ICT通信サービス業界事例

ICT通信サービス業界に対する考察と実例をご紹介します

ICT通信サービス業界の市場動向

ここではネットワークや端末を提供する電気通信事業や、ネットワークを介して提供されるITサービス全般を総称して「ICT通信サービス業界」として市場動向や今後の展望を分析します。

ICT通信サービス業界の市場規模

ICT通信サービス業界の市場規模はコロナ禍にあった時期を含めて順調に拡大し続けており、2022年度の国内IT市場規模は14兆1,600億円とされています。

テレワーク実施に向けた環境整備の推進に加えてデジタル化や事業変革の必要性を認識した企業によるICT投資の加速が追い風となった形で、今後もしばらくは上昇傾向が続くとみられます。

DX化に貢献するICT通信業界

ICTなどのデジタル技術を活用して業務効率化やビジネスモデルの変革を行うDX(デジタルフォーメーション)の発展は、現在のICT通信業界における最も大きな成長点となっていると言っても過言ではありません。DXを実現するうえでは情報伝達の基盤となるICTの発展が不可欠であり、DX化の推進に技術・サービス面でどれだけ貢献できるかが今後のICT通信業界の命運を左右するでしょう。

「DX元年」と呼ばれた2019年から数年たった現在においてもDX化は企業の重要課題として挙げられることが多く、遅々としながらも各業界で確実に進展しつつある産業となっています。り、

富士キメラ総研の調査では、2020年度のDX国内市場1兆3,821億円から、2030年度には3倍以上の5兆1,957億円に達すると予測されています。

DX産業

引用:富士キメラ総研(2024)

DXにおける国内の全体的な傾向としては、維持・運営費が負担となりレガシーシステム(複雑化・老朽化・ブラックボックス化した基幹系システム)からの脱却が順調に進んでいないことが障壁となっています。

新しいシステムへの移行を行い、大量のデータの利活用が困難になっている現状から抜け出すことが次の世代に向けた喫緊の課題だと言えるでしょう。

また、DX施策は大きく分けて「守りのDX」と「攻めのDX」に分けられます。業務効率化や業務プロセスの改革など自社でコントロールできる「守りのDX」を進めたうえで、今後は顧客視点を取り入れたサービス価値向上やビジネスモデルの改革など「攻めのDX」に取り組んでいく必要があります。

引用:NTTデータ経営研究所

以降、DXについて独自の動きが見られる業界をいくつかピックアップします。

金融業におけるDX

2020年時点でDXに取り組んでいる企業は全体の22.8%ですが、金融・保険業では44.5%と2倍近く差をつけてDX化が進んでいます。

金融・保険業界は企業の規模が大きく、元々データを扱う産業であることからDX を進めやすく、DX化の推進が近年激化している競争の優位性を決める重要なファクターになっていることが要因であると推測されます。

キャッシュレス決済、SMS決済など、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動き=FinTech(フィンテック)の発展もDX化を押し上げる大きな要因でしょう。

金融業界において、テクノロジーによる業務プロセスの効率化は現時点でかなり浸透しており、現在はサービス価値の向上を目的とした「攻めのDX」にシフトしつつあります。

例えば地銀大手の横浜銀行はビッグデータやAIを活用したシステム構築が可能なGoogle Cloudを導入し、銀行が有するファーストパーティーデータを用いた次世代マーケティングプラットフォームの構築を進めています。プラットフォームを通じたユーザデータの利活用により、さらに顧客のニーズに合わせた高度なマーケティング施策を行っていくことが期待されています。

横浜銀行の事例に代表されるように、DXによる提供サービスの高度化は今後も各社で進んでいくでしょう。

製造業におけるDX

製造業におけるDXの取り組みは全国的な傾向とほぼ同じ速度で進んでおり、決して先進的とは言えない状況です。

しかしものづくりの工程や活動においてデジタル技術を活用している企業は近年確実に増加しており、労働政策研究・研修機構によると2021年には全体の60%以上が製造過程におけるデジタル技術を活用しているとの結果が出ています。

AIやIoTなどデジタル技術の活用によって工場における業務を可視化・最適化する「スマートファクトリー」を導入するなど、DX推進によって生産性の向上が進んでいます。

しかしその一方でBtoBビジネスモデルと中小企業が多いという性質上、製造業では「攻めのDX」につながっていない企業はまだ多く、今後の発展が期待されます。

医療におけるDX

人手不足の深刻化や地域間格差が大きな問題となっている医療業界では特にDXを用いた支援サービスの需要が高まっており、DX市場は著しく拡大しています。電子カルテ等の技術を導入することで、医療サービスの効率化・高品質化が進んでいくと考えられます。

また近年は5Gの普及により、低遅延の遠隔治療など技術開発への応用も積極的に進んでいます。NTTデータ経営研究所などが2020年に行った過疎地域における遠隔治療・リハビリの実証実験では対面とほぼ同等のリハビリ指導が可能であると評価されており、広く実用化するための準備が進められている状態です。

医療業界は規制産業かつ専門ごとに細分化された環境下であることから、今後は大規模なシステム構築に強い大手企業と専門性の高いニーズに対応した中小ベンチャーによる競争が起こると予測されています。

物流におけるDX

物流業界においても人手不足が深刻な問題となっており、2024年度からドライバーの時間外労働が年960時間に規制されたことで一層深刻化しています。労働環境や生産性の課題を克服するため、2021年に策定された「総合物流施策大綱」では、物流の構造変革および生産性向上の柱となる施策としてDX推進が掲げられています。

しかし物流業界はレガシーシステムからの脱却が大きなハードルとなっており、DXの実施率は2021年時点で16.9%とかなり遅れを取っている状態です。モーダルシフト(輸送手段転換)や輸送のシェアリングによる配送プロセスの最適化など、システム面での課題をテクノロジーによって克服することが期待されています。

通信サービスの変容

電気通信サービスを提供する各キャリアはこれまで通信サービスの提供をコアビジネス領域にして事業を拡大してきましたが、近年は従来のビジネス手法からの変容が求められています。
公正な競争環境の整備を目的に政府が2019年に電気通信事業法を改正したことにより、通信料金と端末代金の完全分離や行き過ぎた囲い込みが禁止されました。このような規制緩和の圧力が年々強まっていること、少子化による国内市場の頭打ちなどの要因により通信業界は既存ビジネスモデルからの脱却を模索している状況です。

特に法人サービスにおいては「通信事業者」と「ベンダー」という垂直なアライアンスからパートナーシップを結ぶ水平分業体制、すなわち「BtoBtoX型」のサービスを提供するビジネスモデルへの転換を図るケースが増えています。

法人向けのネットワークや通信デバイス、クラウドサービスなど幅広い商材を活用し、トータルソリューションを提供できるというアドバンテージを武器にDX業界への進出を進めていると言えるでしょう。各業界におけるDXの推進や5Gなど新たな技術に対応したサービスの提供が求められています。

例えば通信業界大手のNTT西日本では、光回線の卸売を行い、各通信事業者のサービスと組み合わせる「光コラボレーションモデル」を提供しています。パートナー企業を介して通信事業を展開するビジネスモデルは今後も拡大していくでしょう。

ICT業界におけるBtoBサービスの動向と販売戦略の変化

ICT通信業界は通信端末の販売や通信インフラの提供を除いたサービスの大部分が企業向け(BtoB)事業であり、BtoBサービスの動向が販売戦略の変化に直結します。

以降はICT通信業界を中心とするBtoBサービスにおける動向と販売戦略の変化について分析・解説します。

Webマーケティングの重要性

以前は電話営業・飛び込み営業や展示会でのリード獲得がBtoBでの主なアプローチ方法でしたが、働き方改革やコロナ禍でのテレワーク普及により、これまでBtoCをメインに展開されてきたWebマーケティングに注力する企業が増加しました。
自社サイトやWeb広告などネット上で得られる定量的なデータをもとに顧客のニーズを詳細に分析するWebマーケティングの重要性は今後も高まっていくでしょう。既存の顧客データと結びつけ、オフラインとの連携を強化していくことも求められます。
また、今後はネットでの情報収集に慣れた世代が企業における購買の意思決定に携わるようになることで、Webを通じた発注先の調査がより拡大していくと推測されます。現在はDXとの相性が悪いニッチ産業であっても、遅かれ早かれデジタルに適応した戦略が必要になってくるでしょう。

モノ売りからコト売りへ

デジタルマーケティングへの移行に伴い、「モノ(製品)売り」の視点から「コト(課題解決・価値)売り」へとマーケティングの重心が変化しつつあります。
通信ICTサービス業界は従来回線やサーバーといった「モノ」が商材の中心であり、情報システム部門などが「モノ」を顧客に提供するのがサービスの主な目的でした。しかし現在の商材は「モノ」から「コト」へ移り変わり、企業の課題を解決するソリューションがサービス価値の中心となりつつあります。
またサービスを受ける顧客側の担当部門も企業によってまちまちであり、情報システム部門など実務担当が窓口である場合は適切なアプローチ先にたどり着くのが難しいケースも少なくありません。
実務に際する課題解決を求めている顧客に対しては、従来の営業手法ではなくコンテンツマーケティングなどを通じた情報発信によってリーチ数を増やす戦略が有効であるケースが多いでしょう。顧客となる企業の事業内容を十分に理解したうえでニーズ分析を行い、課題解決志向の訴求を行っていく必要性は高まっていると言えます。

BtoB業界におけるEC化推進

ECサイトの種類と特徴

ECの種類 特徴 メリット 主なビジネスモデル
オープンサイト 誰でも閲覧・購入可能 顧客の裾野が広がる

ECを通じたWeb戦略が有効

BtoC(個人向け)
クローズド型サイト 会員以外は商品情報の閲覧ができない 相対取引に向いている(顧客ごとに情報・価格の切り替えが可能) BtoB(企業向け)

 

BtoB業界においては、DX化の一環でインターネットを介して企業間取引を行うBtoB ECの導入が徐々に進んでいます。

BtoC ECと比較した際の相違点としては、会員以外アクセスできない「クローズド型EC」を利用している企業が多いことが挙げられます。

BtoBでは特定顧客への販売や得意先への優遇を行ういわゆる「相対取引」を行うことが多いのが事業としての特徴です。それゆえ、商品の公開/非公開や値引き状況などを取引先によって切り替えられるクローズド型のECサイトが適している企業も多いでしょう。。

その一方で、オープンサイトとして誰でもアクセスできるECサイトを商品カタログとして提供する戦略をとる企業も存在します。オープンサイトを採用した場合、ECを通じたSEO対策や広告戦略が有効になり、ECサイトが直接新規顧客へのアプローチ方法になります。

ECマーケティング社の過去事例(美容師・エステサロン向けBtoB EC)

オープンサイトのECに関しては、BtoCと同じくユーザ回遊導線の整備が特に重要となります。

クローズド/オープンどちらのシステムにおいても、社内システムと連携可能な設定機能や見積書の作成、かけ払いへの対応など、提供サービスや顧客の事業形態に合わせたサービスが必要とされます。

また、決済手段の多様化はBtoB業界においても見られます。ターゲットとなる企業に合わせた決済方法への対応の重要性は今後より高まってくるでしょう。

プラットフォームに依存しない販売戦略が重要

現在はGAFA(Google、Apple、Meta(旧Facebook)、Amazon)が構築・運用しているプラットフォームを利用してマーケティングを行うのが一般的です。例えばGoogleの検索画面に表示されるリスティング広告への出稿、Amazonマーケットプレイスへの出店など、業務においてGAFAの提供するプラットフォームなしでWebマーケティングを行っている企業はほとんどいないでしょう。
市場やプラットフォームの独占を問題視して各国がGAFAの事業規制に乗り出していますが、実情としてGAFAの規制はほとんど進んでいない状態です。既存のプラットフォームを利用しながらも、プラットフォームに依存しないマーケティングの戦い方を模索して価値ある商品を提供できるかが今後の生き残りには重要です。

 

ICT通信サービス業界での成功ポイントと弊社の事例

①ユーザ視点 ユーザ視点でWebサイトの導線を整理する

某フィンテック大手企業G社のケース

業界に限らず、売り上げにつながる企業サイトを作るにはユーザの視点に立った導線設計が必要不可欠です。特に金融業界は性質上サービス内容が多岐にわたる企業が多いため、サイト内のグローバルナビゲーションなどを綿密に設計することで顧客が求める情報にたどりつきやすいサイトになります。
また、フィンテック企業は基本的に実店舗を持たないため、Webサイトやアプリで対面での接客を再現できるようデザインの整理や機能の補充を行う必要があります。
G社のケースにおいては、サイトのUI改善コンサルティングを提供。問い合わせなどコンバージョンまでの導線を整理して、ユーザ目線に立ったサイトへ改善しました。

②KPI設計 新規顧客を増やすための的確なKPIを設計し、施策で検証する

BtoBメインのメーカーH社のケース

新規顧客を底上げする改善施策には適切なKPIの設計が不可欠です。改善の効果が顕著に表れる数値をKPIに設定することにより、施策を通して的確な効果検証ができるようになります。

特にBtoBのKPI設定においてはコンバージョン=問い合わせにつながる設計を綿密に行うことが重要です。
H社のケースでは、DXサービスの一環でアクセスログ解析を実施。CVR傾向や離脱ページの分析を行ったうえで戦略的にKPIを設計し、のちのWeb集客改善施策につなげました。

③コンテンツ戦略 企業分析から顧客のニーズに沿ったコンテンツを提供

製造業向けDXサービスを提供するF社のケース

企業分析を通じて業界への理解度を高め、適切なターゲティングを行うことで高品質なコンテンツを提供できます。

特にニッチ産業向けのBtoBサービスは専門性が高く、顧客となる企業担当者のニーズに対応するマーケティングを展開するのが難しい傾向にあります。ニッチ業界でリードを獲得するには、ニーズに合致した情報を提供するための業界知識+Webマーケティングの知見両方が必要です。

F社のケースでは事前の資料読み込みやヒアリングを通じた綿密な情報収集を行い、オウンドメディアにおける専門性の高いコンテンツ発信のコンサルティングを行いました。

 

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