雑貨・インテリア業界事例

雑貨・インテリア業界に対する考察と実例をご紹介します

雑貨・インテリア業界事例

EC化への適応と 店舗戦略との連携

ECマーケティングの雑貨・インテリア業界実績(一部)

マーケティングの「EC攻略チャート」

ここまでの市場動向・消費者/販売戦略の変化を踏まえ、ECマーケティングが考えている雑貨・インテリア業界でECを成功させるポイントを実際のコンサルティング事例を元に解説いたします。

EC攻略チャート

EC化率

★★★★☆

ECで取り扱いやすい商品が多く、コロナ禍を機に店舗へ行かず家具や雑貨を購入する顧客が増加しているため4としました。

競争に勝てる可能性

★★★☆☆

Webにおける新規顧客が増加しており、ニーズに合致した戦略を展開すれば競争優位性を獲得できる期待が持てるため3としました。

収益性

★★★☆☆

販売戦略に応じて大きく異なるため3としました。大型店舗メインの場合、販管費の割合が高くなるのが特徴です。

施策検討の易しさ

★★☆☆☆

店舗と連携した戦略設計が求められることから2としました。

攻略時間

★★☆☆☆

同じく店舗連携を前提とした長期的な施策が求められることから2としました。

雑貨・インテリア業界の市場動向

雑貨・インテリア業界の市場規模

ここでは家具を中心に雑貨やインテリア商品を販売する業界を総称して「雑貨・インテリア業界」として、近年の市場動向を解説します。

インテリア業界の市場規模

引用:矢野経済研究所「家庭用・オフィス用家具市場に関する調査を実施(2023年)」

矢野経済研究所の調査によれば、雑貨・インテリア業界の市場規模は約1.1兆円。少子化や需要の低下によりバブル崩壊以降市場の縮小が続いてきましたが、ニトリなど大手企業の牽引やコロナ渦の巣ごもり需要拡大でここ10年ほどは右肩上がりのゆるやかな成長を見せています。

市場の流れ

コロナ禍ではテレワークの普及により自宅用デスク・チェアの需要が増大するなど、情勢が追い風となった傾向が見られました。

しかし日本の総人口・新設住宅着工戸数は減少に転じており、世帯数も近いうちに減少しはじめると推測されています。インテリア業界は将来的に人口減少の影響を受けることが予測されるため、今後の生き残りには時代の変化に適応したニューノーマルな戦略が必要になってくるでしょう。

ニトリ・良品計画など低価格志向の大企業が市場を拡大させたことが業界全体の拡大を牽引したと言えます。

業界の構造

雑貨・インテリア業界上位3社の年間売上高

雑貨・インテリア業界上位3社の年間売上高

雑貨・インテリア業界は大きく分けて「低価格指向」「高級志向」2つの傾向に分かれます。業界トップ3のニトリHD、良品計画、イケア・ジャパンはどれも店舗・ECどちらにも力を入れて低価格製品を幅広く取り揃える業態の企業です。コストを抑えるために商品企画~仕入れ販売までの経路を全て自社で行い、物流・在庫管理の効率を高めるSPA(製造小売り)モデルを採用しているのが低価格志向の企業に共通する特徴です。

また、近年伸びが著しいのはLOWYAに代表されるようなEC主体のD2Cブランドでしょう。販売業者を介さず自社ECで商品を販売するビジネスモデルで、デジタルを通じたコンテンツマーケティングで顧客にリーチするのが大きな特徴です。SPAモデル同様商品企画~仕入れ販売まで一貫して自社で行うため低価格な商品提供が可能であることに加え、ニーズに対応した情報を発信することで顧客と密な関係性を構築し、ロイヤルティを向上させています。

直近の動向とデジタル化の動き

IMARCグループによれば、日本の高級家具市場は2024~32年で5.2%上昇する見込みとされています。現在は低価格志向のメーカーが大きく業績を伸ばしていますが、今後は欧米における環境配慮製品への関心の高まりが日本にも影響を及ぼしていき、素材にこだわった製品の需要が高まっていくと推測されています。

雑貨・インテリア業界上位3社の年間売上高

2022年度時点におけるインテリア業界のEC化率は29.59%と、全業界の平均値9.13%よりも圧倒的に高いと言えます。EC化はもはや売上増に向けた戦略ではなく、生き残りに向けた必須戦略になりつつあると言えるでしょう。

EC化率の上昇に伴い、雑貨・インテリア業界のEC市場では価格競争の激化が予想されており、価格以外の面で他社製品と差別化する施策の必要性が高まっています。

特にECとの相性が良いのは小型家具や雑貨など、低価格で気軽に購入できる商品です。低価格帯の商品はリスティング広告などの短期的なWeb戦略で売上を伸ばしやすく、新規顧客にリーチしやすくなるためEC化にあたっては積極的に商品展開を進めていくべきでしょう。ソファやベッドなど大型かつ高額な商品をメインとするECサイトであっても、低価格帯商品の販売数を広げることで安定的な売上を確保することができるようになります。

しかしその一方、高額商品をECのみで購入する顧客は少なく、「店舗で購入する」あるいは「店舗で検討してECで購入する」ケースが多いため、ECのみで安定した収益を得るのは難しいでしょう。EC特化型のD2Cモデルで成功を果たしたLOWYAは、さらなる事業拡大に向けて2023年に新規店舗の出店を行いました。LOWYAの戦略に代表されるように、ECやDXを取り入れたうえで店舗での体験と結びつけて高額商品の購入につなげていく施策が現在のトレンドとなっています。

今後はリアルとWebの融合、すなわちOMOを推進するための施策の優先度がさらに高まっていくでしょう。

ECにおける消費者動向と販売戦略の変化

消費者動向は二極化している

消費者動向の二極化に関する解説

消費者の動向としては、低コスパで一定以上の品質を備えた製品を求める「堅実消費」とストーリーのある製品やブランディングを重視する「こだわり消費」の二極化が進んでいます。

現在はニトリや良品計画、IKEAなど低価格志向の大企業が前者のニーズに沿う商品を販売し、市場シェアを拡大している状態です。豊富な資金を利用して店舗とECのマーケティング戦略を並行展開しつつ、物流システムの一括管理でコストを抑える大企業ならではのアプローチが成功していると言えるでしょう。今後も当面はコスパ重視のニーズは高い状態を維持すると思われます。

一方で、近年コロナ禍でのテレワーク普及に端を発して快適な住環境への需要が拡大しており、それに伴ってオーダーメイド家具など高価格帯の製品への関心が高まっています。ここ数年の傾向として、「こだわり消費」へのニーズに合致したWeb戦略を積極的に行ったACTUS、カリモク家具など高品質志向のブランドが注目度を上げています。

今後の景気動向によっては、カスタマイズ性が高く良質な高級家具のニーズがさらに高まる可能性もあるでしょう。

EC需要の高まりと長期的な販売戦略の推進

コロナ渦でのテレワーク普及により、雑貨・インテリア業界におけるEC市場は伸長し続けています。ただし、特に単価の高い大型家具の場合ECだけで購入を決める顧客は少なくネット・店舗両方を見て検討するケースも多いため、EC導入=単純な売上改善に繋がるとは限りません。

OMOマーケティングに関する解説

EC戦略においては、製品を実際に見たり触ったりする体験を担う店舗との連携が非常に重要であることは先述した通りです。ECと店舗の顧客データベースを一元化するなどオンラインとオフラインを融合させる「OMOマーケティング」を推進し、消費者のニーズに合ったサービスを提供していくことが求められます。

先んじてOMO戦略を取り入れている企業の具体例として、業界1位のニトリが挙げられます。店舗マップを参照して探している商品の位置を調べられる機能や、ARを使って自宅で家具のサイズを計測する機能などスマホアプリを活用したスムーズ連携が功を奏していると言えるでしょう。また、店舗スタッフによるオンライン接客を促進するサービス「STAFF START」の活用など、店舗を含む社内のDX支援も積極的に行っています。

またEC率の高いインテリア業界においては、広告など直接的な売り上げにつながるWEB施策のみならず、店舗など複数の販売チャネルを活用した幅広い戦略展開によって販路を切り拓いていく必要があります。

今後はブランディングの強化や知名度・顧客満足度を高めるコンテンツマーケティングなど、集客やLTVを伸ばす長期的な販売戦略を積極的に行っていくべき局面に差し掛かっていると言えるでしょう。

 

4.雑貨・インテリア業界での成功ポイントと弊社の事例

①ユーザ視点 視認性とデザイン性を両立させるサイト構築

某インテリア大手企業G社のケース

雑貨やインテリアを取り扱うECサイト、特に高級志向の企業はブランドを反映させるデザインとユーザの回遊を妨げない視認性を両立させるサイト構築が重要です。G社ではユーザビリティ改善コンサルティングを通じて顧客体験を向上するための改善を抽出、実装をフォローしました。

結果としてスタイリッシュなデザインを維持しつつ、ユーザ視点で回遊しやすいサイトに改修することに成功しました。

②UGCを含むコンテンツ戦略 店舗と連携したコンテンツ戦略の立案

某雑貨メーカーK社のケース

雑貨・インテリア業界においては店舗での購入を後押しするようなコンテンツの制作、つまり店舗と連携した戦略の立案が重要です。

K社では店舗における来客を促進するため、リスティング広告とSNSを利用した店舗割引キャンペーンを展開。店舗での購入を促進しつつ、ECの認知度を高めて店舗・EC双方の集客改善を行いました。

③見込み顧客の育成 自然検索からのアクセス増で認知度とCVを底上げ

某雑貨・インテリア系ECサイト運用S社のケース

インテリア業界は購入検討にスマホ・店舗両方を利用する顧客が多いため、ECにおけるCVRは他業界と比較するとやや低い傾向にあります。しかし、ニトリの例からも分かるようにEC経由で店舗での購入に繋げる経路を用意することで、全体のコンバージョン数を底上げすることが可能です。

具体的には、SEO対策等の戦略を中長期的に進めることで認知度向上、ひいては売上改善に繋がっていくと考えられます。

自社ECを運用しているS社のケースでは、¥内部SEO対策を実施しました。SEO対策を行うことにより、自然検索経由でS社を知る顧客を増やし、ECでの低単価商品の購入を通じて家具などの高単価商品を購入する見込み顧客を育成することができます。

CVRへの直接的な貢献度の低さからインテリア業界において敬遠されがちな内部SEO対策を積極的に行うことで、他社との差別化に成功しました。

ECマーケティングでは、雑貨・インテリア業界でどのように売上アップを狙っていくかについて、戦略設計から施策実行までご相談をお待ちしております。

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