金融業界のサイト制作は他業界とは異なるノウハウが必要な特殊性があり、通常の制作会社選びとはポイントが異なる点がいくつか存在します。
専門用語・業界の基礎知識に対する知見はもちろん、金融業界のターゲットユーザに合わせた導線設計などUI・UX的な視点を有した戦略設計も重要です。
本記事では銀行・保険・証券会社などの金融業界でサイト制作・リニューアルをご検討中のWeb担当者様向けに制作会社の比較ポイントを解説いたします。
1.金融業界のサイト制作におすすめの会社8選
※掲載している情報は2024年調査時点のものです。
ECマーケティング
設立年 | 2011年 |
従業員数 | 8名 |
実績 | 住宅金融支援機構、千葉銀行、住信SBIネット銀行 など |
向いている企業 | 売上改善を目指す中小~大手企業 |
特徴 | UI・UXとSEO的な視点を有したサイト制作 |
ユーザ層を意識したUI設計でKPIの達成や売上改善を徹底的に支援。金融業界においても大規模リニューアルから採用サイト、小規模LPまで幅広く制作実績があるだけでなく、金融業界以外で培った知見も活用したカバー範囲の広い支援が魅力です。
小規模ですが、少数精鋭なのでサイト規模に限らず高品質のサイトを制作することができます。デザイン性だけでなく、UI・UXやSEOの視座に立ったWebマーケティング分野に強みを持った制作会社です。
GIG
設立年 | 2017年 |
従業員数 | 100名 |
実績 | 三菱UFJイノベーション・パートナーズ、Sasuke Financail lab など |
向いている企業 | CMS構築~管理までワンストップで支援が必要な中堅~大企業 |
特徴 | オリジナルSaaS型CMS「LeadGrid」を使用したサイト制作 |
オリジナルSaaS型CMS「LeadGrid」を使用したサイト制作がメイン。オウンドメディア、採用サイト、アプリ開発などカバー範囲は広く、多言語対応サイトの実績も豊富です。集客改善などのWebコンサルも行っており、幅広い分野で豊富な経験を有した制作会社だと言えるでしょう。
リード獲得を目標にCMS構築~管理までワンストップでサポートを受けながらサイトを運用していきたい会社におすすめです。
株式会社ヒカリナ
設立年 | 2014年 |
従業員数 | 12名 |
実績 | 住信SBIネット銀行、あかつき証券 など |
向いている企業 | 業界に特化したサポートを求めている大企業 |
特徴 | 金融に特化したUI・UX対応 |
UI・UXへの理解の深さと金融業界への知識・実績に大きな強みがある制作会社です。金融以外にも不動産・旅行業界など専門性が必要な市場に特化したサポートを主なセールスポイントにしています。
金融サービスの理解とユーザーに対する理解をベースにした素早く奥行きのある対応が可能で、広告やコンテンツ制作などの集客支援も行っています。
株式会社クーシー
設立年 | 1999年 |
従業員数 | 53名 |
実績 | 岩手銀行、大和アセットマネジメント株式会社、ブロードマインド株式会社 など |
向いている企業 | デザイン性・個性を重視したい中堅~大企業 |
特徴 | コンセプトを表現する印象的なデザインでのサイト制作 |
会社やサービスのアイデンティティやコンセプトをトータルプロデュースするという強みのある制作会社です。サイト制作のみにとどまらず、Webサービス立ち上げの全面支援やコンセプト策定などブランディングを全面に押し出した施策が得意です。
ただデザイン性があるだけでなくUI・UXも考慮してサイトを制作してくれるので、印象的なデザインで自社のブランディングを固めたい会社におすすめです。
シナジーマーケティング
設立年 | 2000年 |
従業員数 | 265名 |
実績 | 仙台銀行、日本取引所グループ など |
向いている企業 | CRMシステムの導入と並行してサイトを制作・リニューアルしたい企業 |
特徴 | CRMなど追客施策に合わせたサイト制作 |
CRMツール提供とメール配信サービスがメインで、CRMシステムの導入と一緒にサイト制作を行いたい場合に最適でしょう。金融業界はCRMが重要であるという特性を有しているため、金融分野でのサイト制作においてもかなりの実績・ノウハウを有している企業です。
サイト制作の実績としては大規模なリニューアルに携わった経験が豊富です。CRMツールの利用法はサポートしてくれますが、制作前後の運用戦略は基本的に自社で策定する必要があるため、マーケティング施策を自社で策定可能な企業向けでしょう。
アドライフ
設立年 | 2017年 |
従業員数 | 不明 |
実績 | 不明 |
向いている企業 | 小規模LPを制作したい中小~中堅企業 |
特徴 | 専門性の高いサイト制作(広告業務向け) |
金融広告専門の広告代理店で、金融に特化した専門性を強みにしています。主な事業はWebメディア制作(クリエイティブ)と広告運用であり、広告に付随した小規模なLPなどの制作を行っています。
広告業務に使用する専門性の高いLPを制作したい企業におすすめです。
名案企画
設立年 | 2007年 |
従業員数 | 6名 |
実績 | 石井商事、ADインシュアランスサービス、保研オフィス など |
向いている企業 | コーポレートサイトを制作したい中小の保険業界 |
特徴 | 保険業界に特化したUI設計とセキュリティ対策 |
保険業界に特化した制作会社です。中小企業のコーポレートサイト制作実績が豊富で、利用者層を理解したUIデザインとセキュリティ対策に力を入れています。また、定期訪問やメール相談など保険代理店の集客に関するコンサルティングも行っています。
Webマーケティング関連のコンサルはサービスに含まれないため、ある程度Web集客のノウハウが蓄積されている保険会社におすすめです。
デジタルアイデンティティ
設立年 | 2017年(創業は2009年、2017年にホールディングス化) |
従業員数 | 417名 |
実績 | 三井住友トラスト・ホールディングス、富国生命保険相互会社、楽天証券株式会社 など |
向いている企業 | 大手企業に大規模リニューアルを任せたい企業 |
特徴 | 金融業界に特化したマーケティング支援チームが在籍 |
大手企業を中心に多様な業界に対応していますが、金融業界に特化したマーケティング支援チームが在籍しているため特に強みのある制作会社です。
大規模リニューアル、オウンドメディアの実績が多くあり、マーケティングプランの策定や広告運用も依頼可能です。大企業特有の豊富なリソースで幅広い支援を行ってくれるのがメリットだと言えるでしょう。
2.【金融特化】サイト制作で会社を選ぶ時に注意すべきポイント
制作会社を選ぶ際に注意すべき具体的なポイントは以下の通り。
専門性の高さと実績
金融業界は専門的な知識が多いため、実績が豊富で業界を熟知している業者に依頼することが大切です。同じ金融業界でも銀行や証券、保険と細かくジャンルが分かれているため、自社が提供している商品やサービスに関する専門知識があるかあらかじめ確かめておくと良いでしょう。
特にYMYL(Your Money or Your Life=ユーザのお金や生活に直接影響を与えるンテンツ)に関する知識が非常に重要です。金融に関する情報はおおよそYMYLに該当するため、Googleからのコンテンツ品質評価が非常に厳しく、情報の正確性や発信者の権威が重要視されます。
サイト内に間違った情報や古い情報を掲載すると検索評価にも悪影響を及ぼすため、コンテンツ制作にも知見がある会社を選ぶのが重要です。
金融に関する専門性があるか否は制作実績を見ることである程度は判断できます。可能であればデザインや品質が自社の希望に沿っているかどうかも確認すると良いでしょう。
対応範囲
金融関連のサイト・オウンドメディアの場合、シミュレーションや一括査定などのページを組み込む必要があります。必要な機能をしっかりと実装するためにも、制作面で対応可能かどうか前もって確認しておくと安心です。
内製リソースによってはWeb制作だけではなくSEOやWebマーケティング、納品後の運用・保守など制作以外の面まで対応を依頼した方が良いケースもあります。特に社内でWebマーケティングを専門に行える人材が不足している場合、制作後の集客やアフターサポートまで対応できる制作会社を選ぶことが成功の鍵となります。
金融業界ならではの注意点として、金利の変動などの重要情報の更新にかかる保守作業の重要性が非常に高いところが挙げられるでしょう。規制や注意喚起など掲載しなければならない情報が多く、当初設定したUI・UXを壊してしまいがちな傾向があり、それらを上手く表現する工夫が必要です。
「運用は制作会社任せ」にするなら尚のこと専門性を有した企業を選ぶことが重要になってきます。
セキュリティ対策
特に顧客の個人情報や金融情報を取り扱うサイトを制作する場合はセキュリティ対策が重要になります。通信データの暗号化はもちろん、万が一異常があった場合にすぐ検知できるシステムを導入しているかも確認しておきましょう。
顧客情報の取り扱いが非常に厳重であるため、広告配信のタグ設定にも注意が必要です。セキュリティ上タグを埋め込んではいけない箇所などを判断するマーケターの専門性が問われます。
また、問い合わせ導線のみで顧客の個人情報を取り扱わないサイトの場合も改ざん被害などのリスクは存在します。金融業界は顧客からの信頼度が特に重要となるため、セキュリティに穴がないよう運用保守する体制を作ることが大切です。
自社サイトのセキュリティに不安がある企業でも安心してサイトを運営できるよう、セキュリティ管理のプロが徹底的にサポートします。
当社の保守サービスではバックアップやアップデートの管理からメールサポートでの疑問解消まで、WordPressの運用・管理をあらゆる角度から支援します。
オプションでサーバー保守・障害時の復旧まで承りますので、まずはお問い合わせください。
SEO(検索エンジン)対策
検索エンジン経由でサイトを訪れるユーザも多いため、潜在顧客にアプローチできそうなキーワードや自社のサービスが役に立ちそうなキーワードで上位に表示されるようSEO対策を行うことが重要です。
検索エンジンの評価を高めるためにはSEOコンテンツの制作などをはじめとした幅広い施策が必要になります。タグ設定などの内部対策ではサイト全体の構造を変えなければならないことも多いため、サイトリニューアル時の土台作りが後々の成果に大きく響きます。
制作会社を選ぶ場合は、SEOに関する専門知識を持った人をアサインしてもらえる会社を選ぶべきでしょう。
マーケティングの知見
効果的に売上を伸ばすには、ターゲット層の定義と理解が必須になります。制作の初期段階からターゲット層の属性やオンラインにおける行動パターンなどを分析して、的確なターゲティングを行う知見を有しているかが長期的な成功を導くポイントになります。
昨今では「マーケティング支援」が制作会社のサービスに含まれるのが当たり前になりましたが、中にはマーケティングの実力が伴わないまま支援という言葉が独り歩きしているケースも見られます。ただ「要望通りにサイトを作る」だけでなく、ペルソナ設定や競合調査を通じてマーケティングの視点からよりよいサイトを制作できる会社かどうかを見極めましょう。
UI・UXの知見
金融系のサイトでは、プロフェッショナルかつクリーンな印象を与えることが重要です。想定されるユーザによって求められるUI・UXが大きく異なる場合もあるため、市場分析等を通じたUI・UX視点でのサイト設計がサイトの出来に大きな影響を及ぼします。
サイトのデザインがユーザにとって可用性の高いものか、UI・UXの質が高いかどうかは最も重要な判断材料だと言っても良いでしょう。
色遣いやレイアウトなどの分かりやすいデザイン性だけでなく、シンプルで直感的なナビゲーションやサイトの表示速度、アクセシビリティの高さも重要なポイントです。
またスマホ対応、つまり「レスポンシブデザイン」を採用することで、どのデバイスからアクセスしても快適にサイトを閲覧できるようになります。レスポンシブデザインの導入は最低限行っておくべきでしょう。
3.金融業界におけるサイト制作の成功事例
ライフネット生命
2010年代に業績が悪化していたライフネット生命の売上が過去最高に伸びるきっかけになったのが、レスポンシブ対応へ注力する戦略です。スマホサイトでのUI・UXを見直し、20代~40代の子育て世代をターゲットに「保険の見直し」というコンセプトで簡単に申し込みができるサイトを構築し、加入者増に成功しました。
2022年時点でのユーザ全体に占める20代~40代の割合は約74%。独自の顧客基盤を形成し、売り上げを拡大していきました。
オンラインに特化したシンプルなサイト作りを徹底することで、販促に必要な経費を抑えながら安価な保険を提供しています。
SBI証券
ビジネス需要が高い証券業界ではPC利用がメインでしたが、個人投資家の増加により特にネット証券ではスマホサイトの利便性が重要視されるようになっています。
商品数が多い場合でもユーザが求めるページにたどりつきやすい構造にすることで、顧客目線のサイト制作に成功しています。
2024年から2025年にかけて主要サイト・アプリのリニューアルを予定しているため、今後はよりユーザ目線での開発が進んでいくでしょう。
4.まとめ
金融業界は他業界と比べると専門性が高く、ターゲットユーザ層へのアプローチ方法もやや異なります。
Webサイトの制作会社を選ぶ際は過去の実績から自社と似たような事例があるかチェックし、必要なマーケティング支援を受けられるか見極めるのが重要です。