Webサイトの集客力アップは、Web担当者を悩ませる難しい課題です。特にBtoBビジネスでは事例が公開されているものがそれほど多くないため、具体的なノウハウを探しにくい状況にあります。
その中で注目されている集客方法がコンテンツマーケティングです。BtoCと同じように、BtoBにおいてもコンテンツマーケティングは有効とされていますが、その理由はどのようなものなのでしょうか。
この記事では、BtoB企業がコンテンツマーケティングを活用するべき理由と、うまく活用するコツを紹介していきます。また、注意すべきポイントについてもお伝えしていきます。
1. BtoB企業でコンテンツマーケティングが有効な理由
BtoB企業とBtoC企業で、コンテンツマーケティングに取り組む際の違いについて聞かれることがよくありますが、集客のステージにおいて、実はそれほど大きな違いはありません。
確かに、BtoBとBtoCでは購入プロセスが異なります。BtoBでは、購入を決める決裁者の前に担当者を挟むケースがあり、購入までに関わる人が多いという特徴があります。
しかし、その場合は決裁者と担当者の両方のペルソナに向けてコンテンツを作成すれば良いため、そういった意味ではBtoC商材と根幹は同じだと言えます。
ただ、BtoBは決裁フローが煩雑であるケースが多く、衣服や家電といったBtoC商材とは違って、すぐコンバージョンに至ることはあまりありません。
クライアント側では、まず担当者が下調べをし、営業と商談し、必要であれば稟議をあげ、意思決定者の決裁を経てようやく購入や契約といった流れになります。
一連のプロセスの中で重要なポイントは、顧客が「下調べ」をするということです。下調べの情報収集には検索エンジンが活用されることが多いため、下調べの段階で顧客が自社にリーチできるようなコンテンツを準備しておけば、有益な情報を提供しつつ自社をPRできます。
コンテンツによって顧客の認知とリードを獲得できれば、営業との商談段階ではすでに競合から一歩先を行った状態を作ることに成功したと言ってもよいでしょう。
2.BtoB企業がコンテンツマーケティングで成功するためにすべきこと
BtoB企業がコンテンツマーケティングで成功するためのポイントを、4つ紹介していきます。
担当者と決裁者のペルソナを設定する
コンテンツマーケティングでは、どのペルソナに向けてコンテンツを配信するかという「ペルソナ設定」が非常に重要です。
BtoC商材であれば、検索ユーザー=顧客となるケースがほとんどのため、単純に顧客のペルソナを設定すればよいのですが、BtoB商材の場合、検索ユーザー=顧客(決裁者)ではなく、検索ユーザー=担当者になる可能性があります。
そのためコンテンツマーケティングに取り組む前に、担当者と決裁者の2つのペルソナを設定し、両者を対象にしたコンテンツを作成するようにしましょう。
ペルソナの行動段階に合わせたコンテンツを準備する
コンテンツマーケティングを行うとき、ユーザーがコンバージョンに至る道筋を推測し、ユーザーの行動に合わせたコンテンツを用意する必要があります。
そのためには、顧客が購買に至るまでのプロセスである「カスタマージャーニー」に基づいてコンテンツを作ることが有効です。
カスタマージャーニーではユーザーの行動パターンを段階ごとに表しますが、一般的に顧客は「情報収集」から「選定」までに様々なステップを踏むため、ステップごとに適したコンテンツを用意することで、よりマーケティングの効果が出やすくなります。
先述したとおり、BtoB企業では、決裁者と担当者の両方に向けてコンテンツを配信することが有効です。そのため、カスタマージャーニーは2通り作成し、決裁者と担当者で分けて必要なコンテンツを検討しましょう。
早めに始める
コンテンツマーケティングは、実績が出るまでに数カ月かかることもある中長期的な施策です。始めるのであれば、できるだけ早く始めるようにしましょう。
特に、競合がまだコンテンツマーケティングを始めていないのであればチャンスです。コンテンツマーケティングに注力するBtoB企業の数はBtoC企業に比べて少ないため、競合に先んじることで「〇〇の分野であればXX会社」というイメージを定着させ、一歩先を行けます。
外注と密なコミュニケーションを取る
コンテンツを内製するのが難しい場合には外注することになりますが、その場合、外注とはしっかりとコミュニケーションを取るようにしましょう。
BtoB企業の強みは、その分野のコアな専門知識を発信できることです。例え外注する場合でも、ノウハウをきちんと共有し、コンテンツにしっかりと落とし込むことによって、検索結果の中で差別化され、ユーザーに選ばれるコンテンツになります。
3.BtoB企業がコンテンツマーケティングで注意したいポイント
BtoB企業がコンテンツマーケティングで注意するべきポイントを、3つ解説していきます。
社内の理解を得ておく
先述の通り、コンテンツマーケティングは実績が出始めるまで数カ月かかる中長期な施策です。
加えて、費用対効果を算出しづらい施策でもあるため、社内であらかじめ理解を得ておかないと、「成果が出ていないのでは」と施策の中止や事業の縮小を求められる可能性があります。
施策を始める前に、「BtoBでコンテンツマーケティングに取り組む企業はまだまだ少ないこと」「競合の先手を取るためには早めに始める必要があること」を関係部署や決裁者に伝え、十分な理解を得ておくようにしましょう。
営業(現場)の意見を反映する
BtoBのコンテンツを制作するときには、営業(現場)の意見を反映するようにしましょう。
クライアントにはどのような担当者が多いのか、どういったアプローチが有効なのか、どのような決裁フローを通してコンバージョンに至ることが多いのかといった情報は、顧客と直接コミュニケーションを取る現場の担当者が詳しいものです。
マーケティングの現場では、データを根拠にしてPDCAを回しがちです。それは決して間違いではありませんが、データだけでは見えてこない「生の声」を現場から聞くことも忘れないようにしましょう。
運用の社内フローを簡素化する
コンテンツは定期的な配信が望ましいことは言うまでもありませんが、社内の運用体制がきっちり構築されていなかったり、フローを明確化していなかったりした場合、配信が停滞し、最悪計画が頓挫してしまう可能性があります。
コンテンツを継続的に配信して効果を出すためには、運用フローを簡素化するなど、施策の継続を考えた工夫を忘れないようにしましょう。
4.まとめ
BtoBにおけるコンテンツマーケティングは、ペルソナを設定し、カスタマージャーニーに基づいたコンテンツの制作が必要なためBtoCと大きな違いはありません。
しかし、BtoCではコンテンツの閲覧者=意思決定者ですが、BtoBではコンテンツの閲覧者=担当者になることがあります。誰向けのコンテンツを作成するかは熟考すべきポイントです。
注意点としては、コンテンツに営業の意見を反映させること、運用フローを簡素化することです。またコンテンツマーケティングは、施策が中長期に渡り、進捗や成果を表しづらいため、社内の理解をしっかり得たうえで地道に取り組んでいくようにしましょう。