東南アジアのEC市場の状況アップデート(業務用ECにチャンス)

  こんにちは。お盆は皆様いかが過ごされましたでしょうか。 さて最近、よく東南アジアに進出されるEC事業者様のお問い合わせをいただくようになりました。   そのうち、いわゆる小売物販のECの場合は、独自ドメインでのECというのがまだ普及していないので、 https://www.lazada.com/ http://www.11street.my/ https://www.lelong.com.my/ をはじめとするショッピングモールに出店することが常套手段ですが、まだまだ市場規模としては、シンガポール、マレーシア、インドネシア、タイなど全部足しても、1000億円あるか、ないかくらいで全部足しても日本のEC市場と比較すると10分の1くらいです。商売にはまだまだ、なりにくいです。 ましてや、まだまだ独自ドメインECサイトでは、ほとんど売上が期待できないのが現時点の状態です。   一方で、東南アジアで1年の半分を生活し、かつ現地の皆さんと生活や各種活動をともにしながら、 ・銀行のオンライン化 ・飛行機の予約 ・ウーバーなどのアプリ においては、日本以上に進んでいるところも十分にあるなあと感じるようになっています。 このようなことから、小売よりも、普段自分が使うサービスのオンライン化という文脈で、業務用のECにおいては、とてもチャンスが大きいのではないかと考えています。   その際、ポイントになるのは、もちろん業種にもよりますが、 ・新規顧客獲得のチャネル=オフラインとあわせたクロスメディア戦略を検討すると効果的 ・日々の利用インターフェイスとしてのECサイト=ここは普通、日本と同じように検討可能 ・物流=現地の物流に任せずに、ある程度自社でも物流の体制を構築できるとよい などかと考えます。   業務用商材をECサイトで販売している事業者様で、東南アジア進出に興味がおありでしたら ぜひ、夜明け前の東南アジアのEC市場を一緒に開拓しましょう。 お問い合わせはこちらまでどうぞ >お問い合わせフォーム    

2016年東南アジアECメガプレイヤーの動きまとめ

  皆様こんばんは。早いもので2016年ももう終わりですね。2016年の大きな流れを簡単に振り返ってみようと思います。このブログで何度か言及しているように、今後大きく成長することが想定される一方、まだ夜明け前とも言える東南アジアのEC市場ですが、2016年は、日本勢の主要EC企業の相次ぐ撤退ニュースからスタートしました。   楽天市場が東南アジア市場から撤退 2016年2月( 参考:zd-net) 2016年の年明け早々、楽天市場が東南アジア市場から撤退し、C2Cフリマアプリのラクマに特化して展開すると発表しました。   住友商事グループの爽快ドラッグが撤退 2016年5月(現在は gugubird.com) 楽天市場につづいて、これまで東南アジアの日系ECの代表格だった住友商事グループの爽快ドラッグが、2016年5月に現地企業に株式を売却、現在は gugubird.com というサイトになっています。   アリババがLAZADAの株式を10億ドルで取得、経営権を獲得 (参考:Bloomberg 2016/04/12 ) 一方でアリババが東南アジア最大のオンラインショッピングモールであるLAZADAの株式をロケットインターネット社から10億ドルで取得しました。   ジャック・マーがインドネシアのe-commerceアドバイザーに就任 (参考:THE WALL STREET JOURNAL 2016/09/09 ) G20サミットの会合で中国の杭州に立ち寄ったインドネシアのジョコヴィ大統領とアリババのジャック・マーが会談し、ジャック・マーがインドネシアのe-commerceアドバイザーに就任することが決まりました。   ジャック・マーがマレーシアのデジタル経済推進担当の政府顧問に就任することに合意 (参考:The Star Online 2016/11/04 ) アリババのジャック・マーがマレーシアのナジブ首相と会談し、マレーシアのデジタル経済推進担当の政府顧問に就任することに合意しました。   2016年は日本勢の撤退ニュースに始まり、一方で年末に矢継ぎ早に中国勢(といってもジャック・マー)の進出に終わった1年でした。 筆者の個人的感想としては、2016年はまだ日常の生活におけるECの存在感はまだまだ少ないという実感ですが、超大手が徐々に布石を打ち始めている 2017年はもう少しECが日常に入り込みはじめ、2018年には徐々に本格化し、気がついたら参入困難な状況になる可能性もあるなと、という予感がしています。 それでは皆様、良い年をお迎えください。    

東南アジアEC化率2014年版(Bain & Company社 から引用)

  ちょっと前ですが、昨年11月23日にベイン&カンパニーさんが、東南アジアのEC化率(2014年版)について、とてもわかりやすいインフォグラフィックをリリースしていたのを発見しましたので紹介します。 東南アジア2014EC化率 引用元 Bain.com > Asia’s emerging digital consumers ============================== シンガポール EC市場規模 1000億円 (EC化率4.2%) タイ王国 EC市場規模 1200億円 (EC化率2.7%) インドネシア EC市場規模 1300億円 (EC化率2.2%) ベトナム EC市場規模 600億円 (EC化率2.1%) マレーシア EC市場規模 600億円 (EC化率1.3%) フィリピン EC市場規模 400億円 (EC化率1.1%)     ==============================   個人的には、インドネシアとタイ、ベトナムのEC化率が2%代と非常に高いのが新鮮でした。   EC市場規模及びEC化率(この資料では penetration of online retail)は、各社によって定義が異なりますが、 EC化率 2%~3%というと、日本では、2008年~2010年頃に相当すると思います。   一方のマレーシアは一人あたり所得はタイやインドネシア、ベトナムよりも高く都市化が進んでいる割には、EC化率が1.3%と非常に低いなというのも新鮮でした。   たしかに、実際にマレーシアに定期的に行っていますが、人々の(私が接しているマレーシアの人、及びマレーシアに滞在している日本人)の日常生活にはまだECが入り込んでいない様子(話題にあまり登場しない)ので、実際にこの程度(1%代)なのも頷けます。   マレーシアでEC化率が他の東南アジア各国と比較して低い理由としては、この数字を見ただけでの仮説ベースで、ぱっと思いつく一般的なものだけを、いくつ上げてみると、 仮説1)人口が少なく将来ポテンシャルも含めた市場の魅力が小さいので先進国からのEC関連の投資が少ないことで魅力的なECサイトが少ない 仮説2)渋滞が比較的少なくかつ、ショッピングモールが充実しているので、比較的自分で買いに行きやすい(ECで購入する必要性が低い) 仮説3)単純にデータの取り方や取るタイミングの違いによる誤差(確かな情報元となるデータが少なく、かつ成長率が高いため十分に考えられる)。この場合、翌年のデータではまた傾向が変わっている可能性がある。 ・・・など、いくつか考えられます。 いずれにしてもこのギャップがビジネスチャンスと言えるでしょう。(※ここから先は企業秘密で失礼します)    

マレーシアのWEB広告に関する調査について

  マレーシアの広告市場規模についてのデータ(2012年)がこちらにあります。 TV広告 2,464百万リンギット(約800億円)に対し、 インターネット広告は、まだ203百万リンギット(約70億円)です。 infocube     一方で、「アジアリサーチ総研」という会社が、WEBアンケートで集めた104人という母集団から得られた結果を元に以下のような調査結果を10月8日にリリースされました。   【調査結果概要】 マレーシア在住者に、各メディア広告(テレビ・ラジオ・雑誌・新聞・WEBサイト・モバイルアプリ・屋外広告)の効果について、市場調査を実施。 「広告を見て、実際に何度も購入したことがある」と回答した人の割合が高いメディアは、1位がWEBサイト( 76.47%)、2位がテレビ( 68.27%)となりました。 マレーシア(東南アジア)においても、WEBの影響力は大きくなっており、そこでの広告は、伝統的なテレビ広告をもしのぐほどになっているという調査結果になっております。 情報ソース   これは、特定の媒体(ここではオンライン)だけからサンプルを収集しているので、同条件で、シンガポールや、インドネシアと比較するのでしたら、アリですが、媒体同士の特性や利用状況を比較しての内容については、意味がないと思います。     一方で、それを早速、以下のメディアが引用して紹介しているのですが、完全にタイトルが一人歩きしています。   【マイナビ・ニュース】マレーシアでは、Webがテレビを上回る結果に – 広告効果調査 mynavi   【マレーシアナビ】マレーシア人の76%、WEB広告を見て商品を何度も購入 malaysianavi このタイトルは、もはや事実とは乖離している状態です。     再度、マレーシアの広告市場規模(2012年)のデータがこちらにあります。こちらは客観的な情報と言っていいでしょう。 TV広告 2,464百万リンギット(約800億円) インターネット広告 203百万リンギット(約70億円)      

東南アジアと日本のEC市場を比較

  一つ前の記事で、今後10年以内にasean諸国のGDPが日本を追い抜きそうだということを書きました。 その中で、ECの市場規模がどうなっているかについて、同様に確認します。   EC市場規模見込_日本楽観   単位は10億USドルです。このシミュレーションでは、日本のEC化率が4%→6%→12%と伸びて、ASEAN諸国のEC化率がその5年遅れで伸びるという想定です。(参考:現時点で米国のEC化率は6%、英国のEC化率は10%)   2013年のデータはこちら(ECCLab)より頂戴しました。2018年と2023年のデータはGDP全体の数値(「世界経済のネタ帳」 (元データはIMF))と、弊社で独自に算定しているEC化率をかけあわせた推測値です。   どれだけ日本経済全体が停滞しても、EC化率が10%前後、あるいはそれ以上に向けて伸びている限り、ECの市場規模はかなりの成長率で今後の10年間は伸びることが見込まれる、と私達は考えています。 東南アジアの市場は魅力的ですが、ECに限っては、当面日本国内も充分成長ポテンシャルがありそうです。     続いて、日本国内のEC市場の成長をコンサバティブに見たシミュレーションについても確認します。 以下のシミュレーションは、日本国内のEC化率を4%→6%→8%と見ており、10%(英国の水準)に到達する前に 頭打ちし始めるというシミュレーションです。   EC市場規模見込_日本保守   このシミュレーションの場合では、2023年には、GDP全体だけでなく、EC市場規模においても,ASEAN諸国が 日本を上回ります。   ここでのポイントは、日本のEC市場を抜くかどうか(10年~15年ではいずれにしても抜きそうですが)、 という論点よりも、 2013年から2018年にかけて、 たった5年間の間に、 ASEAN諸国のECの市場が、ほぼ全く何もないところから一気に1000億ドル(10兆円)のレベルまで急速に立ち上がる、 というところがポイントです。   ちょうどいま東南アジア各国(特に、シンガポールはもちろん、バンコクやクアラルンプールなどの都市)では、物流や決済の基盤が整い始めています。 現在の東南アジアのEC市場は、EC化率というマクロデータから見ても、各種サービスの浸透度合いなどから見ても、 日本のEC市場の2000年か2003年頃に近い印象を持っています。 この頃、楽天のようなECが、これほどまでに一般社会に普及することは、業界の真ん中にいた私自身でも、 想像できませんでした。 当時と同じようなチャンスが、東南アジアのEC市場にまさにいま現在進行形で起こっています。   これらの状況について、いろいろな角度から、このブログで紹介していきたいと思います。   ============================================= 情報引用元 「世界経済のネタ帳」 情報引用元 「ECCLab」    

東南アジアのGDPの現状と今後を日本と比較

  最初に、東南アジアのGDPの見通しと、その中でのECの市場規模について確認しておこうと思います。 まずはこちらのグラフをご覧ください。 GDP推移_楽観 単位は10億USDです。2005年と2015年のデータは「世界経済のネタ帳」 (元データはIMF)から頂戴しました。 2025年は、2005年から2015年までの成長率(日本8%↓、ASEAN諸国166%↑)のペースが仮にそのまま続いたら、という仮定で、少し乱暴ですが、ざっくりと出したものです。   現在までの成長ペースがそんなに続かないだろうと、いう見方もありだと考えられますので、仮にこの成長率が半分(166%↑→83%↑)にペースダウンしたらどうなるか、というのが以下のグラフです。 GDP推移_保守 これを見ると、かなり保守的に見ても、今後10年以内にASEAN諸国のGDPが日本を追い抜きそうだということが、読み取ります。むしろ、もし仮に現在のペースのままで進んだら、圧倒的にぶち抜きそうな勢いです。   数字で見ると以下のようになっています。 ■日本 2005年 4.5兆ドル(503兆円) ↓ 2015年 4.2兆ドル(500兆円)(微減) ↓ 2025年 3.8兆ドル(497兆円)(このまま微減)   ■ASEAN諸国 2005年 0.9兆ドル ↓ 2015年 2.5兆ドル(10年で+166%) ↓ 2025年 4.6兆ドル ~6.7兆ドル(+83%~166%)     今年の12月に、2015年末 ASEAN域内の貿易が自由化され、6億円のマーケットがひとつの経済圏、ASEAN経済共同体(AEC)として発足します。   全体的な市場トレンドからも、また、今年末に控えたこのAECの発足というタイミングからも、東南アジアへの進出を検討している事業者様にとっては、ちょうど今年あたりが参入のチャンスになるのではないかと、考えます。   次の記事では、この中で、ECの市場規模がどのようになっているかを確認します。     ============================================= 参考:ASEAN諸国とは、インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ, ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオス(全10か国)を指しています 情報引用元 「世界経済のネタ帳」
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