公式ECと楽天モールの棲み分け戦略プロジェクト

UI/UX改善と戦略的モール運用で売上を最大化

テスコムオンラインショップ および テスコム公式楽天市場店

Client

クライアント

エレコム株式会社(旧TESCOM電機)は、パソコン及びデジタル機器関連製品の開発、製造、販売を主力事業としてグローバルに展開する企業です。資本金は125億7,700万円、従業員数は829名を誇り、常にユーザー視点に立った革新的な製品を提供し続けています。

会社名
エレコム株式会社(旧TESCOM電機)
事業内容
パソコン及びデジタル機器関連製品の開発、製造、販売
資本金
125億7,700万円
社員数
829名

Result

プロジェクト成果

メーカー公式通販とモールECの役割を明確化し、UI/UXと楽天コンサルで売上最大化を実現。

Solution

関連ソリューション・サービス

Overview

プロジェクトの背景

多くのメーカー公式通販サイトが抱える共通の悩みとして、販売代理店などが多数出品する巨大モールとの価格競争やカニバリゼーション(自社競合)が存在します。本プロジェクトは、テスコム公式ECサイトのUI/UX改善を起点として、直販サイトと楽天市場(モール)の明確な棲み分けと戦略策定を実現するために発足しました。公式通販のブランディング支援や楽天コンサルティングへと展開し、それぞれのプラットフォームの役割と目的を分けたWebマーケティングの強固な基礎を築き上げることを目指した取り組みです。

Process

「コンサル型制作・開発」の
取り組み内容

Point.01

ヒューリスティック評価

テスコム公式オンラインショップとしての信頼感や購入メリットの提示が不十分であり、5,500円以上で送料無料という点以外に、このサイトで購入する動機づけが弱い状況でした。また、スマートフォンサイトにおいては、利用ガイドや送料などの重要情報がフッターやハンバーガーメニューの最下部に配置されており、ユーザーが購入を決断する際に必要な情報を見つけにくいナビゲーション構造となっていました。さらに、商品一覧ページにおいて、在庫なしの商品が混在しているにもかかわらず、詳細ページに遷移するまで在庫の有無が確認できない点は、ユーザーの離脱を招く大きな要因です。

商品一覧画面で比較検討するための価格や特徴コピーの表示がなく、詳細ページへの遷移を促すフックが弱い点も改善が必要とされました。加えて、ブランドページの「詳細はこちら」ボタンがカートボタンと似た形状・配色になっており、ユーザーの誤操作を誘発するデザイン上の問題も抽出されています。商品詳細ページ内で付属品や消耗品への導線が欠落している点も、クロスセルの機会損失を生んでいました。これらの課題に対し、購入メリットの明示、在庫絞り込み機能の追加、比較材料の提示など、具体的な改善の方向性を提示しました。

重要度の高い課題例
・公式ECサイトで購入するメリットが不明確(送料無料以外の訴求不足)
・商品一覧ページでの在庫有無の表示と絞り込み機能の欠如
・商品詳細ページにおける付属品・消耗品への導線不足
・商品一覧ページに比較検討材料(価格や特徴)がなく遷移率が低下する構造
・購入ステップのプログレスバーが長く表示され、心理的ハードルが高い点

ヒューリスティック評価1 イメージ

ヒューリスティック評価1

ヒューリスティック評価2 イメージ

ヒューリスティック評価2

ヒューリスティック評価3 イメージ

ヒューリスティック評価3

ヒューリスティック評価4 イメージ

ヒューリスティック評価4

ヒューリスティック評価5 イメージ

ヒューリスティック評価5

ヒューリスティック評価6 イメージ

ヒューリスティック評価6

Point.02

アクセスログ分析

アクセスログ解析報告書に基づき、UI改善による伸びしろの可視化と重要度の特定を目的とした定量分析を実施しました。
サイト全体から入口ページ、商品一覧、カート到達率に至るまでのユーザー行動を詳細に評価した結果、複数の機会損失が明らかになりました。
まず、キーワード検索機能において、「ノビー」や「イオネ」といったブランド名のカタカナ表記、あるいは品番と付属品名を組み合わせた検索など、ユーザーの意図として十分に想定されるパターンで「該当0件」となってしまうケースが散見されました。これにより、購買意欲の高いユーザーを逃している状況です。

また、会員登録プロセスに目を向けると、メールアドレス認証を必須とするフローがユーザーの離脱要因となっている可能性が示唆されました。
認証を経由しない方式へ変更することで、会員登録の完了率を1割程度引き上げられる見込みがデータから読み取れます。
さらに、商品一覧(キーワード検索)からの流入において、ナビゲーションが最適化されておらず、直帰率が高い傾向にあることも確認されました。
特定の人気商品においては、カラーバリエーションの片方が在庫切れになった際、別カラーを確認せずに離脱してしまうユーザーが多いという行動特性も発見されています。これらのログデータに基づき、検索データベースの改修や登録フローの簡略化など、具体的な改善施策を策定しました。

重要度の高い課題例
キーワード検索(カタカナや品番×付属品など)で該当0件となる大きな機会損失
メールアドレス認証を挟む会員登録フローが離脱の要因となっている可能性
特定の人気商品において、カラーバリエーションによる在庫切れが離脱を誘発
商品一覧ページからの直帰を防ぐための検索エラー画面のフォロー不足
キーワード検索からの流入において、ナビゲーションの不備が回遊率を下げている点

アクセスログ分析1 イメージ

アクセスログ分析1

アクセスログ分析2 イメージ

アクセスログ分析2

アクセスログ分析3 イメージ

アクセスログ分析3

アクセスログ分析4 イメージ

アクセスログ分析4

アクセスログ分析5 イメージ

アクセスログ分析5

Point.03

競合ベンチマーク評価

競合他社や他業界の先進的なECサイト(ダイソン、バルミューダ、パナソニック、ソニーなど)を対象に実施したベンチマーク評価の調査内容です。

最大のテーマは、メーカー公式ECサイトと、Amazonや楽天市場といったモール(最安値店舗)との間に生じる価格差をどのように埋め、ユーザーに選ばれる理由を創出するかという点にありました。調査の結果、直販EC売上比率が高い先進企業は、最安値との価格差(5%〜2割程度)を、公式ならではの強力なベネフィットでカバーしていることが明らかになっています。
例えば、パナソニックやソニーでは、分割払いの手数料を無料にする施策や、延長保証サービスの提供、公式限定モデルの販売などを通じて、価格面での不利を補う付加価値を打ち出していました。

競合ベンチマーク評価1 イメージ

競合ベンチマーク評価1

競合ベンチマーク評価2 イメージ

競合ベンチマーク評価2

競合ベンチマーク評価3 イメージ

競合ベンチマーク評価3

競合ベンチマーク評価4 イメージ

競合ベンチマーク評価4

競合ベンチマーク評価5 イメージ

競合ベンチマーク評価5

競合ベンチマーク評価6 イメージ

競合ベンチマーク評価6

一方、ブランドサイトと通販サイトの関係性についても重要な示唆が得られています。従来の「ブランドサイトと通販サイトを分離する」手法は、ドメイン評価の分散やユーザーの購買導線の長期化を招くため、近年は両者を統合し、製品の魅力訴求から購入までをシームレスに行うハイブリッド型のアプローチが主流となっていました。また、商品詳細ページの構造に関しても、カラーバリエーションごとに別ページを用意するのではなく、同一ページ内でカラーを選択できる仕様にすることで、ユーザーの比較検討を容易にする工夫が求められます。

重要度の高い課題例
モール(最安値)との価格差を埋める公式EC独自の付加価値(保証や分割手数料無料など)の不足
ブランドサイトと通販サイトの分離によるドメイン評価の分散と購買導線の複雑化
商品詳細ページがカラーごとに独立しており、一覧性が低く比較しづらい構造
購入プロセスのステップ表示が多く、他社サイトに比べて煩雑な印象を与えている点
会員ランク等を用いたリピーター向けのクローズドな優待施策が未整備

競合ベンチマーク評価7 イメージ

競合ベンチマーク評価7

競合ベンチマーク評価8 イメージ

競合ベンチマーク評価8

競合ベンチマーク評価9 イメージ

競合ベンチマーク評価9

Point.04

自社ECSEO改善

テスコム公式ECサイトにおけるSEO内部改善の主な目的は、コンテンツを検索エンジンとユーザーの双方へ適切に伝え、集客の基盤を強固にすることです。資料から読み取れる具体的な改善施策を以下にまとめました。

まず、サイト全体における最優先課題として、URLの正規化が挙げられます。現在「http」と「https」の両方でアクセス可能なため、重複コンテンツによるペナルティを回避すべく「https」への301リダイレクト設定が急務です。また、スマートフォンにおけるページ表示速度が低く、Googleのランキング指標にも影響するため、ツールを活用した読み込み速度の改善が求められます。さらに、sitemap.xmlのエラーを解消し、検索エンジンへ正しいサイト構成をインデックスさせる作業も不可欠です。

ページ単位でのマークアップ最適化も重要です。
トップページでは、サイトのテーマを正しく認識させるため、固有のキーワードを含めた大見出し(h1タグ)の設置が推奨されます。
また、各ページ共通の課題として、見出しタグ(h2やh3)が単なるデザイン目的で使用されている箇所が多く、適切な階層構造への修正が必要です。
パンくずリストに関しても、順序を示すリストタグ(ol)への変更と同時に、構造化データ(JSON-LD)の記述が求められます。

コンテンツの質やユーザビリティに関する改善点も複数確認できます。
商品画像には、画像検索に対応するため具体的な商品名を含めたalt属性の最適化が欠かせません。
また、ユーザーから視認できない「隠しテキスト」やCSSで隠された価格表示は、マイナス評価を受けるリスクがあるため、表示させるか削除する対応が必要です。ブランドページにおいては商品一覧のみとなっているケースがあるため、該当キーワード(例:毛玉クリーナーなど)を用いた商品説明テキストを追加し、検索エンジンの理解を深める施策が有効な手段です。

最後に、余白調整を目的とした改行タグ(br)の多用を控え、CSSで装飾を管理するよう言及されています。
これらの内部構造やHTMLマークアップを丁寧に修正し、検索エンジンがクローリングしやすい環境を構築することが、自然検索からの流入最大化へと直結します

SEO内部改善指示書1 イメージ

SEO内部改善指示書1

SEO内部改善指示書2 イメージ

SEO内部改善指示書2

SEO内部改善指示書3 イメージ

SEO内部改善指示書3

Point.05

WebPR(アンケート調査を使ったリリース)

公式通販サイトのブランディングと認知度向上を目的として、アンケート調査を活用したWebPR施策を展開しました。

メーカー公式ECサイトが、単なる「商品を売る場所」から脱却し、ユーザーとのエンゲージメントを深めるプラットフォームへと進化するためには、顧客のリアルな声に耳を傾け、それをブランドの価値として社会に発信していくプロセスが欠かせません。

本プロジェクトでは、Googleフォーム等のアンケートツールを活用し、既存顧客やターゲット層から製品に対するニーズ、ライフスタイルに関する悩み、使用後の満足度などのデータを収集する仕組みを取り入れました。
集まった貴重なインサイトは、単なる社内データとして留めるのではなく、社会的なトレンドや季節のテーマと掛け合わせることで、ニュースバリューのあるプレスリリースへと昇華させます。このアンケート調査を活用したPR手法は、客観的なデータに基づく信頼性の高い情報発信を可能にしました。

メディアでの露出を獲得することで、ブランドへの認知と信頼を高め、結果として公式ECサイトへの良質なオーガニックトラフィックを呼び込むことに成功しています。値引き競争に巻き込まれがちなモールとは異なり、公式通販ならではの「ブランドへの共感」を醸成するための強固な基礎が、このWebPR施策によって築かれました。

WebPR イメージ

WebPR

Point.06

楽天コンサル

楽天市場における店舗運営の最適化と売上拡大を目的としたコンサルティングプロセスを実施しました。メーカー公式店と多数の販売代理店が混在するモール環境において、公式ショップとしてのプレゼンスを確立し、売上のボリュームゾーンを確保するための多角的な施策を展開しています。まず、広告運用の最適化として、RPP広告の目標ROASを精緻に設定し、注力カテゴリであるドライヤー、ヘアアイロン、毛玉取り器などに予算を傾斜配分しました。検索順位が上がりきっていない商品群については、あえてCPC(クリック単価)を高めに設定し、露出面を積極的に取りに行くアグレッシブな運用も行っています。また、モール特有の商戦期である楽天スーパーセールやお買い物マラソン、ワンダフルデーに向けては、競合店舗の動向を見極めながら、ポイント変倍(5倍・7倍・10倍)や値引きクーポンを戦略的に投入し、転換率の大幅な引き上げを狙いました。商品ページ自体の改善にも着手し、商品名や検索キーワードの最適化にとどまらず、商品詳細ページ内に具体的な使い方や活用シーンを記載することで、ユーザーの購買不安を払拭する工夫を施しています。さらに、オンラインでのギフト需要を取り込むため、出産祝いや結婚祝いに向けたギフト対応の強化や、レビュー投稿を促進するインセンティブ施策も導入しました。緻密なデータ分析と迅速なPDCAサイクルにより、モールにおける勝ち筋を見出しました。

楽天モール内SEOも実施しています。売上レポートをもとに、モール内検索および自然検索からの流入最大化を狙ったSEO改善の取り組みを実施しました。
それまで対策を講じていませんでしたが、検索エンジンやモール内の検索アルゴリズムにおいて、自社商品を的確に上位表示させるためには、商品名のネーミングルールやキーワードの配置が極めて重要です。

具体的な施策として、商品名の先頭に半角スペースを挿入し、「テスコム」というブランド名キーワードを独立させて認識させるチューニングを行いました。
これにより、指名検索における検索精度と表示順位の向上が期待されます。また、ユーザーの検索サジェストキーワード(「ドライヤー 大風量」「ヘアアイロン 2way」「コードレス ヘアアイロン」など)を分析し、検索ボリュームが多く購買意欲の高いワードを商品名やキャッチコピーに戦略的に組み込みました。
「ドライヤー テスコム」と「テスコム ドライヤー」のような語順の違いによるアクセス数の差異も綿密に分析し、ユーザーが他社製品と比較検討しているのか、指名買いを意図しているのかを仮説立て、キーワードの優先順位を決定しています。

さらに、RPP(楽天プロモーションプラットフォーム)広告を併用することで、自然検索で上位を取りきれないキーワード(「ノビーバイテスコム」など)の露出を補完し、検索結果全体での視認性を飛躍的に高める運用を推進しました。

楽天コンサル1 イメージ

楽天コンサル1

楽天コンサル2 イメージ

楽天コンサル2

楽天コンサル3 イメージ

楽天コンサル3

まとめ

多くのメーカーが自社公式ECサイトを運営する上で直面する、共通かつ根深い課題が存在します。
それは、自社で設定した希望小売価格を維持しなければならない直販サイトでは安易な値引きができず、結果として、Amazonや楽天市場といった巨大モールに出店している卸先や販売代理店が、価格面での強力な「競合」となってしまうというジレンマです。

本プロジェクトは、まさにこのメーカー直販ならではの感慨深い課題に真正面から向き合い、公式通販サイトとモールの明確な「棲み分け」を定義づける戦略策定のモデルケースとなりました。

モール(楽天)は、その圧倒的な集客力とイベントのダイナミズムを活かし、適切な広告運用やポイント施策を駆使して「新規顧客の獲得」と「販売ボリュームの最大化」を担う場として位置づけられました。

一方で、価格統制の制約を受ける公式ECサイトは、価格以外の圧倒的な「ユーザーへのベネフィット」をいかに醸成するかが成功の鍵を握ります。
競合ベンチマーク評価でも明らかになったように、延長保証、分割手数料の無料化、限定モデルの販売、さらにはアンケート調査を通じた顧客参加型のブランド体験の提供など、モールでは実現し得ない公式ならではの付加価値を徹底的に磨き上げる必要がありました。

この棲み分け戦略を機能させるためには、単にサイトのデザインを美しくするだけでなく、アクセスログからユーザーの細かな離脱要因をあぶり出す緻密なデータ分析、ヒューリスティック評価に基づく徹底したUI/UXの改善、そして的確なSEOやWebPRといった総合的なWebマーケティングの実行が不可欠です。公式サイトの立ち位置を再定義し、ユーザー視点でのコンセプト設計とマーケティング戦略を連動させる本プロジェクトのプロセスは、自社直販の意義を見失いがちな多くのメーカーECにとって、大いなる希望と実践的な羅針盤となるはずです。

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