東南アジアEコマース市場の夜明け

マレーシアのWEB広告に関する調査について

  マレーシアの広告市場規模についてのデータ(2012年)がこちらにあります。 TV広告 2,464百万リンギット(約800億円)に対し、 インターネット広告は、まだ203百万リンギット(約70億円)です。 infocube     一方で、「アジアリサーチ総研」という会社が、WEBアンケートで集めた104人という母集団から得られた結果を元に以下のような調査結果を10月8日にリリースされました。   【調査結果概要】 マレーシア在住者に、各メディア広告(テレビ・ラジオ・雑誌・新聞・WEBサイト・モバイルアプリ・屋外広告)の効果について、市場調査を実施。 「広告を見て、実際に何度も購入したことがある」と回答した人の割合が高いメディアは、1位がWEBサイト( 76.47%)、2位がテレビ( 68.27%)となりました。 マレーシア(東南アジア)においても、WEBの影響力は大きくなっており、そこでの広告は、伝統的なテレビ広告をもしのぐほどになっているという調査結果になっております。 情報ソース   これは、特定の媒体(ここではオンライン)だけからサンプルを収集しているので、同条件で、シンガポールや、インドネシアと比較するのでしたら、アリですが、媒体同士の特性や利用状況を比較しての内容については、意味がないと思います。     一方で、それを早速、以下のメディアが引用して紹介しているのですが、完全にタイトルが一人歩きしています。   【マイナビ・ニュース】マレーシアでは、Webがテレビを上回る結果に – 広告効果調査 mynavi   【マレーシアナビ】マレーシア人の76%、WEB広告を見て商品を何度も購入 malaysianavi このタイトルは、もはや事実とは乖離している状態です。     再度、マレーシアの広告市場規模(2012年)のデータがこちらにあります。こちらは客観的な情報と言っていいでしょう。 TV広告 2,464百万リンギット(約800億円) インターネット広告 203百万リンギット(約70億円)      

ZALORAの割引チケットをスーパーのレジで発見

      こんばんは。 先日クアラルンプールのスーパーマーケットで買い物をしたら、レジのカウンターで発見しました。 2015-10-08 17.04.44   そういえば、忘れているのでなければ、日本でECサイトの宣伝をオフラインの店舗で しているのって、あまり記憶にありませんでした。   (当然、自社ECの宣伝を自社直営店で、というのは、ユニクロ、無印を始めとして皆さんやられていますが、ネット専業のECサイトの宣伝を、他社のオフライン店舗で告知するのは、意外と多くないかも。)   Eコマースの普及率が低い地域で、ECサイトの告知をこのようにオフラインでするのは、効果的かもしれないですね。      

東南アジアの大手ECサイトの送料、配送日数から見る市場ステイタス

  東南アジアを代表するECサイトZALORA(ファッション、拠点マレーシア、年商185億円)と、LAZADA(オールジャンル、拠点シンガポール、年商461億円)の送料と配送日数を一覧にしてみました。 (※この記事は全て金額の単位は全て日本円に換算しています。)     ZALORA(ファッション、拠点マレーシア、年商185億円) zalora zalora送料グラフ zalora送料一覧表   LAZADA(オールジャンル、拠点シンガポール、年商461億円) lazadaキャプチャー LAZADA送料グラフ LAZADA送料一覧表   両サイトとも、送料設定においては、特にシンガポールとクアラルンプルでは、ECの普及が非常に進んでいる東京の水準と比較しても遜色なく、むしろ送料の安さでは一層ハードルが低い設定になっています。交通にかかるコストが低いクアラルンプル(マレーシア)では、1件あたり100円~200円というのは妥当な相場といえますが、物価が非常に高いシンガポールにおいて、210円~330円というのは、非常に競争力のある設定だと考えます。   配送日数については、シンガポールとクアラルンプルでも1~4営業日とばらつきがあり、送料設定以上に、ECサイトの実力による差が大きく出ているようです。 この点(配送日数)については、日本において、大抵の商品が注文したら翌日、場合によっては当日に届くという状況にまでなっている現状とは、差がまだあります。   また、バンコクとジャカルタでは、場合によっては1ヶ月以上かかる、という記載も商品個別には見受けられることから、日常的にあらゆる商品をネットで購入する、という状況までは、まだ少し(数年)は時間が掛かりそうな印象を持ちました。   以上の状況と、現地(特にマレーシア)で滞在している感覚と足しあわせて、既に日本並にあるいはそれ以上にECが普及しているシンガポールを除く東南アジアの以下3カ国のEC市場のステイタスは、以下くらいではないかと考えます。   マレーシア (この1,2年でECの普及が急速に進む、日本の2005,6年位)  ↓ タイ (この3~5年でECの普及が急速に進む、日本の2002,3年位)  ↓ インドネシア (この3~7年でECの普及が急速に進む、日本の2001,2年位)   ※中盤までデータ中心に来ながら、最後は感覚的にエイっとまとめました。・・・汗      

クアラルンプールのコワーキングスペース 5選

  先日クアラルンプールに出張に行ってきた際に、コワーキングスペースを調べました。 日本語で比較できるサイトがなかったので、自分が調べたものの中から気になっているものをピックアップして、簡単ですが、ご紹介します。   [その1]  Paper+Toast  ( http://paperandtoast.com/ ) Bukit bintangという繁華街(銀座、表参道のようなイメージ)にある非常に便利な立地と綺麗な内容が魅力的です。 実際に行ってみましたが、便利な場所にある一方、ちょっと事務的な感じの場所で現地の人との 交流が生まれるような場所ではなかったでした。一人で黙々と作業をするにはお勧めです。 paperntoast0009 PAPER + TOAST | A-0-5 One Residency | 1 Jalan Nagasari 50200 Kuala Lumpur | Malaysia     [その2]  THE NEST ( http://nest.mgvd.co/ ) ここはまさにスタートアップベンチャーと知り合いになれそうな交流型(おそらく)コワーキングスペース。 車がないと行けない場所にあります。(クアラルンプールは車で移動することが前提) ダマンサラ・ハイツという高級住宅地にあります。次回は行ってみたいと思います。 nest_logo Address: 7 Jalan Derumun Damansara Heights 50490 Kuala Lumpur     [その3] NOOK ( http://nook.my/ ) ここはバンサーというやや郊外、外国人が多く、おしゃれな街にあります。雰囲気なThe Nestに似ていますが、The Nestよりも電車と徒歩でたどりつきやすい場所にあります。   Screen-Shot-2014-01-16-at-15.13.16 9, Jalan Riong, Off Jalan Maarof Bangsar, 59100 Kuala Lumpur     [その4] MAKE SPACE ( http://www.makespace.my/ ) ここは、ものづくり系のスタートアップベンチャーのワークショップなどが開催されているようで、興味のある方にはとても素敵な場所なのではないかと思います。 makespace Quill City Shopping Mall, Lg16, 1018, Jalan Sultan Ismail, 50250, Kuala Lumpur.     [その5] SENTRO ( http://sentro.asia/ ) KLセントラルという、クアラルンプール国際空港からクララルンプールに入る玄関口にあたる便利な場所にあります。 ここは日本人の方が経営されているクアラルンプールで唯一のコワーキングスペースだそうです。 pic_space ここにも次回行ってみようと思います。 Level 32, Menara Allianz Sentral, 203 Jalan Tun sambanthan, Kuala Lumpur Sentral, 50470 Kuala Lumpur  

東南アジアのファッションECサイトの代表格 ZALORAをZOZOと比較してみる

  東南アジアのECサイトの代表格の一つに、ファッションECの「ZALORA」というサイトがあります。   zalora   その急成長ぶりは、日本の代表的ファッションECの「ZOZO」とGoogle Trendsで比較してみると、よくわかります。   Google Trends zozoとzalora あくまでもGoogle Trendsの数値ですが、 2012年に登場し 2014年にZOZOを追い抜いて 2015年時点では既にZOZOの2倍以上になり、さらに伸びています。   IR資料で実際の数値を確認すると、 訪問者数 ではZALORAは、1700万訪問/月(2014年)に対して、 ZOZOは古いデータしか公開されていなく、400万訪問/月(2011年)となっていますが、2014年の売上は2011年と比較して約1.5倍(385億円←238億円)になっていることから、仮に同じ比率で訪問者数が増えているとすると、600万訪問/月 多めに見ても800万訪問/月 だとすると、すでに訪問者数ベースでは、ZALORAがZOZOを抜いていることは充分考えられそうです。 上記で見たGoogle Trendsのグラフとも概ね一致しているようです。   一方で、出荷数を確認すると、 ZALORAが、50万件/月(2014年3月及び4月)と発表している一方で、 ZOZOは、90万件/月(2014年1~3月の平均)であることから、まだ実際の出荷数では、ZOZOには追い付いていないようです。   「訪問者数は多いがまだ実際の受注数が少ない」というあたり、日本と東南アジアのEC市場自体の成熟度合いの違い、がそのまま数字に反映されているのかもしれません。   とはいえ、成長ペースからすると、出荷数でも、ZALORAがZOZOを抜くのも時間の問題ではないかと考えます。   ================================ 情報引用元1:   情報引用元2: スタートトゥデイ決算説明会資料 http://www.starttoday.jp/?page_id=1563  

東南アジアと日本のEC市場を比較

  一つ前の記事で、今後10年以内にasean諸国のGDPが日本を追い抜きそうだということを書きました。 その中で、ECの市場規模がどうなっているかについて、同様に確認します。   EC市場規模見込_日本楽観   単位は10億USドルです。このシミュレーションでは、日本のEC化率が4%→6%→12%と伸びて、ASEAN諸国のEC化率がその5年遅れで伸びるという想定です。(参考:現時点で米国のEC化率は6%、英国のEC化率は10%)   2013年のデータはこちら(ECCLab)より頂戴しました。2018年と2023年のデータはGDP全体の数値(「世界経済のネタ帳」 (元データはIMF))と、弊社で独自に算定しているEC化率をかけあわせた推測値です。   どれだけ日本経済全体が停滞しても、EC化率が10%前後、あるいはそれ以上に向けて伸びている限り、ECの市場規模はかなりの成長率で今後の10年間は伸びることが見込まれる、と私達は考えています。 東南アジアの市場は魅力的ですが、ECに限っては、当面日本国内も充分成長ポテンシャルがありそうです。     続いて、日本国内のEC市場の成長をコンサバティブに見たシミュレーションについても確認します。 以下のシミュレーションは、日本国内のEC化率を4%→6%→8%と見ており、10%(英国の水準)に到達する前に 頭打ちし始めるというシミュレーションです。   EC市場規模見込_日本保守   このシミュレーションの場合では、2023年には、GDP全体だけでなく、EC市場規模においても,ASEAN諸国が 日本を上回ります。   ここでのポイントは、日本のEC市場を抜くかどうか(10年~15年ではいずれにしても抜きそうですが)、 という論点よりも、 2013年から2018年にかけて、 たった5年間の間に、 ASEAN諸国のECの市場が、ほぼ全く何もないところから一気に1000億ドル(10兆円)のレベルまで急速に立ち上がる、 というところがポイントです。   ちょうどいま東南アジア各国(特に、シンガポールはもちろん、バンコクやクアラルンプールなどの都市)では、物流や決済の基盤が整い始めています。 現在の東南アジアのEC市場は、EC化率というマクロデータから見ても、各種サービスの浸透度合いなどから見ても、 日本のEC市場の2000年か2003年頃に近い印象を持っています。 この頃、楽天のようなECが、これほどまでに一般社会に普及することは、業界の真ん中にいた私自身でも、 想像できませんでした。 当時と同じようなチャンスが、東南アジアのEC市場にまさにいま現在進行形で起こっています。   これらの状況について、いろいろな角度から、このブログで紹介していきたいと思います。   ============================================= 情報引用元 「世界経済のネタ帳」 情報引用元 「ECCLab」    

東南アジアのGDPの現状と今後を日本と比較

  最初に、東南アジアのGDPの見通しと、その中でのECの市場規模について確認しておこうと思います。 まずはこちらのグラフをご覧ください。 GDP推移_楽観 単位は10億USDです。2005年と2015年のデータは「世界経済のネタ帳」 (元データはIMF)から頂戴しました。 2025年は、2005年から2015年までの成長率(日本8%↓、ASEAN諸国166%↑)のペースが仮にそのまま続いたら、という仮定で、少し乱暴ですが、ざっくりと出したものです。   現在までの成長ペースがそんなに続かないだろうと、いう見方もありだと考えられますので、仮にこの成長率が半分(166%↑→83%↑)にペースダウンしたらどうなるか、というのが以下のグラフです。 GDP推移_保守 これを見ると、かなり保守的に見ても、今後10年以内にASEAN諸国のGDPが日本を追い抜きそうだということが、読み取ります。むしろ、もし仮に現在のペースのままで進んだら、圧倒的にぶち抜きそうな勢いです。   数字で見ると以下のようになっています。 ■日本 2005年 4.5兆ドル(503兆円) ↓ 2015年 4.2兆ドル(500兆円)(微減) ↓ 2025年 3.8兆ドル(497兆円)(このまま微減)   ■ASEAN諸国 2005年 0.9兆ドル ↓ 2015年 2.5兆ドル(10年で+166%) ↓ 2025年 4.6兆ドル ~6.7兆ドル(+83%~166%)     今年の12月に、2015年末 ASEAN域内の貿易が自由化され、6億円のマーケットがひとつの経済圏、ASEAN経済共同体(AEC)として発足します。   全体的な市場トレンドからも、また、今年末に控えたこのAECの発足というタイミングからも、東南アジアへの進出を検討している事業者様にとっては、ちょうど今年あたりが参入のチャンスになるのではないかと、考えます。   次の記事では、この中で、ECの市場規模がどのようになっているかを確認します。     ============================================= 参考:ASEAN諸国とは、インドネシア,カンボジア,シンガポール,タイ,フィリピン,ブルネイ, ベトナム,マレーシア,ミャンマー,ラオス(全10か国)を指しています 情報引用元 「世界経済のネタ帳」

はじめに(ご挨拶と本ブログの目的)

  ■はじめに このブログは、主にEC事業者の方で、現在国内を中心に事業展開しているけれども、今後は海外に展開したいなと考えている方を対象に、特に東南アジアにおける市場の有望性といったマクロデータから、具体的な現地でのエピソードや、取材記事などを公開していこうと思っています。   ■当ブログのゴール このブログを読んでいただく読者の方にとって、東南アジアへの進出の検討に役立つ情報を提供することです。   ■想定している内容 ・東南アジアのEC市場に関連するマクロデータとそれに関連する考察 ・東南アジアにおける主要なEC事業者、関連企業の動向 ・上記に関連する取材記事 ・その他、東南アジアの現地の雰囲気を垣間見ることができるエピソード ・・・など   当面は試行錯誤しながら、紆余曲折しながら、どちらかというと気軽に書き進めていこうと思います。 以後、どうぞよろしくお願いいたします。  
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