、SNSは広告をメインに使います。
SNS特有のターゲティング機能、例えばIG/FB広告 では趣味趣向あるいは職業によるターゲティング、X(Twitter)広告では、特定のアカウント(競合アカウントや、インフルエンサーのアカウントなど)をフォローしているユーザーへの広告配信、などを行います。
これらGoogle広告にない機能はECサイトの初期段階の集客ツールとして、重要な武器となります。ユーザー数が増え、SNSアカウントのフォロワー数が増えたら、メールやLINEなどとあわせて、既存客のCRMの接点としての活用の度合いを高めています。
5)WEB PR・コンテンツマーケティング
月商1,000万円になるまでは上記1)2)3)4)を中心に行います。ほぼ例外なく、この1)2)3)4)をオーソドックスに、やり抜くことが大切です。月商1,000万円を超えてくると、WEB PR やコンテンツマーケティングを立ち上げていき、直接自分たちの商品を探しているユーザー以外へのリーチを広げていく活動をしていくことになります。
6)CRM
月商が1億円を超え、会員数が1万人以上になったら、CRMがEC事業の主役に躍り出ます。顧客データと購買データを分析して、LTVを高めるための分析を行い、施策を立案し、遂行します。
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4.業種横断的に共通するアプローチその2(サイトユーザビリティ改善とCVR向上)
月商1,000万円を超えてくると、サイトユーザビリティ改善の重要度が高まります。
サイトユーザビリティを改善して、CVRを上げるためのアプローチとしては、以下の4つの手法が、専門的なユーザビリティコンサルティング会社が提供しており、おすすめです。ヤコブ・ニールセン博士が確立し、日本に定着した流れといえます。
- ヒューリスティック評価(エキスパートレビュー):コンサルタントによる経験則による改善点の抽出方法です。
- ベンチマーク評価:ヒューリスティック評価を競合他社・他業界のサイトと比較して行う手法です。
- アクセスログ解析:アクセスログ解析を単独で行うよりも、これらのユーザビリティ改善と合わせて実施することで有効な改善点の抽出につながります。またアクセスログ解析をサイトユーザビリティ改善のKPI策定のために行うのも重要な視点です。
- ユーザビリティテスト:ヤコブ・ニールセンが2000年に提唱した手法で「1セグメント5人のテスト」が業界標準となっています。
ヒューリスティック評価とベンチマーク評価は<仮説・セオリー寄りの手法>です。他2つの手法と比較すると根拠が弱いですが、具体的な改善事項を短納期・低コストで抽出しやすい(ただし担当するコンサルタントの経験が豊富であれば、という前提で)、というメリットがあります。
アクセスログ解析とユーザビリティテストは<調査寄り>というか調査そのものです。根拠が強いですが、コストと時間がかかるため、単独で十分有効な改善点を網羅することは実務的に困難な場合が多く、ヒューリスティック評価やベンチマーク評価と併用して行われることが一般的です。
5.御社にあったECコンサルティング会社の選定方法(6つのチェックリストつき)
担当者の経験に依存してしまう属人的要素が多いECコンサルでは、担当者の経験を見極めることが重要です。傾向として、営業が上手な会社と実務力が優れている会社が一致しない事が多いです。プレゼンが上手いかどうかに惑わされず、実際のプロジェクト経験があるかどうかを見極めて業者を選定されることを推奨します。以下のチェックリストに沿ってお選びください。
- 会社のビジネスモデル:メインがツール販売でコンサルティングがサブであるか、コンサルティング自体がメインであるかを確認する。
- 納品物に使用している資料:テンプレート/独自比率を見極める。一般的に実績豊富で大きな会社ほど、テンプレート比率が高まる。
- 納品物の質と量:納品物において、方向性を提示するだけでなく、具体的なアクションを詳細な指示書レベルで提示されるかどうか、またその量はどのくらいかを見極める。
- 担当者の実績:プレゼンの担当者や会社の実績ではなく、プロジェクト開始後にアサインされるメイン担当者の実績、経験と得意分野を確認する。
- 担当者の能力:プロジェクト担当者が自分の業種や商品に対する理解を十分できそうか見極める
- 担当者の目線:担当者が、ユーザー目線を持っているかどうか、ユーザー目線と企業のニーズを別の目線で区別して見ることができるかを見極める(両方必要)
6.本当に実力のあるおすすめのECコンサルティング会社5選
ECマーケティング株式会社
強み:コンサルティングに特化している。
弱み:少数精鋭でありリストアップした他の4社と比較して会社規模が小さい。
株式会社いつも
強み:
モール(楽天、Amazon)を含めた全体サポートが強い。特に楽天、Amazonのモール運営において、楽天、Amazon出身者がコンサルタントに多く在籍し、外部に出ないノウハウも含めてサポートしてくれる。モールのノウハウは自社ECと違って、属人性が低いため、担当者の経験がそこまでなくても商材の強みと結びつけば成果を得られる可能性が相対的に高い。(※越境も)
弱み:
自社ECの通販支援は平均的(悪くはない)であること。組織が大きく育ってしまったので、実際にプロジェクトが始まると経験の浅い担当者をアサインされる割合がどうしても多くなってしまう。つまり担当者によって当たり外れが大きい。
株式会社これから
強み:
自社ECに特化している点が株式会社いつもと対照的。自社ECに特化した通販支援コンサルとして、最大規模の数百名規模の組織であること。
弱み:
いつもと同様、組織が大きくなってしまったので、経験の浅い担当者がアサインされることがある。つまり担当者によって当たり外れが大きい。独自ドメインECサイトは担当する個人の経験がモール以上に重要であるため、その点は致命的。もちろん経験方法な担当者にあたればよいが、規模が小さい/予算が小さい場合、その確率は下がる。
売れるネット広告社
強み:
主に美容健康関連商品において、初回トライアル獲得からの本品定期引き上げと、継続率向上とLTVを最大化するサブスク型D2C事業におけるノウハウ蓄積がもっとも蓄積しているエージェントであると考えられる(著者見解)。また、エージェントだけでなく、美容関連のサブスク型D2C事業者達とのコミュニティにもアクセスできることも強み。
弱み:
日本のEC市場において、ユーザーが商品を検索する際には、Google検索自体と、Google検索で上位表示される比較サイトでの比較検討が重要である。しかし売れるネット広告社は、おそらくわかっていながら、そこから距離をおいたところにノウハウを蓄積している。売れるネット広告社のコンサルティングを受けて事業運営している事業者の多くは、インターネット経由自然検索が弱い、広告に依存する事業モデルに陥りやすい。
ネットショップ総研
強み:
日本のEC市場の黎明期から業界をリードしてきたコンサルタント集団であること。自社ECだけでなくAmazonをはじめとしたマルチチャネル戦略をカバーできること。コンサルティングだけでなく運営代行のアウトソーシングを含めてパートナーシップを模索している企業に最適な選択肢となりうる会社。
弱み:
これから、売れるネット広告社、いつもと比較して規模が小さい(これはECマーケティングと同様)。運営代行をサービスの中心に据えているため、コンサルティング単独での外注を検討している場合、優先順位が下がる。
7.最後に
いかがでしたでしょうか?御社サイトのEC事業育成、売上向上にお役立ていただけましたら幸いです。また、関連してこのような記事を作成してほしい、などご要望がありましたら、あるいは個別のプロジェクトについてご相談がありましたら、Webly編集部まで気軽にお問い合わせください。
ECマーケティングのWeb集客施策
ECマーケティング株式会社では、400社以上のマーケティング実績をもとに御社の課題を洗い出し、最適なWeb集客プランをご提案します。
SEO・MEO・Web広告など、どの集客施策を行えばいいかわからないという方、今の集客施策の効果がわからなくなってきたという方は、ぜひまずお問い合わせください。
2000年からデジタルマーケティング業界で、大手企業のウェブマーケティングを支援。Googleアナリティクスが生まれる前、2002年にサーバーの生ログを集計して「アクセスログ解析」をレポート。Googleアドワーズが生まれる前からWEB広告を担当、当時のコンバージョン計測は手集計。2006年にECサイトを50サイト運営しながら、サイトユーザビリティ改善の重要性に気づき、ヤコブ・ニールセンのホワイトペーパーを入手して、日本のサイトに実際に導入しCVRが向上することを発見。2006年にサイバーエージェント、アルベルト(現アクセンチュア併合)を含め業界をリードする各社を招待して「コンバージョンアップサミット」を主催。以降、800プロジェクトのサイトユーザビリティ改善に携わる。