Webサイトの運用において、サイバー攻撃への備えは必要不可欠です。「サイトの表記がおかしい」「急に全く違うサイトに差し代わってしまった」などの改ざん被害に遭った場合、想定しうる損害は大きなものになります。
自社サイトが攻撃に遭うだけでなく、ユーザーを巻き添えにした被害が起こってしまった場合は加害者として損害賠償をしなければならないかもしれません。サイトの改ざん検知ツールを導入するのは被害を最小限に食い止めるための有効な対策です。
この記事ではWebサイトにおける改ざん検知について、仕組みやツール・サービスの選び方、改ざんを未然に防ぐ対策方法をお伝えします。
1.Webサイト改ざん検知とは
コンテンツや管理設定など、Webサイト内のデータの改ざんが起こったときに検知・通報するシステムのことを「改ざん検知」と呼びます。
サイバー攻撃を受けた場合、異変に気付いていち早く対応することが重要です。そのため、セキュリティリスクの管理には欠かせないツールであると言えます。
Webサイトに限らずシステム内部、アプリなどにも改ざん検知をつけることができますが、今回は特にWebサイトが改ざんされたかどうかチェックするシステムに着目してご紹介します。
2.改ざん検知のやり方・仕組み
サイトが改ざんされたかどうか判断する方法はいくつかあり、やり方によって検知できる範囲に違いが出ることもあります。
仕組みを知り、自社サイトに適したツールを選ぶ材料にしましょう。
サーバ内部監視型 | 内部のシステムまで監視対象に入れられる 改ざん発生時迅速に対応しやすい | |
---|---|---|
外形監視 | パターンマッチ型 | 過去のパターンをもとに分析する |
ハッシュリスト比較型 | ハッシュ値を比較することで改善されたファイルを特定しやすい | |
原本比較型 | Webサイトの原本を保管し、実際のWebサイトと比較することで改ざんを検知 |
サーバー内部監視型
改ざん検知を行いたいWEBサーバーの内部に検知ツールを設置して監視します。
サーバー内のデータに変更が加えられていないかチェックすることで改ざんを検知するという仕組みとなっていて、内部のシステムまで監視対象に入れられるのがメリットです。
また、設定によっては改ざんが起こった瞬間リアルタイムで通知されるシステムにすることも可能なので、有事に迅速な対応を行いやすい点も長所だと言えます。
ただし、内部監視型の改ざん検知ツールを入れるにはサーバー運用側の設定が必要です。共用サーバーを使っている場合は提供者の都合によって使えないこともあるので注意しましょう。
パターンマッチ型(ソース解析型)
外部の別サーバーから該当するWebサイトにアクセスし、過去に行われた改ざん事例と照らし合わせる形で検知する方法です。WordPress等の動的コンテンツに対応しています。
過去のパターンをもとに分析するため、よく使われる手法の攻撃には高い効果を発揮しますが、未知の攻撃に対しては対処できないこともある点には注意が必要です。
また、画像ファイルなど未対応フォーマットのファイルや公開されていない内部ファイルも改ざん検知の領域に含まれていないことには留意しておきましょう。
ハッシュリスト(ハッシュ値)比較型
定期的に監視対象ファイルのハッシュ値を計算し、誤差が出ていないかどうか比較する方法。
運用側がカスタマイズ等で意図的にファイルを変更した場合に誤作動しやすいものの、ハッシュ値を分析することで改ざんされたファイルを特定しやすいというメリットがあります。
原本比較型
監視対象となるWebサイトの原本を保管し、実際のWebサイトと比較することで改ざんを検知します。
原本比較型のツールは内容を更新するたびに改めて原本を用意し直さなければならないのがややネックです。
3.改ざん検知ツール・サービスの選び方
ここまでご紹介してきた通り、改ざん検知にはさまざまな種類があります。
「何を基準に選べばよいか分からない」という方は、以下のポイントを押さえて自分に合ったサービスを選びましょう。
改ざん検知の頻度
検知方法によって改ざんチェックの頻度はかなり異なってきます。もちろん同じ方法を取っていても価格帯やエンジニアによって検知の周期が変わることもありますが、一つの基準にはなるでしょう。
サーバー内部監視型であればファイルの変更があった瞬間に検知する常時監視システムを採用できるので、セキュリティ的には一番確実です。
その他の検知方法は外部のサーバーから監視するシステムのため「外形監視」と呼ばれます。仕組み上改ざんが起きた瞬間に通知することは不可能ですが、改ざんの頻度を上げれば「すぐに改ざんに気が付く」システムにすることは可能です。
契約するサービスやツールによってはタイムラグが発生する場合もあるので、どのくらいの頻度で改ざんチェックするのかは必ず検討項目に入れるようにしましょう。
監視する対象
ツールによっては内部の設定ファイルなども改ざんの対象になることもあります。
「表には分からないが内部のファイルが改ざんされている」という事態まで考慮して対策したいのであれば、監視対象の範囲が広いサーバー内部監視型がおすすめです。
外部からの侵入に備えるという意味では外形監視型でも問題ないでしょう。
改ざん発覚時の対応
ツールの中には「改ざんがありました」と通知するだけのものもあります。特に無料・安価なサービスは改ざん等の被害が発生したときに自分で修復できる人向けなので、対応できる人がいない状況ではおすすめできません。
原因の特定や修正まで行うのが困難であれば、サイトの復旧や再発防止策の提案などの事後対応までサービスに含まれたものを選ぶべきでしょう。
4.改ざん検知以外の対策方法も
改ざん検知はあくまで「改ざんが起こってからの初動を早める」目的で導入するツールです。セキュリティを強化したいのであれば、まず改ざんが起こる前の対策ができているかチェックしましょう。
ファイアウォールなどの対策ソフトの導入
不審なアクセスをブロックする役割を持つ対策ソフトの導入が第一です。
- ファイアウォール
- WAF
などがサイトと紐づいているサーバーに設置されているかどうか確かめてみましょう。
侵入検知システム(IDS)の導入
IDSは不正アクセスを検知するためのツールです。改ざんが起こる前には不正アクセス攻撃を受けていることが多いので、サイトの改ざんがあったかどうかよりも先に不正なアクセスを検知するシステムを導入しておきましょう。
不正な通信を遮断するIPS(侵入防止システム)というセキュリティツールもあります。こちらを導入すれば検知だけでなくブロックまでしてくれるので、まだインストールしていないようであればいち早く導入しておくことをおすすめします。
アップデート、脆弱性情報の管理
WordPressなどのオープンソースCMSは特にアップデートが頻繁にあるので、更新しないで放置していると脆弱性が見つかって改ざん被害に遭う可能性が高まります。
こまめにアップデートを行い、脆弱性に関する情報を収集することでリスクを軽減できることを頭に入れておきましょう。
しかし、アップデートに対応するとサイトが表示崩れを起こしたりレイアウトが変わってしまったりと何かと手間が多いもの。「管理しきれない…」という場合は、保守サービスの利用もおすすめです。
改ざん検知システムの導入や定期的な診断レポートの作成なども一括で代行できるので、自社サイトの状態を把握しながらプロに管理を任せることができます。
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5.まとめ
サイトが改ざんされたかどうか検知するツールを導入するのは被害を最小限に食い止めるのに必要です。
また、改ざん検知だけでなく多方面からしっかりとセキュリティ対策を行うことで、自分のサイトを守ることになります。もし導入がお済みでなければ、早急に対応することをおすすめします。
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