2016年東南アジアECメガプレイヤーの動きまとめ

  皆様こんばんは。早いもので2016年ももう終わりですね。2016年の大きな流れを簡単に振り返ってみようと思います。このブログで何度か言及しているように、今後大きく成長することが想定される一方、まだ夜明け前とも言える東南アジアのEC市場ですが、2016年は、日本勢の主要EC企業の相次ぐ撤退ニュースからスタートしました。   楽天市場が東南アジア市場から撤退 2016年2月( 参考:zd-net) 2016年の年明け早々、楽天市場が東南アジア市場から撤退し、C2Cフリマアプリのラクマに特化して展開すると発表しました。   住友商事グループの爽快ドラッグが撤退 2016年5月(現在は gugubird.com) 楽天市場につづいて、これまで東南アジアの日系ECの代表格だった住友商事グループの爽快ドラッグが、2016年5月に現地企業に株式を売却、現在は gugubird.com というサイトになっています。   アリババがLAZADAの株式を10億ドルで取得、経営権を獲得 (参考:Bloomberg 2016/04/12 ) 一方でアリババが東南アジア最大のオンラインショッピングモールであるLAZADAの株式をロケットインターネット社から10億ドルで取得しました。   ジャック・マーがインドネシアのe-commerceアドバイザーに就任 (参考:THE WALL STREET JOURNAL 2016/09/09 ) G20サミットの会合で中国の杭州に立ち寄ったインドネシアのジョコヴィ大統領とアリババのジャック・マーが会談し、ジャック・マーがインドネシアのe-commerceアドバイザーに就任することが決まりました。   ジャック・マーがマレーシアのデジタル経済推進担当の政府顧問に就任することに合意 (参考:The Star Online 2016/11/04 ) アリババのジャック・マーがマレーシアのナジブ首相と会談し、マレーシアのデジタル経済推進担当の政府顧問に就任することに合意しました。   2016年は日本勢の撤退ニュースに始まり、一方で年末に矢継ぎ早に中国勢(といってもジャック・マー)の進出に終わった1年でした。 筆者の個人的感想としては、2016年はまだ日常の生活におけるECの存在感はまだまだ少ないという実感ですが、超大手が徐々に布石を打ち始めている 2017年はもう少しECが日常に入り込みはじめ、2018年には徐々に本格化し、気がついたら参入困難な状況になる可能性もあるなと、という予感がしています。 それでは皆様、良い年をお迎えください。    

マレーシアのスタットアップ交流会BEAMに参加しました

  5月19日にクアラルンプールで開催された、マレーシアのスタットアップ交流会BEAMに参加しました。 BEAMとは、Bridging Entrepreneurs and Moversの頭文字をとったもので、主にWebサービス、Web関連スタートアップ起業家たちがあつまる交流会で、クアラルンプールを中心に、シンガポールにも広がっているようです。 beam2 挨拶をする主催者のKENNETHさん 主催者のKENNETHさんは、自身がgaptionというコンテンツから課金を生み出すSNSサービス( https://www.gaption.com/ )を立ち上げた起業家で、マレーシア政府からの支援を獲得した注目のスタートアップ起業家でもあります。 gaption Tech in Asia の記事     beam1 ※この写真の一番右に写っているのは筆者(伊藤)です。   この会には、100人以上ほどの起業家が集まり、とてもエネルギーにあふれた交流会でした。ほとんどの参加者が20代だったと推測します。 一方で、投資家・ベンチャーキャピタリストは一人も見かけませんでした。この日以外にも、インドネシアやシンガポールに投資をしている人には知り合いますが、マレーシアに投資をしているという人にはめったに出会いません。 マレーシアは投資先としてはインドネシアやシンガポールに埋もれがちですが、であるがゆえにチャンスかもしれないなとおもった1日でした。      

東南アジアEC化率2014年版(Bain & Company社 から引用)

  ちょっと前ですが、昨年11月23日にベイン&カンパニーさんが、東南アジアのEC化率(2014年版)について、とてもわかりやすいインフォグラフィックをリリースしていたのを発見しましたので紹介します。 東南アジア2014EC化率 引用元 Bain.com > Asia’s emerging digital consumers ============================== シンガポール EC市場規模 1000億円 (EC化率4.2%) タイ王国 EC市場規模 1200億円 (EC化率2.7%) インドネシア EC市場規模 1300億円 (EC化率2.2%) ベトナム EC市場規模 600億円 (EC化率2.1%) マレーシア EC市場規模 600億円 (EC化率1.3%) フィリピン EC市場規模 400億円 (EC化率1.1%)     ==============================   個人的には、インドネシアとタイ、ベトナムのEC化率が2%代と非常に高いのが新鮮でした。   EC市場規模及びEC化率(この資料では penetration of online retail)は、各社によって定義が異なりますが、 EC化率 2%~3%というと、日本では、2008年~2010年頃に相当すると思います。   一方のマレーシアは一人あたり所得はタイやインドネシア、ベトナムよりも高く都市化が進んでいる割には、EC化率が1.3%と非常に低いなというのも新鮮でした。   たしかに、実際にマレーシアに定期的に行っていますが、人々の(私が接しているマレーシアの人、及びマレーシアに滞在している日本人)の日常生活にはまだECが入り込んでいない様子(話題にあまり登場しない)ので、実際にこの程度(1%代)なのも頷けます。   マレーシアでEC化率が他の東南アジア各国と比較して低い理由としては、この数字を見ただけでの仮説ベースで、ぱっと思いつく一般的なものだけを、いくつ上げてみると、 仮説1)人口が少なく将来ポテンシャルも含めた市場の魅力が小さいので先進国からのEC関連の投資が少ないことで魅力的なECサイトが少ない 仮説2)渋滞が比較的少なくかつ、ショッピングモールが充実しているので、比較的自分で買いに行きやすい(ECで購入する必要性が低い) 仮説3)単純にデータの取り方や取るタイミングの違いによる誤差(確かな情報元となるデータが少なく、かつ成長率が高いため十分に考えられる)。この場合、翌年のデータではまた傾向が変わっている可能性がある。 ・・・など、いくつか考えられます。 いずれにしてもこのギャップがビジネスチャンスと言えるでしょう。(※ここから先は企業秘密で失礼します)    

インドネシアでEC事業者が外資100%で参入OKに

  昨日(2016年1月16日)、インドネシアでEC事業者であれば外資100%で参入が可能になるという記事がジャカルタグローブというメディアで紹介され、私を含め東南アジアのEC業界関係者で話題になりました。 Indonesia to Allow 100  Foreigners Ownership in E Commerce   Jakarta Globe http://jakartaglobe.beritasatu.com/business/indonesia-allow-100-foreigners-ownership-e-commerce/   ちなみにマレーシアとシンガポールではEC事業者にかぎらず、ほとんどの業種で外資100%参入ですが、これだけ話題になるということは、人口2億人を擁するインドネシアの市場が注目されているということかと考えます。 一方で、シンガポールとマレーシアでは逆に外資参入のハードルを徐々に上げていく方向性(外国人向けの就労ビザ発行要件の条件が厳しくなる方向性)だったので、今回のインドネシアの動きから、再び東南アジア全体で外資に対してOPENになる方向性になる一つのきっかけになってくれればいいなと期待しています。  
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