企業は市況に伴う事業転換や注力商材、注力ターゲットの変更などに伴い、ホームページのリニューアルが必要な場面があります。予算・スケジュールが必要になるリニューアルをどのタイミングで行うべきか、期待する効果を出すにはどうすれば良いか悩む担当者様も多いのではないでしょうか。
ホームページのリニューアルは制作前の段階で抜け漏れのない要件を固め、適切な予算を設定して制作会社に依頼することをおすすめします。(内製で実施するという選択肢もありますが、外注の方が望ましいです。理由は後述します)
進め方とポイントを押さえて失敗しないリニューアル施策を練りましょう。
1.ホームページリニューアルを行うべきタイミング・期間
前回のリニューアル・制作から3年~5年程度空いたら実施するのが一般的ですが、「~年経ったからリニューアルすべき」という絶対的な基準はありません。ホームページリニューアルは「時間の経過によって生じた何らかの問題を解決する」という目的を持って行うべきであり、明確な目的のないリニューアルは効果が出ない(むしろ前より悪くなる可能性すらある)でしょう。
リニューアルを検討するにあたり、具体的に以下のような目的がある場合はリニューアルを行うべきタイミングであると言えます。
目的①新しい機能を追加したい
自社サイトに新たな機能を組み入れるにはサイトの構造全体をアップデートしなければならないケースも少なくありません。ビジネスチャンスを拡大するために必要な機能を実装する場合、リニューアルを行うことには大きな意義があると言えるでしょう。
新たな機能の具体例
- 自社サービス・事例を適宜追加する機能
- 来店・訪問の予約機能
- 製品とお問い合わせ・資料請求などを連動させる機能
- オウンドメディア など
新機能を追加する目的でリニューアルを検討する際には、既存サイトの他の部分におけるネガティブな課題を見つけ出し、リニューアル時にそれらを改善することで効果をさらに上げることができます。
目的②更新にかかる手間を削減したい
Gooランキングが行ったアンケート調査※によれば、企業のウェブサイトで困ってしまうことランキングの第1位が「情報が数ヶ月間更新されていない」。
運用や保守管理に多くの工数がかかるサイトはコンテンツ更新が後回しになりがちです。特に独自のシステムでホームページを制作した場合、「当時の担当者しかホームページの更新方法が分からず、長い期間放置されている」といった事例も散見されます。
CMSを利用せず手作業での修正に時間がかかっている場合や、古いバージョンを利用していて更新に手間がかかる場合などは早急にリニューアルを検討すべきでしょう。
※Gooランキング「企業のウェブサイトで困ってしまうことランキング 1位から10位」
目的③検索結果上位に表示させて訪問数を増やしたい
検索エンジン対策(SEO対策)はWebマーケティングにおいて非常に重要な要素です。検索エンジンの検索結果に自社サイトが表示されないときは、
- HTMLの記述がSEOに適していない
- タイトル・見出し・ディスクリプションの設定が全ページ同一、または未設定
- 内部リンクが適切でない
などサイトリニューアルを行わなければ解決しない問題が発生しているかもしれません。
SEO対策が持て囃されるようになってかなりの年月が経ちましたが、内部SEOまで考慮してサイトを作る制作会社はそう多くないのが実情です。「コンテンツを増やしているのになかなか検索順位が上がらない」という場合、制作時のサイト構造がSEOに対応していない、もしくはサイトの要素を追加するうちに不具合が発生している可能性があります。
コンテンツの拡充で済む課題でしたら必ずしもサイトリニューアルを行う必要はありませんが、上記で示したようにサイト構造やHTML設定等に問題がある場合はリニューアルを行うべきでしょう。
目的④売上につなげたい
サイトの最も重要な目的は売上につなげることです。企業によって商品の購入や問い合わせ、採用サイトなら申込数アップなど導線はさまざまかと思いますが、最終的に売上を向上させることが目標であることには変わりないでしょう。
「問い合わせ数が伸びない」「望んでいる人材が採用募集に応募してくれない」など、売上アップを最終目標とする中でサイトが本来の役割を果たしていないと感じた場合は、リニューアルを検討することをおすすめします。
目的⑤ユーザビリティを向上させたい
近年、ユーザビリティを重視してサイトを制作する企業が増えており、ユーザの目もますます厳しくなっています。ユーザビリティが低い、つまりユーザにとって使いづらいサイトは流入したユーザが途中で離脱する確率が高くなります。
一定のスパンでリニューアルを行う企業が多いのは、コンテンツを再整理してユーザビリティを改善するという動機があるためです。ホームページは更新するほどに要素が増えていくため、リニューアル・制作当初は上手く機能していても時間が経過すると既存の構造では整理しきれなくなります。
分かりやすさ、ユーザビリティの定義は一様でなく、ターゲットユーザや時代に即して入念に設計する必要があります。ただし以下のポイントはどのサイトにおいても必要な要素ですので、必ず押さえるようにしましょう。
レスポンシブデザインへの対応
総務省のデータによれば、個人のインターネット利用機器はスマートフォンが71.2%。スマホ比率は年々上昇しており、スマホとPC両方に対応したレスポンシブデザインへの対応はもはや必須であると言えます。
単にレスポンシブ対応を実装するだけでなく、スマホ・PCそれぞれで視認性の高いサイトにすることが重要です。
表示速度
どんなに魅力的なコンテンツを掲載していても、サイトが表示されるまでの時間が遅いサイトは見てもらえません。
見た目や表示された後の使いやすさには気を付けていても、表示されるまでの時間にまで気を回す機会は少ないのではないでしょうか。以前制作したサイトの表示速度に問題がある場合はリニューアルを検討したほうがいいでしょう。
弊社サイトにおいても、リニューアルで表示速度の大幅な改善が見られました。
目的⑥ブランディングを向上させたい
ブランディングの方向性とWebサイトの統一性は企業全体の印象に大きく影響を及ぼします。必要に応じてサイトのデザインやコンテンツを変更することで、ブランディングを強化できるでしょう。
社内でリブランディングを実施する場合も同じタイミングでサイトのリニューアルを行うことが多いでしょう。特に商品や企業のブランドを重視する企業においては重要な目的となります。
それ、失敗するかも?危険な目的設定NGパターン
ここまで紹介してきたように、既存サイトに発生している(発生しうる)問題・課題が「ユーザや会社の売上に悪影響を及ぼす可能性がある」と判断したタイミングでリニューアルを実行すべきです。
裏を返せば、企業課題と関係のない動機でリニューアルを行うと目的が曖昧になり失敗する可能性が高まります。以下に当てはまる場合は本当にリニューアルが必要かもう一度検討した方がよいでしょう。
NG例①前回のリニューアルから◯年経った
「3~5年」という期間はある程度の目安にはなりますが、問題がないサイトをあえて変える必要はありません。特にリソースが限られている小規模企業においては、頻繁なリニューアルに予算を使うよりも地道に他の施策へ注力する方が効果的な場合が多いでしょう。
「前回リニューアルしてから◯年経ったからまたリニューアル」というルーチンに頼ると、目的意識がなくなりサイトの改善につながりません。時間の経過によってどんな問題が出ているか整理してからリニューアルに臨むことが重要です。
NG例②デザインが古いと感じる
Webサイトのデザインは5年程度でトレンドが入れ替わると言われます。そのため、制作から時間が経過したサイトは「デザインが古くなった」と感じる方が多いかもしれません。
しかしユーザ層によってはデザインの移り変わりをそこまで意識していない可能性もあります。単に新しいデザイン、かっこいいサイトを目指すだけではトレンドの移り変わりに流されるばかりで真にユーザのことを考えたサイトになっているとは言えません。
時流に惑わされすぎず、自社商品のユーザがどんなデザインを好むのか、競合はどんなデザインを採用しているか、こと細かに分析してからリニューアルを実施しましょう。
NG例③会計処理のタイミング
ホームページ作成費用は「広告宣伝費」として全額経費として処理することができます。そのため期末のタイミングやソフトウェア等の固定資産償却(5年)が終わったタイミングで急遽リニューアルが決まるケースが多いのではないでしょうか。
リニューアルを行う一つのきっかけとして会計処理のタイミングを利用するのはもちろん良いことですが、売上拡大に向けて効果を出すという本来の目的を見失ってはいけません。「予算が出たから」となんとなく無計画にリニューアルを進めると失敗しやすいので注意が必要です。
2.ホームページリニューアルの手順①事前準備
リニューアルを実施する前の事前準備として行うべきことをご紹介します。自社内で事前準備を十分に行う体制が整っていない場合はコンサルティングを行っている制作会社と相談しながら進めていきましょう。
リニューアルの目的を明確化する
まず自社における経営課題を共有し、リニューアルを含むWebマーケティング全体の方向性を把握します。経営課題を達成するにあたり既存サイトが有する課題点を抽出し、それを解決するような目的を設定しましょう。
まずは前章で解説したリニューアルの目的を参考に、経営課題につながる目的を整理・共有してください。最初にチーム全体で目標を共有することにより、リニューアルの方針をよりしっかりと固めることができます。
具体的な目標・指標=KPIを決める
ホームページリニューアルの成果を測るための指標としてKPI(重要業績評価指標)を定めます。具体的な数値で目標を定めるのがポイントです。
KPIの一例
リニューアルの目的 | KPIの一例 |
---|---|
企業・商品の認知度向上 | アクセス数/会社名の検索数/外部リンク数/SNSのフォロワー数・投稿数/メルマガ・LINEの登録数 など |
コンバージョン数向上 | アクセス数/主要キーワードの検索順位/顧客獲得単価(CPA)/資料請求数/問い合わせ数/直帰率/コンバージョン率(CVR) など |
採用力向上 | アクセス数/採用応募数/面接通過率/内定承諾率 など |
業務改善 | 人件費/人材採用コスト/ソフト・アプリ費用/作業時間 など |
自社サイト分析
いかなるサイトでも当初定めた主な目的とは別にさまざまな課題や問題があるかと思います。リニューアルを機に改めて自社サイトを分析して、解決すべき課題をあらかじめピックアップしておきましょう。
【課題抽出方法】
- 目視でセルフチェック
- 社員・顧客を対照としたアンケート
- 問い合わせ履歴を分析
- アクセス解析(Googleアナリティクスなど)
ポイントはなるべく多角的な視点から課題を抽出することです。Web担当に見えている課題と顧客に見えている課題が異なることは往々にしてあり、同じ顧客でもエンゲージメントの高低によって視点が異なるケースもあります。
担当者の主観だけでなく、客観的な意見を取り入れるよう工夫しましょう。アンケートやユーザインタビューを実施するリソース・知見が不足している場合は外部のユーザビリティ調査を利用するのも一つの手です。
ECマーケティング株式会社では、客観的な目線でWebサイトの改善点を洗い出し、CVR、ひいては売り上げを上げる「ユーザビリティコンサルティング」を提供しています。
既に課題を感じている方も、まずサイトを客観的に見て欲しい方も、ぜひまずはお問い合わせください。
競合サイト分析
自社サイトの具体的な改善点を見つける上でもう一つ重要なのが競合サイトの分析です。自社サイト分析では既存サイトのネガティブな課題を抽出することができますが、競合と比較した場合の優位性について測ることができません。
競合サイトの優れている点を参考にしつつ、自社の強みや打ち出したいメッセージを強調できるサイトを目指しましょう。競合サイトのデザインやコンテンツをそのまま真似するのではなく、自社サイトにない部分を補うための参考として取り入れるのが差別化のポイントです。
SEOツールを活用した数値分析やユーザアンケートを行い、自社サイト・競合サイトの差を分析して課題に落とし込みます。
要件定義をまとめる
ここまで行ってきた分析からサイトリニューアルの目的と解決したい課題、具体的な施策を要件定義としてまとめます。
要件定義をしっかり行わないと制作開始後にやり直しや修正が発生しやすく、時間もコストも無駄になってしまいます。制作会社とのズレをなくしておくためにもここで時間を割いて要件定義を固めることが重要です。
3.ホームページリニューアルの手順②制作会社選び
リニューアルを成功させるために重要な要素となるのが制作会社選びです。
内製or外注どちらにすべきか
話が前後しますが、制作の事前準備を始める前に内製・外注どちらでプロジェクトを進めるかまず決めることになると思います。結論から申し上げると、外注で制作会社に依頼することをおすすめします。
内製でのサイト制作は、社内の観点に寄りすぎてユーザ目線に立つのが難しいことが最大の欠点です。リニューアルの成功を握る最も重要な鍵はコーディングなどの技術面ではなく、顧客の視点に立ったマーケティングとしての戦略展開にあると筆者は考えていますが、内製でサイトを制作すると客観的な視点が欠如してしまいがちです。
また、現実的な問題としてSEO観点、UIUX観点両方に根ざしてプロジェクトを推進できる人材が社内にいないことが多いのも大きな理由です。分析と戦略策定をやるべきと語るのは簡単ですが、具体的な進め方・分析手法を熟知して手際よく進められる人材を本当に社内で集められるでしょうか。
例えば顧客の知らない社内用語・専門用語が注釈なしに記載されていたり、一般的ではないメニュー構成になっていたりとつい「サイトを見せる側」に立ってデザインやコンテンツ内容を決めてしまい、肝心のユーザにとって使いにくいサイトになってしまう失敗例は後を絶ちません。
よほど規模が大きくマーケティングの人材に富んだ会社であれば話は別ですが、多くの企業にとっては外注が最善の選択になるのではと思います。
制作会社の選び方
外注でリニューアルを行う際にはいくつかの制作会社に要件定義書を提出し、同一の条件で相見積もりを取って比較することを推奨します。
ちなみに相見積もりを取って検討する場合はプロジェクト全体で4ヶ月~6ヶ月程度かかると推定して、あらかじめ大まかなスケジュールを立てておくとよいでしょう。
具体的には、以下のような視点で制作会社を選ぶのがポイントです。
制作会社の選び方①事業年数
リニューアルを成功させるには「目標を達成するために信頼の置ける会社を選ぶ」ことが第一条件です。
信頼できる会社という意味ではこれまで付き合いがある企業を選ぶのも一つの手ですが、これまでに取引がない新しい会社を見積もりの選択肢に入れる場合は創業からの年数を信頼度の指標として参考にするとよいでしょう。
一般的に、5年以上Web制作事業を展開している企業はそれまでに実績を積み重ねてきた信頼度があると言えます。
制作会社の選び方②サポート体制(支援領域・従業員数)
ここまで解説してきたように、リニューアルのプロジェクトはコーディングでサイトを制作する作業のみを指すわけではありません。的確に効果を出すにはSEOやUI・UXの知識、組織的にプロジェクトマネジメントを行う体制が必要です。
一般的にサポート体制が充実するほど予算が高くなる傾向にあります。内製で賄えるリソースとリニューアルにあたってのサポート体制が合致しているかあらかじめチェックしておきましょう。
例えばリニューアルにあたる課題設定・サイト分析を行うリソースがないのに制作作業のみを請け負う会社に依頼すると、効果のないサイトになってしまう可能性があります。
また、サポート体制を判断するうえでは従業員数の規模も重要です。
従業員数が多い企業はリソースも豊富にあるため安心してプロジェクトを一任できるメリットはありますが、予算に応じてアサインするスタッフが決まるケースがある点には注意が必要です。予算が小さいほど新人・修行中のスタッフが担当につく可能性が高まるため、小規模なリニューアルだと思ったようなサポートが得られないかもしれません。
一方、小規模な企業は担当者による当たり外れが少ない分、会社単位での優劣をしっかりと見極める必要があります。サイトからだと判別できない情報も多いため、気になった企業は一度見積もりと商談を行ってみるとよいでしょう。
制作会社の選び方③制作実績
制作実績を見るときに重要なのが業界ごとの実績です。
例えば、金融業界のホームページは金融専門用語に関する知識とユーザ層に合わせたコンテンツの整理が重要になります。他の業界においても特有の傾向やセオリーがある場合も少なくないため、自社の業界で制作実績のある企業を探してデザインやユーザビリティに満足のいく会社を選ぶとよいでしょう。
プロジェクトの背景・プロフィールなどの要件に対して、過去のアウトプットに関する具体的な経緯・詳細が分かる実績を提供している制作会社を選ぶのが理想的です。自社の悩み、要件に置き換えて対応してくれそうな会社か判断しましょう。
制作会社の選び方④発信している情報(オウンドメディア・SNS)
どの企業もコーポレートサイトには「運用支援」「マーケティング」などの文字が並んでおり、実際にどんな領域が得意なのかサービスページのみで判別するのは難しいでしょう。そこで役に立つのがコーポレートサイト以外で発信しているコンテンツです。
現在はオウンドメディアやSNS等で情報を発信している企業が多いため、発信している内容をチェックすることで、企業本来の得意分野をある程度判別することができます。
失敗するかも?サイト制作において危険なNGケース
制作会社を選ぶ基準は企業によってまちまちですが、自社の経営課題を解決する・売上を改善するという本来の目的に立ち返り、本当に有意義なリニューアルを行えるか検討することが重要です。
以下のような条件で選ぶと売上につながらない「失敗リニューアル」になってしまうかもしれません。
NGケース①デザインの綺麗さだけで選ぶ
シンプルでデザインが綺麗なサイトばかりが制作実績に並んでいる場合は注意が必要です。
もちろんブランディングによってはシンプルさが重視されることもありますが、顧客が求めているのは綺麗なデザインだけではないかもしれません。
綺麗でシンプルなビジュアルは、裏を返せば顧客にとって必要な情報をそぎ落としてしまうリスクを孕んでいます。サイトを訪れるユーザにとって必要な情報・導線が入っているか、必要のないコンテンツでファーストビューが埋まったり表示速度に悪影響を及ぼしていないかなど、実益になる部分を必ず考慮しましょう。
NGケース②地元の企業から選ぶ
「何かあったときに会って相談できるから」と距離の離れた遠方の会社より自社近くの会社を選ぶ企業は少なくありません。しかしコロナ以降は特にオンラインミーティングが増えており、遠方でも十分にコミュニケーションを取る技術が発達しています。
実際、弊社もほとんどの会議をオンラインで行っていますが、距離の遠さが原因でサポート体制に問題が生じたことはありません。むしろ地域で会社を絞ってしまうと本当に大切な条件を見逃すリスクが生じます。
特にWeb業界において技術やノウハウが先進的な企業は都心に集中しているおり、地域に特化するメリットはほとんどないと言ってよいでしょう。企業与信をクリアした企業であれば、エリアよりも実力・実績を優先して制作会社を選んだ方が成功に近づけると考えます。
NGケース③とにかく費用が安い
言うまでもないことかもしれませんが、「とにかく費用が安い」とはすなわち制作のレベルが低く、マーケティングは範疇外というケースがほとんどです。
有意義なリニューアルを行うという目標に根差して考えた場合、費用以外の面をしっかりと見て比較することが重要でしょう。
見積もり時に伝えるべき内容
とはいえ、受注に際しては費用を抑えられるに越したことがないのも確かです。また「一見格安に見えた企業も条件を擦り合わせてみたらサイトの料金プランより高額になっていた」というケースも少なくないため、同一条件で費用を比較するためにも見積もり時に伝える内容をあらかじめ決めておきましょう。
制作会社に打診する際に、前章で決定した目標や課題などをRFP(提案依頼書)としてきっちりまとめることをおすすめします。
【RFPに盛り込む事項】
- ホームページリニューアルの目標
- リニューアルの進め方
- スケジュール、納期
- おおよその予算
- 連絡手段(メール、電話、オンライン会議など)
- CMSの条件
- 機能要件(サイトに必要な機能)
- 機能以外の要件(セキュリティ、ユーザビリティなど)
4.ホームページリニューアルの手順③サイト制作~公開
以降は制作会社に外注する場合、外注先と相談しながら進めていく作業です。
サイト構造を設計する(サイトマップ作成)
(サイトマップの画像、もし現リニューアルの資料があればいただけるとありがたいです)
Webサイト全体の見取り図である「サイトマップ」を作成します。サイトマップではホームページ全体のページ構造をツリー上で表現しており俯瞰的にサイト全体を把握できるため、サイト設計するには欠かせない要素です。
トップページを第1階層、カテゴリページを第2階層、詳細ページを第3階層として、リニューアルの対象となるページをサイトマップに落とし込みます。ユーザのニーズを的確に捉え、ユーザーが求める情報を提供できるコンテンツを分かりやすいデザインで配置していくことが重要です。
デザインを決定する(ワイヤーフレーム作成)
サイト全体の構造を決定したら、今度はページ単位の設計図となる「ワイヤーフレーム」を作成し、ロゴやバナー、CTA、新着情報など実際のレイアウトイメージをチームで共有します。
「かっこよくて最新のデザイン」が最良ではないことを念頭に置き、ユーザに与える印象から逆算してワイヤーフレームを作成します。
ワイヤーフレームのたたき台が上がってきたら、制作に取り掛かる前に一度社内の意見をヒアリングして当初のイメージとズレがないか確認するとよいでしょう。
サイト制作を行う(コーディング)
ワイヤーフレームが決まったらコーディングに着手します。外注する場合は制作会社がコーディングを行うため、制作状況を適宜確認する形になります。SEO対策をしっかり盛り込むのがこのフローです。見出しや論理構造などSEOの力量はコーディングに表れます。
コーディングが完了した後、確認用のテスト環境で問題なく動くかなどをチェックする工程が入ります。
新旧URLリスト(リダイレクト管理表)も重要
リニューアルにあたってはページの追加・削除が発生することが多いため、URLリストを作成し、リダイレクトの処理がされるよう管理する必要があります。
- 新しく作成するページ
- URL(ディレクトリ)が変わるページ
- 不要な削除ページ
後者2つはリダイレクト設定が必要です。(②は301R、③は404R)
この対応が漏れると、検索順位が下がる・検索流入が減る・購入やCVの機会損失・「管理がずさんな企業」という印象をユーザに与えるなど、複数のリスクにつながります。
非常に重要な作業にも関わらず対応が甘い制作会社が多いため、検討段階で管理がしっかりしているかチェックすることが重要です。
公開
社内のチェックで問題がなければ公開します。公開直後に問題が発生した場合に自社や制作会社が対応できる日程を考慮して公開日を決めましょう。
5.ホームページリニューアルの手順③リニューアル後の施策
リニューアル後のページを公開する段階では以下のような施策を行いましょう。
リニューアルの周知
既存ユーザに知らないサイトだと誤解されるリスクを減らすほか、リニューアルの情報を広く告知することで、マーケティングにもつながります。
自社サイトでお知らせを出すのはもちろん、FacebookやX(旧Twitter)などのSNS、プレスリリース、メルマガなどの各種メディアを有効活用して自社サイトのリニューアルを周知させましょう。
お知らせを通じてアクセス数が増加すればサイト全体のドメインパワーも向上するため、各コンテンツの検索順位アップにも貢献します。
SEOへの影響をチェック
特にアクセス数の多い重要なページで順位が下がるなどの事態になった場合、会社の利益に大きく悪影響を及ぼす可能性があります。
公開後はなるべく早くサイト全体・主要ページのアクセス数や検索順位に影響がないかを確認し、問題があれば原因の調査を行いましょう。
目標に対する効果測定と改善
公開後しばらくしたら、リニューアル当初に決定したKPIを用いて成果を客観的に評価します。「評価したら終わり」ではなく、改善施策とあわせてPDCAサイクルとして繰り返すのが重要です。
もしこれらの効果測定・改善を自社のリソースで行うのが難しい場合は、制作会社に運用・管理費を支払って依頼するのも一つの手でしょう。
6.ホームページリニューアルの成功事例
某独立行政法人でのホームページリニューアル事例をご紹介します。
多くの人が訪れるポータルサイトの大規模リニューアルでは、ターゲットユーザを整理してサイト設計に落とし込むノウハウが必要です。
本事例ではコンバージョンシナリオを用いてユーザごとの導線をまとめることで2,500ページ以上にわたる膨大なページの情報を整理しました。
ユーザビリティを考慮したサイト制作を行い、結果として当初設定したKPI(CVRの数値)6指標のうち4指標で改善が確認されました。
7.まとめ
ホームページリニューアルでは目的を設定し、事前に戦略を練ったうえで制作に取り掛かることが重要です。デザイン性のみにとらわれず、最終的な売上拡大に貢献させることを念頭に置いてプロジェクトを進めるようにしましょう。
また、制作会社を選ぶ上では自社の課題を的確に分析し、それに沿った提案をしてくれる企業を見極めることが重要です。