東南アジアEコマース市場の夜明け

東南アジアのファッションECサイトの代表格 ZALORAをZOZOと比較してみる

  東南アジアのECサイトの代表格の一つに、ファッションECの「ZALORA」というサイトがあります。   zalora   その急成長ぶりは、日本の代表的ファッションECの「ZOZO」とGoogle Trendsで比較してみると、よくわかります。   Google Trends zozoとzalora あくまでもGoogle Trendsの数値ですが、 2012年に登場し 2014年にZOZOを追い抜いて 2015年時点では既にZOZOの2倍以上になり、さらに伸びています。   IR資料で実際の数値を確認すると、 訪問者数 ではZALORAは、1700万訪問/月(2014年)に対して、 ZOZOは古いデータしか公開されていなく、400万訪問/月(2011年)となっていますが、2014年の売上は2011年と比較して約1.5倍(385億円←238億円)になっていることから、仮に同じ比率で訪問者数が増えているとすると、600万訪問/月 多めに見ても800万訪問/月 だとすると、すでに訪問者数ベースでは、ZALORAがZOZOを抜いていることは充分考えられそうです。 上記で見たGoogle Trendsのグラフとも概ね一致しているようです。   一方で、出荷数を確認すると、 ZALORAが、50万件/月(2014年3月及び4月)と発表している一方で、 ZOZOは、90万件/月(2014年1~3月の平均)であることから、まだ実際の出荷数では、ZOZOには追い付いていないようです。   「訪問者数は多いがまだ実際の受注数が少ない」というあたり、日本と東南アジアのEC市場自体の成熟度合いの違い、がそのまま数字に反映されているのかもしれません。   とはいえ、成長ペースからすると、出荷数でも、ZALORAがZOZOを抜くのも時間の問題ではないかと考えます。   ================================ 情報引用元1:   情報引用元2: スタートトゥデイ決算説明会資料 http://www.starttoday.jp/?page_id=1563  

東南アジアと日本のEC市場を比較

  一つ前の記事で、今後10年以内にasean諸国のGDPが日本を追い抜きそうだということを書きました。 その中で、ECの市場規模がどうなっているかについて、同様に確認します。   EC市場規模見込_日本楽観   単位は10億USドルです。このシミュレーションでは、日本のEC化率が4%→6%→12%と伸びて、ASEAN諸国のEC化率がその5年遅れで伸びるという想定です。(参考:現時点で米国のEC化率は6%、英国のEC化率は10%)   2013年のデータはこちら(ECCLab)より頂戴しました。2018年と2023年のデータはGDP全体の数値(「世界経済のネタ帳」 (元データはIMF))と、弊社で独自に算定しているEC化率をかけあわせた推測値です。   どれだけ日本経済全体が停滞しても、EC化率が10%前後、あるいはそれ以上に向けて伸びている限り、ECの市場規模はかなりの成長率で今後の10年間は伸びることが見込まれる、と私達は考えています。 東南アジアの市場は魅力的ですが、ECに限っては、当面日本国内も充分成長ポテンシャルがありそうです。     続いて、日本国内のEC市場の成長をコンサバティブに見たシミュレーションについても確認します。 以下のシミュレーションは、日本国内のEC化率を4%→6%→8%と見ており、10%(英国の水準)に到達する前に 頭打ちし始めるというシミュレーションです。   EC市場規模見込_日本保守   このシミュレーションの場合では、2023年には、GDP全体だけでなく、EC市場規模においても,ASEAN諸国が 日本を上回ります。   ここでのポイントは、日本のEC市場を抜くかどうか(10年~15年ではいずれにしても抜きそうですが)、 という論点よりも、 2013年から2018年にかけて、 たった5年間の間に、 ASEAN諸国のECの市場が、ほぼ全く何もないところから一気に1000億ドル(10兆円)のレベルまで急速に立ち上がる、 というところがポイントです。   ちょうどいま東南アジア各国(特に、シンガポールはもちろん、バンコクやクアラルンプールなどの都市)では、物流や決済の基盤が整い始めています。 現在の東南アジアのEC市場は、EC化率というマクロデータから見ても、各種サービスの浸透度合いなどから見ても、 日本のEC市場の2000年か2003年頃に近い印象を持っています。 この頃、楽天のようなECが、これほどまでに一般社会に普及することは、業界の真ん中にいた私自身でも、 想像できませんでした。 当時と同じようなチャンスが、東南アジアのEC市場にまさにいま現在進行形で起こっています。   これらの状況について、いろいろな角度から、このブログで紹介していきたいと思います。   ============================================= 情報引用元 「世界経済のネタ帳」 情報引用元 「ECCLab」    

東南アジアのGDPの現状と今後を日本と比較

  最初に、東南アジアのGDPの見通しと、その中でのECの市場規模について確認しておこうと思います。 まずはこちらのグラフをご覧ください。 GDP推移_楽観 単位は10億USDです。2005年と2015年のデータは「世界経済のネタ帳」 (元データはIMF)から頂戴しました。 2025年は、2005年から2015年までの成長率(日本8%↓、ASEAN諸国166%↑)のペースが仮にそのまま続いたら、という仮定で、少し乱暴ですが、ざっくりと出したものです。   現在までの成長ペースがそんなに続かないだろうと、いう見方もありだと考えられますので、仮にこの成長率が半分(166%↑→83%↑)にペースダウンしたらどうなるか、というのが以下のグラフです。 GDP推移_保守 これを見ると、かなり保守的に見ても、今後10年以内にASEAN諸国のGDPが日本を追い抜きそうだということが、読み取ります。むしろ、もし仮に現在のペースのままで進んだら、圧倒的にぶち抜きそうな勢いです。   数字で見ると以下のようになっています。 ■日本 2005年 4.5兆ドル(503兆円) ↓ 2015年 4.2兆ドル(500兆円)(微減) ↓ 2025年 3.8兆ドル(497兆円)(このまま微減)   ■ASEAN諸国 2005年 0.9兆ドル ↓ 2015年 2.5兆ドル(10年で+166%) ↓ 2025年 4.6兆ドル ~6.7兆ドル(+83%~166%)     今年の12月に、2015年末 ASEAN域内の貿易が自由化され、6億円のマーケットがひとつの経済圏、ASEAN経済共同体(AEC)として発足します。   全体的な市場トレンドからも、また、今年末に控えたこのAECの発足というタイミングからも、東南アジアへの進出を検討している事業者様にとっては、ちょうど今年あたりが参入のチャンスになるのではないかと、考えます。   次の記事では、この中で、ECの市場規模がどのようになっているかを確認します。     ============================================= 参考:ASEAN諸国とは、インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ, ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオス(全10か国)を指しています 情報引用元 「世界経済のネタ帳」

はじめに(ご挨拶と本ブログの目的)

  ■はじめに このブログは、主にEC事業者の方で、現在国内を中心に事業展開しているけれども、今後は海外に展開したいなと考えている方を対象に、特に東南アジアにおける市場の有望性といったマクロデータから、具体的な現地でのエピソードや、取材記事などを公開していこうと思っています。   ■当ブログのゴール このブログを読んでいただく読者の方にとって、東南アジアへの進出の検討に役立つ情報を提供することです。   ■想定している内容 ・東南アジアのEC市場に関連するマクロデータとそれに関連する考察 ・東南アジアにおける主要なEC事業者、関連企業の動向 ・上記に関連する取材記事 ・その他、東南アジアの現地の雰囲気を垣間見ることができるエピソード ・・・など   当面は試行錯誤しながら、紆余曲折しながら、どちらかというと気軽に書き進めていこうと思います。 以後、どうぞよろしくお願いいたします。  
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